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転生魔女は悠々自適に世界を旅する  作者: 黛ちまた
双子魔女の旅立ち

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薬草採取!

 いざ冒険者ギルド!

 いざ薬草採取!


 冒険者ギルドには壁一面に依頼書が貼られている。依頼書には内容と報酬だけじゃなく、受注できるランクが書かれてる。薬草採取ならFランク、ゴブリン退治ならDランクといったように。

 指定されたランクより上のランクの人が受けることも可能だけど、マナー違反とされる。後進の仕事を奪うな、ということみたい。あまりにも受ける人がいない場合は上位ランクでも受けていいみたいだけど、それはレアケースだって説明をギルド登録時に受けた。


 我らは最下位のFランクですからね。うっきうきで薬草採取の依頼書を持って受付に行きましたとも!

 魔女だからさ、もっと難しい仕事も受けられるんだろうけど、我らに不満なぞないのです。受付のおねーさんにはギルドのルールだからごめんなさいね、と二回も言われてしまった。いえ、全然気にしてません、むしろこれが楽しみでした。


 天狼に乗って領都の外へ。広大な野原が広がってる。

 

「ルィヴナ草を三十本」

「じゃあ始めよう」


 森の中で木の実やシルキーに頼まれた薬草を探す時に使った魔法を唱える。


「『捜索』」


 調査は範囲内にどういったものがあるのかを探す。割と漠然とした感じだけど、使ってるうちに精度が上がる。見つけたいものが明確に分かっている時には捜索を使う。でも知らないものは探せない。鑑定リングを持っていてもそれは同じ。

 森の中で何度も採取したことがあるから、捜索魔法で見つけられるんだけど、エレンちゃんは私が見つけたものを使って捜索魔法を使うんだって。さすが堅実家。


「ルィヴナ草を『捜索』」


 詠唱するとあちらこちらで光る。一番近い場所にあるルィヴナ草を鑑定する。……うん、間違いなくルィヴナ草。それをエレンに渡す。


「ありがとう! いってきまーす」


 点在するルィヴナ草を二手に分かれて採取する。他にも珍しい草なんかもあるんだろうけど、薬師でもないので必要な分だけ採取して帰る予定。たまたま珍しい薬草を見つけて持っていたから、困っていた人に使ってあげてとっても感謝された、みたいなのもラノベ鉄板ですが、それはそういったことをしたい方にお譲りして、我らは旅を楽しむのです!

 あ、でもシルルが料理に使うハーブ類があったらそれは採る。ちょうどローズマリーとコモンタイムがあったから採った。


 この世界でも草むらにマダニがいたし、ヒルがついたまま山から下りて来る動物もいた。(ヒルは感染症が怖いので即燃やす)

 ただの草取りと侮るなかれ、ということで防御魔法を自分とキトラとシュナにかけ、ルィヴナ草を採取。根っこから必要なので、土魔法で掘り起こして採取!

 根っこについた土なんかは風魔法で吹き飛ばしてからマジックバッグに入れる。


 かれこれ三十分程でルィヴナ草十五本を入手。エレンも同じくらいに採取が終わったみたいで、こっちに向かって来た。


「採れたよー」

「こっちも採れたー」


 念の為ルィヴナ草であることを鑑定し、本数を数える。三十本。よし!


「大丈夫そう」

「帰ろう。あ、ローズマリーとコモンタイム採ったよ」

「私も採った。この辺りで採れるみたいだから、ファゴットに伝えて地図に書いておいてもらおうよ」

「それはいいね!」


 生のローズマリーをのせたフォカッチャ作ってもらおうっと。この前魚も買ったからコモンタイムをのせて焼いてもらうのもいいなぁ。


「レモンタイムは見つからなかった。あったらシルルにお菓子作ってもらえたのに、残念」

「コモンタイムでも美味しいけど、レモンタイムだとほんのりレモンの風味がして美味しいもんね」

「そうそう。ハーブ系は欠かさないようにしたいよね」

 

 食事は旅の醍醐味(?)です!

 じゃあ帰ろうか、というところでまさかの豚の魔物の登場。子供だと侮ったのだろうけど、そばにいる天狼に気付いて逃げようとした。本能的なものだとは思いますよ? でも、相手を見て態度を変える奴嫌いなんですよ、私。


「皆、やっちゃって!」

「ゴー!!」


 私とエレンが声をかけた瞬間、天狼四匹が一斉に豚の魔物に襲いかかり、成敗!

 気が付いたら隣に立つエレンちゃんがローブ脱いで腕まくりして手に血抜きナイフ持ってた。いつの間に! 慌てて私もローブを脱いで腕まくりをした。私は捌かないから血抜きナイフがエネルギー補充できないので、たまに私のをエレンちゃんに使ってもらおうかな。


「旅に出て初めての獲物だねー」

「確かに!」

「シルル、何を作ってくれるかなー。生ハム食べたいなー」

「いいねー!」


 熟成室はまだ何も入れたことがないので、この豚の魔物が記念すべき熟成第一号!




 天狼に乗るとあっという間に領都に戻れるけど、あんまりスピードが出ると横隔膜にくるので、ほどほどのスピードをお願いする軟弱者です。前世もジェットコースターとか駄目だった。なんなら高層階へ移動するエレベーターもふわっときちゃうので苦手だったよ……。

 冒険者ギルドに到着。納品だー!


「依頼完了しました」

「納品です」


 まとめておいたルィヴナ草を受付のおねーさんに渡す。おねーさんは魔道具を使ってルィヴナ草であることを確認し始めた。なるほど、ギルドには鑑定用の魔道具があるのか。間違いがあったらいけないもんね、納得。

 鑑定が終わったようで、おねーさんが顔を上げ、笑顔になる。


「はい、ルィヴナ草三十本の納品を確認しました。ポイントを加算するのでギルドリングかブレスレットをここにかざしてくださいね」


 ここ、と指定された場所には水晶が。水晶にリングとブレスレットをかざすと、シャリーンと音がした。……えっ、この音はどこから?

 謎ではあるものの、前世で聞き慣れた音で変に納得する。前世では支払い時の音だったけど。


 報酬はその場で渡されない。別の場所で受け取れる。貯めておいて後から受け取ることも可能。

 お店でリングやブレスレットをかざしての支払いも可能らしく、これ絶対転生者が作ったシステムだなって思った。屋台のような小売りのお店は現金のみ。

 大金を持ち歩きたくないし、ギルドリングやブレスレットは本人以外には使えない仕様らしいので、このほうが安全かも?

 とはいえまさか異世界で電子(?)マネーとは驚き!




 魔女馬車に帰った私達を待っていたのはシルルじゃなく、ファゴットだった。あー、出掛けたいんだね。


「昨日はキトラだったから、今日はシエに付いて行ってもらってね」


 エレンがシエに話しかけると、シエが頷いた。

 ファゴットをむくつけき男に変身させて、防御魔法をかけて送り出す。


「シルル、お土産があるよ」

「ハーブと豚の魔物」


 言うが早いか、キッチンの作業台をポンポンと叩くシルル。はい、そこに出せばいいんですね。

 マジックバッグからハーブを出すと、シルルが生であることに喜んでいた。生と乾燥だと調理での使い方も変わるからね。


「豚の魔物は?」


 熟成室のドアの方向を指差すので、シルルについて行く。ドアを開けた途端冷気が!! さっむ!!

 実家にもあったので、熟成室内の機材の操作はお手のもののよう。シルルが装置を動かすと大きなフックが移動してきて私達の前で止まった。切り落とした部位をそれぞれのバッグに入れていたので、取り出してはフックに引っ掛けていく。前世で見た熟成室だと丸ごと引っ掛けていたけど、子供の力では無理ス。なので部位ごとにエレンちゃんと切り分けてバッグに入れてきた。

 全部フックにかけたのでそそくさと熟成室から出る。あー寒かった……。


「キリエが生ハム食べたいって!」


 あ、そうだった、言うの忘れてた。ありがとうエレン。シルルは心得たとばかりに頷いた。猪の生ハムは食べたことあるけど、豚の生ハム食べてみたいです。

 

 渡すものを渡し、おねだりも終えたので、お風呂に入る。防御魔法をかけていてもお外に出かけていたからね、知らぬうちに汚れているものです。

 初依頼こなして、獲物も手に入れちゃって、お風呂入ってすっきりした。達成感ーっ!




 散策から帰って来たファゴットに、ハーブが採れた場所を伝えたら目をキラキラさせて、新しい地図を作り始めた。

 あー、ハーブ地図作りたくなっちゃったのかー。まぁ確かになんでもかんでも一枚の地図に詰め込むと分かりにくいよね。

 先に釘を刺しておく。


「依頼の時、連れて行かないからね?」


 ファゴットがショックを受けた顔してるけど、当たり前です。


「薬草採取の依頼の時はいいんじゃない?」


 エレンの言葉にファゴットの表情が明るくなる。


「そうだね、薬草採取ならいいかな」


 出てくる魔物もそんなに強くないだろうし、危険度は低いだろうから。


「明日はどうする?」


 薬草採取依頼は私達にとっては難易度が低い。捜索魔法使えるし、鑑定リング持ってるから。ギルドが設定する依頼難易度も低いから報酬も少ないし、連日受けても問題ない。


〈明日も受けよう!〉

「いいけど、それなら青い炎姿だよ?」

〈大丈夫だ!〉


 とにかく地図を作りたいんだね、ファゴットは。

 そういえばスライム達は何をしてるかって? 防御魔法で弾かれた害虫とか、雑草、毒草を食べてる。スライムって毒草無効なんだよね。強いなー。


「今日、キリエに鑑定してもらった草があったから捜索が楽だったけど、私も鑑定リング欲しいって思ったの。だからお金を貯めたい」


 おー、目標ができるのは良いことですね。ただ、本の誘惑に勝てるのかなー。なんだかんだいってこの世界、本は高いからね。活版印刷まではたどりついてないんじゃないかな。紙質がまだ安定してないし、そもそも貴族や商人ぐらいしか文字を読めない。識字率が上がれば本も広がるだろうけど、魔物に脅かされる世界だし、魔道具はなんだかんだいってお高いし、生きることのほうが優先される。識字率っていうのは、平和だったり平等な世界じゃないと広まらんのだなぁと思った。


「本代結構するんじゃない?」


 貯められるのかと尋ねてみる。エレンは一瞬固まった後、「ちょっとずつでも貯める」と言った。

 やると言ったらやるからなぁ、エレンは。貯まっていくとは思うけど、この鑑定リング桁がやばかったんだよね。二億クローナした。

 一円=一クローナよとお母さんが教えてくれた。つまりこの指輪、二億円ですよ!!

 なお、無限収納本棚は三億クローナだったの……。ファイト、エレン。

 私は特に欲しいものがない。あるとしたら魔女馬車の性能アップのための魔道具。


「明日も依頼受けにいこー」

「おー!」

〈おー!〉


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