423.聖付与のレイピアスキル
聖属性の細剣のスキルを見せてくれるという話になったのだが、なぜかみんなついてくる。
「訓練中でしょ? こちらは気にしないで」
「いいじゃないか、正直暇なんだ」
暇なのか。
俺の視線を受けて、エルフの男性聖騎士がウィンクする。
「時間があればハマドリュアスバブーンが増えすぎないように定期的に狩りに向かうんだが、君たち来訪者の方々がここのところよく狩りをしてくれているから、俺たちの出番が減ったのさ」
「ブルーアドミラルの狩りもしてくれているそうだしね。どうしてもそちらに時間をとられていたから助かるよ」
どちらも俺たちだな。
そんなことを言う同僚に、メイリアさんは肩をすくめたあと俺に向き直った。
「あちらでやりましょうか。聖属性は正直闇属性以外にはたいして効かないの。反面、闇属性に対しては驚くほどの効果を見せるわ」
「俺の天敵が闇属性なので嬉しいです!」
ミュスの野郎を一網打尽だ。範囲攻撃ください。
「闇属性が天敵……? あまり危ないところに行ったらヴァージル様が心配するんじゃない?」
「えー、あーまあ? でもどうしたって遊びに行きたいしなあ……」
「来訪者の特性ね。まあ、十分気をつけて。でも、そうね、闇属性の魔物と戦う予定があるならば、このスキルも役に立つわ」
そう言って教えてもらったのは三つ。
どうも雷系と同じような感じで使うことになるようだ。
【天光】は真っ直ぐ振り下ろした細剣の先に光が点り、その導きにならって聖なる光が相手を焼く。闇属性以外には単なる光。
【煌々】は細剣を地に突き刺すことによってそこを中心とした聖域を展開するそう。闇属性の魔物はその範囲に入ればダメージを受ける。
最後は【瑞光】。聖なる光をまとった剣となり、闇属性の魔物は切られたらその傷は治ることはない。
細剣は、スキル名を唱えながらポーズをとって、それがちゃんとできていると発動する。ポーズ大切。
ちなみにポーズは、忘れた時はナビが出る親切設計でした。俺の目の前に薄いグレーの人型がポーズ決めてくれるからそれ見て同じポーズをとればいい。
よく使うのは覚えてるけどね。【薄氷】なんかはかがんで真横に一閃する感じ。
最初は覚えるまでというか、きっちりキマるまで何度もやらされる。今回も一時間ぐらい四苦八苦してやっと覚えた。
「ありがとうございます!」
「こんな短い時間でマスターするなんて、来訪者の学習能力がとても高いという話は本当だったのね」
「スキル習得は何年もかかることがあるからな」
ナビが何度でも怒らずにお手本見せてくれるからなあ。人相手だとこうはいかないんだろうね。
「まあ、あまり危ないことばかりしないで、気をつけてね」
周りの聖騎士たちもうんうん頷いていた。
……ここは、俺の鬼門第六都市の隣。仲良くなっておいて損はない。
「本当にありがとうございました。こちら、エルフの方々の好物だと聞きまして」
と、ソウトゥースオークの実のキャラメル和えを取り出す。
周囲の聖騎士たちの目の色が変わる。もちろん、メイリアさんも。
「そんなに数はないんですけれど」
「嬉しい。ありがとう!! 他にも教えてあげたいけど、氷はもう持ってるみたいだし……何か新しい細剣用スキル覚えたら声を掛けるわね!!」
そう言ってやってくるフレンド申請。
だ、ダメぇー!!
ぺいっとお断りです。
すごくびっくりした顔をされた。
「ダメですよっ! 妙齢の女性が簡単に男に連絡先教えたらっ!」
「えっ、ふるっ!」
「妙齢……メイリアはもう、ぐふっ」
今みんな、甲冑までは着ていない。メイリアさんの渾身の肘打ちが横の男性の鳩尾にキマる。
「セツナくんは紳士なのね。じゃあ聖騎士団を通してヴァージル様に連絡さしあげるわ」
「それでお願いします!」
危ない危ない。もう十分、NPCのフレンドもあるし。女性はなおのこと必要ありませんから。
「あ、もしよかったらイェーメールの騎士団で大人気の丼もの食べます? 付き合わせてしまったお礼に」
「丼もの?」
「あっ! 隣の第九騎士団でなんか騒がしかったヤツ!!」
「お肉系嫌いじゃないなら」
森の人エルフたち。別にベジタリアンとかではなさそうだ。
そんなわけで食堂へ行き、牛丼カツ丼親子丼を振る舞う。俺もEP減ってきたし一緒に食べることにした。
「美味いっ!」
丼ものの威力はすさまじかった。あと、ここは海鮮丼もいけるらしい。
「海の幸はいいわよね。ここの海でも釣りができるわよ。船を出してもいいし、岬から糸を垂らすだけで釣れる魚もいるわ」
「釣りかあ。最近やってなかった。ちょっと挑戦してみようかな」
ジャック船長たちの船からしかやってないんだよな。
動画を投稿するようになったら、俺のアプリのトップにこのゲーム関連の動画が流れてくるようになった。その中にワールドのあちこちに釣りに行き、釣った魚をその場で調理するプレイヤーの日記のような配信があった。ちょっと楽しそうだったな。
俺がとったサーモンは、あれは釣りじゃなかったしなあ。
「海釣りは船が出ていたはずよ、確か」
「来訪者なら、あのプライベートビーチあたりにクランハウスがあるならそこで釣りをすればいいんじゃないか?」
「わりとすぐ釣れるね」
ほうほうほう。
「今度友人とチャレンジしてみますね」
それでもやっぱり牛丼カツ丼二大巨頭のようだ。
丼シリーズはどこでも使えるな。今後も駆使して胃袋を掴んでいこう。またちょっと牛肉調達に走らねば。
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ、美味しいものたくさんありがとう」
「また遊びにおいで」
聖騎士たちの好感度ゲットだぜ!!
闇の魔物が集まっているところに、『堕落した』を冠する闇の魔物がいるって話だから、聖属性の強化はしておきたいのだ。
細剣の聖属性の触媒を増やしておきたいし、汎用の触媒も準備したい。半蔵門線とピロリは触媒は用意したそうだ。一緒に行くときは先にもらっておかないと。
夜になるのでクランハウスへ。
クランハウスに戻るときはいつも自室だ。部屋を出て階下へ移動するとちょうど案山子がいた。
「やっほーセツナっちッ!」
「こんばんはー」
「あッ! セツナっち今、暇? 料理の材料取りに行きたいんだけど、一人で行くよりは誰かいてくれたほうが狩りが楽になるんだッ!」
「ああ、前衛的な? 案山子さんにモブが行かないようにすればいいですか?」
「んー、全部しっちゃかめっちゃかやっちゃう感じかなッ!」
紙装甲二人でそれは大変危険が危ないと思うのだが大丈夫か??
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誤字脱字報告も助かります。
闇の魔物に対する強力な技ゲットだぜ〜!!
明日はちょっと珍しい、セツナと案山子の紙装甲コンビです。




