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転生魔女は悠々自適に世界を旅する  作者: 黛ちまた
双子魔女の旅立ち

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ハーブ集めの片手間に薬草採取依頼

 自分も鑑定リングが欲しいとエレンが言うので、「珍しい薬草を採取したり、魔物を倒して買い取ってもらう?」と聞いてみた。


「リング、欲しいは欲しいけど、急いでないから大丈夫。たまたま珍しい薬草を見つけたり魔物に襲われたらその限りではないけど」


 さすが堅実家エレン。石橋をしっかり叩いてから進むタイプ。私みたいに渡り始めてから気付いて叩く人間とは違う。


「旅は始まったばかりだからね、焦ってもね」


 エレンは前世でも人生二周目感があったくらい達観していた。二十代前半で早く三十路になりたい、まだ二十代だと若者扱いされるのが嫌だ、自分で責任を取れる年齢になりたいと言っていたのを思い出す。未だに中二病こじらせてる私の親友に、よくなってくれたなぁ……。


「エレン、ありがとう」

「何にか分からないけど、私もありがとう」


 そういうとこだぞ、と思う。

 エレンが大好きな本を望むだけ手に入れられて、鑑定リングも手に入れられるように陰ながら手助けしようっと。そういうことしてたらすぐにバレるんだろうけど、二人とも鑑定リング持ってるほうが便利だということで押し通そうっと。


 それにしても、シルルはシルルで楽しそうだし、ファゴットも地図作り楽しそうだし、エレンも世界中を旅しながら好みの本を探しつつ、鑑定リングを買うためのお金を貯めるとか、皆楽しそうでいいなー。えー、私もなんか目標持とうかな(動機が不純)。

 

 ……………………思い付かないなー。とりあえずキトラやシュナのもふもふに癒されてからお母さんに手紙でも書こう! 領都に着いたのに手紙書いてなかったし! まぁまだ一週間とちょっとしか経ってないけど!


 お母さんへの手紙を書いたあと、エレンに報告したら自分も書くというので便箋を渡そうとしたところ、私が書いた手紙の下に数行で大丈夫と言われてしまった。

 人間関係がこざっぱりしてるんだよね、エレンは。私はどうも依存しちゃって駄目だなぁ。我ながらよっわ!


 シルルと一緒に水耕栽培のお手入れを一緒にやってみたり、もふもふに埋もれてからファゴットの地図作成を横から眺めたり、またもふもふに埋もれてみた。そんなことをしながら目標について考えてみたけど、やっぱり何も思いつかなかった。我ながら薄っぺらいな!

 

 なんというか、親友のエレンと双子として生まれて、天狼になった愛犬達と過ごせる、それだけで幸せで、もっと! という気持ちがわいてこないのが大きい。

 エレンと毎日一緒にいられて、手を伸ばせば天狼達に触れられる。それが本当に幸せで、記憶を取り戻して七年も経つのにたまに前世の最期の感情が蘇ってきて、これは夢じゃないよね? ってなる。もう七年も経っているにも関わらずですよ。

 悔いのないようにやれるだけのことをやって最期を迎えたつもりだったけど、やっぱり悔いはあって、感謝と謝罪を何度も口にして死を迎えた。

 悔いなく死ねる人ってどれだけいるのかな。あー楽しかったとか、やりきったって思って逝けるのが一番だけど、きっとそうじゃない人のほうが多いと思うんだよね。

 だからこの世界の神様が私達の魂を呼び寄せてくれて、お母さんが産み落としてくれた。この奇跡に感謝する気持ちを失くしたくないなぁ。


「この世界にも御朱印集めとかあるのかな?」

「あるかもね」

「御朱印を集めたいわけじゃないんだけど、各地の神殿にお参りしようかなって思って」

「それもあり」


 基本的にエレンは他者の意見を否定しないので、いいかもと言ってくれているけど、大賛成! という気持ちではないと思う。

 今も昔もエレンは優しいし、キトラ達は世界一可愛い。

 今生のお母さんのことは大好きだし、シルルのことも大好きで感謝してる。

 うん、私、幸せだー!

 目標よー、気が向いたら降ってきてねー!(他力本願)




 ファゴットが買ってきた屋台の料理を再現、というよりそれよりももっと美味しいものを作りたいというシルルの野望のため、ハーブの採取がてら薬草採取依頼を受けてきた。

 

 青い炎のままファゴットは私達について来ている。というかシュナに乗ってる。人間には炎にしか見えないだろうけど、ファゴットうっきうきですよ。

 むくつけき男になるかと聞いたら青い炎のままでいいとのこと。青い炎は魔法でそう見えているわけだけど、魔法で変身させているのと違って、時間の制限を受けない。

 魔女馬車の御者になる契約を受けると、そう見えるようになるという契約というか制約とかいう奴なんだって。

 テイムの時もそうだったんだけど、契約魔法と普通の魔法はどうやら理屈が違うとかなんとか? そのへん理解する気がない、志ひっくーい私。いひひ。


 領都を出る。今日も今日とて大勢の人が領都に入るために並んでる。身分証を手にした人は並ぶ列が違うのはありがたい。またあの列に並ぶのは……。

 それにしても連日こんなに領都に人が来るのは何でなんだろう?

 ギルドは冒険者ギルドだけじゃなく、商人ギルドもある。そのどちらかに登録してあれば出入りはスムーズなはず。そのどちらにも属さない一般人が連日こんなに来るのは何でなのかな。

 そのことをエレンとファゴットに話すと、ファゴットが話し始めた。


〈数年前のスタンピードで被害を受けた村々からの移住者が増えて困ってるらしい〉


 伊達にむくつけき男になって歩き回っていたわけじゃないんだな、と思った瞬間だった。えー、ファゴットさん優秀な草の者じゃないですかー!


「数年前のスタンピードって、私達が特訓させられた時のかなぁ」

「多分そうだね」


 前世のような建築技術や機械なんかもないし、村の復興は大変なんだろうな。何とか頑張っていたけど、いよいよ立ち行かなくなって移住、なのかなぁ……。なかなかに世知辛い。せっかく魔法が使えて天狼という使い魔もいるのだから、たまには人助けをしようと思います。


 さて、ハーブ採取かつ薬草採取ですぞー!

 つい先日ルィヴナ草を納品したら、また頼まれた。ルィヴナ草はいくらあっても困らないんだって。あと今日は毒消しに使うアンティ草も。

 毒を持った魔物が春に生まれるらしくって、その毒消しとして必要なんだって。

 今日は私がアンティ草を採取。エレンはルィヴナ草を採取。なのでエレンは前回と同じエリアで採取をして、私とファゴットはアンティ草探しと地図埋めのためにもう少し先へ。


 風が吹くとざぁざぁと音がする。葉と葉が擦れ合う音でそう聞こえる。あちらこちらに薄桃色の花を付けた草があった。森では見たことのない草なので鑑定してみる。

 マウル草。気付け薬の原料になるらしい。なになに? 料理に少量入れるとピリッとした味となると。なるほどなるほど。これは採取していかねばですね。

 アンティ草とマウル草、お馴染みのハーブを採取していく。


〈こんな風に人の世界で自由に歩ける日が来るとは思わなかった〉


 しみじみとファゴットが言う。


「そういえば何でファゴットは妖精の世界を出て来たの?」


 妖精だけが住む世界があって、多くの妖精はそっちで暮らす。そのほうが安全だから。でもシルルやファゴットのように自分達の世界から出てくる妖精もいる。


〈人間の住む世界は妖精界と全く違うと知って興味を持ったからだ。あちらの世界も行ける場所は地図として描いてしまったからね〉


 やっぱり地図なんだ。


〈ただこっちに来てからは、人に攫われたり襲われかけることの連続でまともに地図を描けなかった。今はキリエとエレンのおかげでやりたいことができている。感謝している〉


 改まって言われると照れるけど、ファゴットが楽しんでいてくれるならなにより。


「こちらこそ旅の仲間になってくれてありがとう」


 旅は道連れ世は情け、っていう言葉もあるくらいだからね。とはいえ、これ以上は増やす気はないんだけど。いやだって、旅開始時に満員御礼だし。

 普通なら徐々に増える仲間が最初から揃ってるから、集める必要がない。出会いはあってもいいのかもだけど。


「キリエー、ファゴットー」


 エレンの声がした方を見ると、シエに乗ったエレンがこっちに向かって走って来ていたので、手を振る。


「エレンー! こっちだよー!」

「鳥の魔物仕留めてきた!」


 エレンは前世鳥で怖い思いをしたので、鳥が苦手。今生でも鳥を避けて生きるのかと思ってたんだけど、まさか格闘したのかな?


「シエとミトラがやっつけてくれた!」


 やっぱり苦手は苦手らしい。


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