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78話 俺がノコノコと罠に掛かる訳がないだろ常識的に考えて……


 「それで首尾はどうだ」

 

 折からの火事により煙たくなってるセブラン寺院の中、『システィーナからの特使隊である』と言って押し入った黒装束に身を包んだ一団の長と思われる男が部下に尋ねた。


 「奥の部屋に地下通路へ続く隠し扉を発見しました」

 「案内しろ」

 部下の報告に眉一つ動かさずに淡々としている長。


 部下の案内により先ほどまでマウテリッツがシリウスと密談していた部屋へと向かう。

 既に彼の部下たちが入っており、礼を行う。

 

 「やはり地下通路は地下水路とつながっていて、奴らはそこへ逃げた様です」

 「そうか。ふん。教会の処理役と聞いていたが、案外馬鹿な奴だったようだな」

 部屋にいた部下の言葉に、長は気分を良くして隠し扉から見える地下への階段を覗いていた。


 彼らの計画はこうである。

 まず、近くで火事を起こし、煙で襲撃だと思わせて地下水路を使用して脱出させる。

 既に地下水路にはシスティーナの教会兵を放っており、さらに街中の主な地下水路の出入り口には部下を待ち伏せさせており、すぐに駆け付けられるようになっている。


 「奴を始末する為にシスティーナから教会の兵を与えられたが、その甲斐があったというものだ」

 そう彼は吐き捨てるように言うと、踵を返して部屋を後にする。


 「俺は市中へ出る。奴がノコノコ地上に出たら俺が仕留める」

 そう言って部屋を後にした。


              ※                ※


 「と、今頃襲撃者は思ってるんだろうなぁ……」

 「少し安易すぎませんか」

 「汚れ仕事を人に任せるからそういうのわかんねぇんだろ。な、三角チーズ殿」

 「いやはや……なんとも……」

 「敵にバレてしまいます。皆さまお静かに……」


 等と、セブラン寺院の敷地内の庭の端の草木が生い茂る茂みに、マウテリッツ、マーティアス以下マウテリッツ側の護衛5人、シリウスにその部下の合計8人が潜みながら移動をしていた。


 そう、彼らは地下通路を使って地下水路に逃げたと思わせて実は端の方に隠れて移動していたのだ。


 「このままだと敵の思惑通りに事が進む」

 と危惧していたマウテリッツであったが、地下通路を移動していた際にふいに天井が高くなっているのに気が付き、壁もどうやら登れるようになっているのを見て『これ、ひょっとして庭の端にある古井戸に繋がってるんじゃないのか』と見破り、シリウスを説き伏せて現在に至っていた。

 

 シリウスは足が悪い事を理由に拒否したが、先行したマーティアスが桶付きの縄を発見してどうにか脱する事に成功していた。


 「それにしても、よくここに古井戸があると判りましたね」

 シリウスは小声で関心してみせた。

 「ガキの頃を帝都で育った奴は大抵知ってるさ」

 そう言って伏せながら移動をする彼ら。


 彼らが向かった先は馬車の駐留場であった。マウテリッツが乗ってきた馬車に乗って脱出する手はずであった。駐留場は野外にあった。


 「よし、馬車の見張りは片付けた。馬の方は?」

 物陰からの奇襲により馬車の車の方を警護していた黒装束の連中を倒し、マウテリッツは確認を行う。


 「確保しました。今繋ぎます」

 マーティアスがそう言うが否やマウテリッツの部下が馬を連れて来る


 「流石長年我々の処理部隊として各地を放浪していただけはある……」

 シリウスはその手際の良さを見てそう呟いた。


 「お前らの手際が悪いんだよ。 で、お前さんは俺に何をさせようとしていたんだ?」

 マウテリッツは死体を片付けながらシリウスに尋ねた。


 「話せば長くなるのですがね。ガウデン氏はどうやら去年までガストビ商会とつながりがあったようなので、その帳簿や関係者がエドワードフ商会にあれば貴方の手引きで入手できれば。と思いまして」

 「で、そのエドワードフ商会がガウデンと繋がってない保証はあるのか?」

 「ええ、ガウデン氏はあの事件が起きた直後に手を切ってネルデール国の豪商に切り替えました。現に旧ガストビ商会やその表会社のレグザッグ商会の施設は全てその豪商が接収しています」

 なるほどな。とマウテリッツは相槌を打つ。


 「確かに最近、エドワードフがネルデールの連中が出てきたってボヤいてたが……なるほどなぁ」

 そう合点が行った様子を見せた。


 「いや、ならその豪商当たれよ」

 「それはネルデール側の仕事になるのでこちらとしては何も……って処ですね」

 「随分としおらしくなったんだな」

 「昔のように無茶はできなくなりました」


 等と話をしていると、どうやら準備ができたらしい。


 馬車は二つ.一つはマウテリッツの乗ってきた馬車、もう一つはその辺にあった荷馬車である。

 マウテリッツは最初3人で馬車に来たが、残りの3人は事前に徒歩で寺院に入っていた為、馬車に6人乗る事を想定していなかったのだ。

 それにシリウスら2名がいるので明らかに定員オーバーであった為、急きょその辺の荷馬車を拝借したのだ。


 「お前はそっちだ。運があったらまた俺の家で会おうぜ」

 「ええ、御武運を」

 そう言って4・4に別れて乗り込むマウテリッツとシリウス。マウテリッツは荷馬車の方である。


 そうやって馬車が動き出すが、しかし発見はすぐにされてしまう。


 というか、走り出してすぐに黒装束の連中と目があってしまう。


 

 「マ ウ テ リ ッ ツ ウウウウウウ!!!!」


 それはこれから始まるであろう戦いの幕が上がる咆哮であった。




 つづく。

やっと更新できました。

続きは一週間後の3月19日を目安にします。

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