第012話 『壁を越えし者』
よろしくお願いします
敵が死んだを確認する為に、レナは雷球を打ち込んでみた。完全に胴体が真っ二つになっているが、一応確認しておく必要があるだろう。
「反応は……無いかの」
雷球は当たったが、特に目立った反応はしなかった。確実と言えないが、死んだのだろう。
(剥ぎ取りは、無理そうじゃの)
今回の場合、殆どの人が気絶している為、打ち取ったという何よりの証拠が欲しいと言い出すだろう。
村人を落ち着かせるには、一番効果的だろう。
後でどれだけ吹っ掛けるかと考えていると、不意に
ピロリン♪
と音が鳴った。
この音はレナにとって、馴染み深い音だった。
VRMMO時代にレベルアップした時の音とそっくりに聞こえた。ならば、とレナは自分のステータスを確認することにした。
名称;レナ
種族;鬼人族(妖鬼)
職業;魔導師/暗殺者
LV;301
能力;生命・11020 魔力・10015 腕力・14025 敏捷 12020
スキル;詠唱10 時空間魔術10 雷魔術10 ⅯP上昇9 MP速 度10 暗殺10 総合剣術9 総合格闘術10 状態異常耐性10 再生10 剛腕10 瞬発9 料理7 隠密行動10 登攀8 気配感 知8 物理耐性10 魔力耐性8 威圧10 鑑定8 気力制御9
ユニークスキル:暗殺拳10 白雷
称号;壁を越えし者
装備;魔道王の着物、死龍の靴、神獣の環、剛力の首飾り、刻儀の聖銀 時計
如何やら、レベルアップしたらしい。あと称号を入手していた。
・壁を越えし者…レベルの上限を開放した証。スキルの値の上限値も開放 された。
新しいものを手に入れて嬉しいが、同時に不思議に思った。
何故、新しい称号を手に入れる事が出来たのか。何故急にレベルアップしたのか。
(情報が少な過ぎるのぅ)
他にも不思議な事がある。
それは、あの魔術が全力全開ではなかったからだ。
あの魔術はレナ特製のもので、全力であればLV300を一撃で倒すレベルのものだ。だが全力ではないのなら、その威力は激減する。
あの時は一撃目で体勢を崩し、二撃目で確実に当てるつもりだった。しかし手応えで、二撃目が必要ないと感じた。
だがレナの気配感知を躱したのは何故だろう。
スキルはカンストしていないが、十分な値である。加えてリアルスキルを組み合わせているだけであって、カンストまではいかないがかなり高いはずだ。
だがあのモンスターは、かなり弱かった。
この事などから推測すると、一つの仮説が浮かび上がってくる。
(誰かがすり抜けさせたのじゃ。そして童が気付かないのなると、童と同じ『壁を超えし者』の可能性があるじゃろう。しかも童よりレベルが高い者じゃ)
今のところは相手にしたくないと思ったレナだった。
ありがとうございました。