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閉幕?


 「やあ。どうにか戻って来られました」


帝都ディバタールの某所において氏真がそう言って起きる。


 「お帰りなさい。こちらでも見ていたわ」

 そう言って氏真を迎えるのはオドレイの母、エミーリエ・ドラコーヴァ=エルディバである。


 そう、オドレイの母エミリーエである。


 オドレイに異世界の王の魂、今川義元を召喚し、嫌がるオドレイに埋め込み、オドレイの意識と義元の意識を混ぜ合わせて別の意識にさせた張本人。それがオドレイの母のエミリーエという人間である。

 いや、エミリーエはホビエルフであるが。


 「ねえ、貴方はどうしてオドレイに、いえ、貴方のお父様に()()()()を言ったの?」

 「あんな事?」


 氏真は不思議そうな顔をする。エミリーエの顔は至って真面目である。


 「貴方は最初、私の行いに怒りすらあった筈。何故このような事をしてまで得た異世界の魂の埋め込みを成功したのに、何故『破滅』に対する備えをさせないのか。何故自由にさせているのか。と私に聞いたじゃない」

 そう不機嫌そうな顔で言うエミリーエ。


 そう、エミリーエは自らの力である契約コントの力『ラプラスの魔眼』により別の未来を視た結果、このエルディバ皇国に『破滅』が来ると予見していたのだ。

 そしてその破滅の元凶こそがオドレイ本人だったのだ。


 だからこそ、エミリーエは異世界より魂を召喚し、融合させたのだ。


 「なるほど、わしが父上に自由に生きろ。と申したのが腑に落ちない。と」

 「ええ、私にはキツく言ったのに? と憤慨に値するわ」

エミリーエは冗談交じりに立腹したような仕草をする。


 「ふむ。ならば申すが、ああ言った方が父上は動くと踏んだからである」

氏真は顎に手を当ててそう弁明した。


 「貴方の御父上は自由に生きろと言うと領地経営をしだすの?」

 「うむ。父上、ああ見えてやる事成す事全て中途半端で嫌気が差す人でな……」

エミリーエの皮肉交じりの問いに、そう神妙に答える氏真。


 「結局、父上は料理もウナギの研究も手を出したはいいが、ある程度の結果が出たらもうやっていないでしょう?」

 「料理の方はやってるみたいだし、なんなら男色趣味の本を学友と共に書いてるみたいだけど」

エミリーエは言う。ここでいう学友とはヴァレリー・メサ=マゾビーアの事である。

 そう、オドレイはヴァレリーに男色趣味小説を()っているのだ。だからオドレイ視線では()()()()()()と呼んでいたのだ。


 「ふむ。しかし父上の事です。いずれ限界点に達するとやらなくなります。

 父上は残念ながら仕事の政治や内政以外に楽しみを見出す事が難しい方なのです。

 連歌も師にダメ出しをされて心が折れてやらなくなりましたし。


 父上は自由に生きろと言えば、政治や内政の道を歩む事になります。そういう人なのです」

そう氏真は言った。

これこそが子供氏真の、親の義元評である。


 「なんというか……仕事の虫なのね。貴方のお父様」

 「はい、そうなんです」

呆れるように言うエミーリエに、氏真はどや顔で答える。





 「まぁ、今後はことある毎に5文字・7文字・5文字の文字を使ったなんだかよくわからない詩を量産するぐらいはするかもしれません。ここには前世のような師はいませんので」

 「ほんっっとうによく分からないお父様だ事!!!」

 「ええ、困ったものです」

氏真のなんだかよくわからない言葉に、ついにエミーリエはキレるように言い捨てるが、それすら氏真は受け流すように言う。



 「(本当に……私はあの時、何を召喚したのかしらねえ……)」


ため息混じりに、オドレイの母エミーリエは思案した。



 開幕? おしまい

義元さんは、連歌は師範にダメ出しを食らった為に連歌をやらなくなったという話があるので

まるでカラオケが下手だと言われてへこんでやらなくなったみたいでかなり親近感があります。

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