ランクアップ!
トレントモドキが発見されたという場所に来てみた。移動出来ちゃうらしいからもういないだろうけど。
ちなみにトレント達と普通の木の違いは、目。木の表面に目がある。擬態する気ナシ。潔い!
なお、本物のトレントから採れる果物は入手困難なため、超高値が付くらしい。いくら魔女とはいえ、まだまだ我らには難しそう。いつか採取してお母さんに贈ろうっと!
もういないと思ったのに、発見現場にそれらしきものがいる。トレントとの報告は受けてないから、モドキくんのはず?
「攻撃していい?」
投石するべきなんだけど、私ってばコントロール悪くてね、魔法は外さないんだけど。
だからこのままやっちゃおうかなーなんて思ったりして。エレンが首を振る。
「もしトレントだった場合、傷付けちゃうのはよくないのでは?」
「あー、そっかー」
じゃあ下手っぴだけど、石投げてみよっと。
「当てられなかったら選手交代ね」
「了解」
手頃な石を見つけて投げる。案の定外す。速攻で選手交代。エレンが石を投げるので、あちらからの攻撃を迎えるために構える。
ゴスッと鈍い音がして木に当たる。ナイスコントロール! どうなる!? と見守っていたら根っこがズボッと抜けてこっちに向かって来たー! モドキ確定です! 安心して攻撃できるぞー。
森の中で火魔法は危険なので、二人して風魔法を放つ。同時に天狼四匹も駆け出す。
モドキの攻撃手段である枝を風魔法で切り落としたのもあって、天狼達に怪我もなく、無事討伐。
……さて、嫌だけど、討伐の証拠になる部位を切り落としていきますかね……。
「なんかあっさり討伐が完了してしまったけど、他にもいたりするのかな?」
「うーん、どうなんだろう。でもここにいるのをって言われてたんだから、とりあえず報告でいいんじゃない?」
そっかー、なんて言いながら討伐部位を切り取っていたら、ズボッという音がして、別のモドキが来たー!? しかも三体も!!
慌てて風魔法を放って攻撃力を無効にしていく。
「こんなにいるなんて聞いてなーい!」
「本当だよー!」
突如三体も現れて驚いたけど、弱い魔物で良かった……。
他にはいないよね? 今更ながらに索敵魔法をかける。最初にかけておけって話でした、ハイ。
……ヨシ、いない。
合計四体のトレントモドキの討伐を終えて、討伐部位も回収する。ところでこのモドキの身体、薪になったりしないのかな?
鑑定してみる。お、燃やせそう。というか燻製に向いてるみたいだから、シルルにあげようっと。彼女ならきっと美味しい燻製を作ってくれるに違いない。
「モドキで燻製作ると良い匂いみたい」
「燻製チーズ作ってほしい!」
大のチーズ好きエレンには儲け物だったもよう。
「私は燻製ナッツがいいなー」
「それも良いね」
「魚とか」
「夢広がるね」
今後はモドキを見つけたら伐採していこうね、とエレンと誓う。
モドキ討伐も終わったし、ウッドチップにするのは帰ってからにするとして、あとは薬草採取をして今日は終わりかな。
ファゴットが描いてくれた地図を見ると、目的の薬草は少し離れた場所にあった。天狼に乗ってるとあっさり着くのは本当にありがたいです。
「結構依頼されてる薬草の種類が多いね」
賢者くんが頭に浮かぶ。
多分彼も頑張ったんだけど、採取方法が雑で調剤するのには質が良くなかったのかも? と勝手に思ったりする。
賢者くんは強いんだから、早くランクアップして、本領発揮できるようになるといいよね。
好き嫌いもあるように、適性もあるからね。私達はお母さんに薬草採取の方法を教えてもらっているし、こういった作業が嫌いじゃないから、領都にいる間は指名依頼ウェルカムですよ。
薬は暮らす人々にとって大切だからね!
トレントモドキ討伐と薬草採取ではランクアップにならなかったはずなんだけど、モドキプラス三体で加算されたのもあって、なんとランクアップ!!
晴れてEランク冒険者です! やったね!
「おめでとうございます」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます」
受付のおねーさんからも祝いの言葉をもらえて嬉しい。
Eランクの依頼はどんなのがあるのかなー。わくわく。
「トレントモドキは討伐部位以外は薪にするぐらいしかないので、冒険者の方はあまり依頼を受けてくださらないので助かりました」
弱くて倒しやすいとはいっても、旨味がないと依頼も受けてもらいづらいのかー。冒険者だもんなー。ボランティアじゃないし。弱いといっても魔物は魔物だしね。
「トレントモドキはウッドチップにして燻製に使うととても良い香りになるみたいなので、試してみるつもりです」
「まぁ、そうなんですか?」
あれ? 鑑定リングではそう出てたけど、ギルドの人が知らないということは、情報が間違ってたり?
「はい、鑑定リングではそう出ていました」
「鑑定リングは魔道具の中でも高級なものに分類されます。キリエさんがお持ちのものは更に等級の高いものなのではないでしょうか」
なるほど。
「母から贈られたものなので、そうかもしれません」
なにしろ最高級無限本棚と同じぐらいのものを、って感じだったから、ありえる話。
「情報提供ありがとうございます。トレントモドキの活用法が増えれば、報酬も上がります」
それは大事ー!
モドキは害樹だから減らしたいよね。燻製のウッドチップとして使えるとなると、高値で売れるようになるだろうし、良いことですよ!
ギルドを出た私達は馬車に戻った。
お土産を期待していたシルルは、テーブルにのったモドキの木片を見てがっかりしていた。
「このトレントモドキの木片をウッドチップにすると、良い香りの燻製が作れるらしいの」
燻製と聞いた途端シルルの顔が明るくなった。そしてすぐにカゴを持ってきた。今すぐウッドチップにしろということらしい。こうなるって分かってたけど。
おやつ休憩を挟みながら、私とエレンは黙々とモドキをウッドチップにしていく。四体分だからかなりの量。当分燻製のウッドチップに困らないのでは?
「まずはチーズかな?」
「シルルだから他のも同時に作ると思う」
「確かに」
シルルの情熱は止まることを知らないもんね。
ナッツお願いします。
「明日もまたギルド行く?」
「Eランクの依頼、見てみたいから行きたいかな」
「そうだよね」
ランクが上がるとより冒険感上がるのかなぁ? より強い魔物を倒せ! みたいな。
そういえばこの世界にはダンジョンが存在しているはず。ファンタジーでは定番だけど、実際自分が行くとなったらちょっと躊躇しちゃうなー。
まだEランクだからそんな心配は先の話だけども。
何気なくモドキのウッドチップを鑑定してみる。
「あ」
「どうかした?」
「モドキのウッドチップ、土壌改良に使えるらしいよ」
「生きてる時は土壌を悪化させるのに、ウッドチップになると改良に使えるの不思議だね」
「ね。明日ギルド行ったら伝えよう。普通のウッドチップでも土壌改良効果はあるらしいけど、モドキはどうなんだろうね。もし普通の樹よりも効果があるならモドキの所為で土壌悪化したところに撒けば効果的かも」
言ってから気付いた。
今までモドキの死骸はそのまま放置されてたから、それと結局同じなのでは……? 撒く場所を選ぶという点は異なるけど。
エレンも同じことを考えていたみたいで、頷かれた。
「言わなくてもいいかな」
「うーん、一応伝えておいたら? どうするかはあっちが決めるよ」
「そうだね」




