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鏡魔法で成り上がれ! 役に立たないといわれた鏡魔法はなんでもコピーできるチートでした。  作者: 〜蒼〜
第三章 霧の道化

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38.記憶

レクトのチートが加速してる気がする……

魔法は間違いなく命中した。

だが倒れているのはサイだけで、クラウンは何事もなかったかのように立っていた。


「やるね♪

 やられるところだったよ♪」

(無傷?何か絶対に仕掛けがあるはずなんだけど……)


本当はじっくり考えていたいが、魔力がもう1割をきった。   


(これ以上引き伸ばすと風纏(ふうじん)が解けて動けなくなる。

 その前に終わらせないと!)


だがクラウンは攻撃をしてくる気配がない。

疑問に思いながらもクラウンに向けて魔法を放つと、魔法が当たった瞬間にクラウンが白いモヤとなって霧散した。


「上だよ♪」

「!?」


その声が聞こえると同時に僕に水球(ウォーターボール)が降り注ぐ。

纏っていた風を強め、吹き飛ばされるような形でその攻撃を躱すと、白いモヤが辺りを覆い始めた。


(なにこれ?土煙ではなさそうだけど。)

[霧という自然現象です。

高いところなどでよく見られ、人体に害はありませんが視界を奪います。]


視界が奪われるのはなかなかに厄介だ。

魔法の無駄うちができないこの状況だと、範囲攻撃を放つしかない。

しかし範囲攻撃は少し離れたところにいるケント達を巻き込む可能性がある。


(ていうか、クラウンの魔法属性はなんなんだ?)


さっきまでは風と水の二属性持ちかと思っていたが、霧という謎の現象を引き起こしたことから、その予測自体が違っている可能性がある。

だがこのまま何もせずにここにいれば、すぐに魔力が尽きてしまう。 


「しょうがないか……写鏡(うつしかがみ)。」


そう唱えると、自分を中心に風が吹き荒れる。

映したのは竜巻(サイクロン)

台風(ウォーターサイクロン)にしなかったのは、あくまで目的が霧を晴らすことだからだ。

だが……


(……メモ、こんな風に煽られても霧ってなくならないもの?)

[……通常の霧であったら消えてなくなっていると思います。]


霧は無くならず、魔力は削られていく。 

しかも霧は明らかな異常をもたらした。


(あれ、魔力制御がうまくいかない……やば!?)


咄嗟に風纏(ふうじん)を解除し、僕は地面に倒れ込む。

体を見てみると痛みを感じないからわからなかったが、風纏(ふうじん)によってところどころに切り傷ができていた。


「やっぱり限界だったんだね♪」


そんな声が聞こえると、クラウンが前から歩いてきた。


「……僕をどうするの?」

「ここで殺す……ができれば一番いいんだけど、上からの命令で強い魔法使いは連れて行かなきゃいけないんだよ♪

 大人しくしててね♪」

「すると思うの?」

「……あの子達がどうなってもいいの?」


少し低い声でクラウンはケント達の方を指差した。

霧でよく見えないが、危ない状況なのは間違いないだろう。


(……打開するにはどうすればいい?)


体はもう動かない。

魔法もあと映鏡(うつしかがみ)が3回使えるか使えないかの魔力しか残っていない。


(もっとちゃんとケント達を見ていれば、大人達にここを伝えていれば……ここにいたのがアートお兄ちゃんだったら、こんなことにはならなかった。)


後悔が溢れてくるが、心に押し込んで考える。


(魔法はイメージだ。

 この状況を打開するイメージ……思い出せ、まだ何か、この魔法について忘れていることがあるはずだ……)


僕は記憶を辿り、辿り着く。


(……メモ?メモだ!)


選定の儀の後、家を追い出されて途方に暮れている時に、メモを作り出したことがあった。


(あの時は確か()()()()()()……記憶を写す?)


心の中で空いていたピースが埋まった気がした。


(……心写鏡(メモリーミラー)。)


記憶を写すことを意識して使った魔法は、驚くほど簡単に成功した。

写した()は自然現象そのもので、これで倒せないなら……と言ったレベルの物だ。

あとは隙さえ見つかれば……


そんなことを考えた瞬間、神の導きか、たまたまなのかはわからないが、クラウンが焦ったような顔でケント達の方に走り出した。


(ここしかない!)

「映鏡!」

「無駄なことを……!?」


魔法を発動させた瞬間、光と轟音で辺りは埋め尽くされた。







レクトの映し出したものは、映し出している限りずっと残り続ける。

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