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鏡魔法で成り上がれ!〜役に立たないといわれた鏡魔法はなんでもコピーできるチートでした〜  作者: 〜蒼〜
第六章 夏の長期休暇

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94.お祭り

「よっ!レクト。一緒に広場でやってる祭りにいこうぜ。」

「カイトさん?いきなりどうしたんですか?」


あれから2週間が経ち、夏の長期休暇はいよいよ終わりに差し掛かっている。

そんな中いつも通り依頼をこなして帰ってきた僕に、手を振りながらカイトさんが話しかけてきた。


「いやー、長期休暇なのにそれっぽいことひとつもしてないなって思ってな。

 あ、アートも一緒だぞ。」

「そういうことなら……」


最近は依頼ばかりでなかなか休んでなかったから、案外ちょうどいいのかもしれない。

……それにまだ、お兄ちゃんにあのこと話せてないし。


「それじゃそういうことで。

 俺はアートを呼んでくるからすぐに出れるように準備しておけよ〜。」

「はーい。」


その後お兄ちゃんが来ると、僕達はお祭りへ出発した。



**



広場に着いた時、僕は思わず感嘆の声を上げる。


「す、すごい……」

「流石王都のお祭りだな。」

「ま、こんくらいは当然だろ。」


広場には屋台が並び、あちらこちらが輝くカラフルな装飾で飾られている。

僕達が着いた時にはすでに遅い時間帯だったのにも関わらず、屋台は人で溢れていた。


「とりあえず一緒に回ろうぜ。どっか行きたいところはあるか?」

「僕はないな。レクトは?」

「うーん……じゃあ、射的に行ってみたい!」


実は僕自身はお祭りが初めての経験なのだ。

お祭りについてはメモの記憶でなんとなくは知っているが、せっかくなら自分でめいいっぱい楽しみたい。


()()()()、かぁ……ま、レクトなら問題ないか。」

「そうだな、レクトほどの実力があれば怪我することなく楽しめるだろう。」

(ん?射的って怪我するような要素あったっけ?)


お兄ちゃん達の不穏な言葉に疑問を覚えたりもしたが、メモの記憶によれば安全な屋台のはずなので、まあ大丈夫だろう。 


「それじゃ、出発!」

「レクトー、そっちじゃないぞ。」


こうして僕は人混みの中をはぐれないようにと3人で手を繋いで歩きだす。

こうやって3人で動くのも久々だったので、少し懐かしく感じた。



**



「ほら、着いたぞレクト。」

「おお!これが射的………シャ、シャテキ?」

「そうだぞ、これが()()だ。」


着いたのは"射敵"と書かれた看板を掲げる屋台。

だが、僕の想像していた射的とは少し––––いや、かなり違う光景が広がっていた。


『オラァ!火球(ファイアボール)!』

風刃(ウインドカッター)!っやっぱり簡単には倒れてくれないわね……!』


行われているのはどちらとも一歩も引かない魔法戦。

今のところは女の魔法使いが一歩リードして相手の出方を伺っているといったところ……


「って、そうじゃなくて!これ、なんなの!?」

「ん?レクトが来たがっていた射敵だろう?

 言い換えれば物を賭けた魔法戦だな。」

「ほら、この宝石でやってこい。宝石の代金はお前の兄に請求しとくから。」

「……この世界の射敵って、一文字違うだけなのにこんな物騒なものなんだ……」


つまりここは自分のお金か所持品を賭けて戦い、勝った方が負けた側の賭けたものを全て貰えるという、一種の賭場らしい。

……来たいと言ったのは僕なのだが、明らかにここは子供が来るようなところではない気がする。

だって周り見ても僕しか子供がいないもん。


「ほらレクト、空きができたぞ。頑張ってこい!」

「お兄ちゃん、ここで応援してるからな!」

(うっ、ここまで言われると今更やっぱりいいやとは言えないし……)

「わ、わかった。行ってくるね……」



言われた通りに屋台に設置されている結界で囲まれたステージに足を踏み入れると、周りでどよめきが起こる。


『おい、なんだあの子供?』

『さあ?迷子じゃないか?』

『おい!?次の相手は冒険者の中でも上位の狂人である、【血狂い】のザグラだぞ!?

 いたぶるのが趣味らしいし、助けに行かないとあの子供死ぬんじゃ……』


ステージに上がり、とりあえず賭けるための宝石を時空バッグから取り出そうとする。

しかしそれより先に、前から僕の2倍はあるんじゃないかと錯覚するほどの大男が歩いてきた。


「坊主、ステージに立ったってことは、戦いに来たってことでいいんだよな?」

「––––?はい、そうです。」


そう言うと大男は嬉しそうに顔を歪め、鍛えぬかれた拳を『ガンガン』鳴らしながら言った。


「よぉし、なら参加費はいらねぇよ!

 もし坊主が勝ったら今ここで、俺が今持っているもの全てをお前にやろう。もちろん坊主は何も払わなくていいぜ!」

「わかりました、それでお願いします?」


勝手に出てきて勝手に条件を決められたわけだが、別にこっちにはなんの不利益もないので了承する。

なぜこんな条件を出したのかは謎だが……


「僕が子供だからかな?」

[……ある意味ではそうでないでしょうか。]


メモは何か呆れていたようだったが、どうせそういう時は考えても理由なんてわからない。

ともかく、勝てばいいのだ。


「それでは両者合意の上なので、これより"射敵"を開始します!では、始めっ!」

写鏡(うつしかがみ)!」

「まずは一発目––––っな!?」


まず使える全ての身体強化(しんたいきょうか)系統の魔法を使い、強化された身体で相手の拳をスレスレでかわす。

そしてそのままの流れで懐に入り込むと、挨拶代わりの一撃を放った。


(まずは小手調べ––––)

「グファ!?」

「––––え?」


相手は思ったより吹き飛ばされ、結界に叩きつけられて動かなくなる。

さすがに演技だよね?とまだ警戒を続けていると、審判が宣言した。


「この勝負、レクトの勝ち!次の挑戦者はいませんかー!」

「……え?」

『おい、あの子供なら行けるんじゃないか?』

『よし、俺の全財産でぶっ飛ばしてやるよ!』


状況理解が追いついていない本人を置いて、観衆は煽り煽られヒートアップしていく。


(お祭りって、こんな物騒なものだったんだね……)

[レクトがおかしいだけですよ。]


その後レクトへの挑戦者は列をなして押しかけ、解放されたのは30分後のことだった。





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