12.間話 兄の憂鬱(アート視点)
少し遅れました!
僕の名前はアート。
色々あって貴族学院に通っている元貴族だ。
そんな僕はチャイムが鳴り響く中、大きなため息を吐いていた。
「はぁぁぁぁ。」
「どうした、そんなに大きなため息なんてして。幸せが逃げちまうぞ?」
カイトに話しかけられて僕は振り返る。
「レクト成分が、レクト成分が足りていないんだ!」
「えー、また弟の話かよ。」
「またとはなんだ、またとは。これは死活問題なのだぞ!それにまだ数百回だぞ?」
たかが数百回でなにを言ってるんだ。
「それを普通はまたと言うんだ!それにレクト成分ってなんだよ!?」
「レクトが出す神々しいエネルギーに決まっているだろう。」
「はぁぁぁ、アートが弟が関わると変態になるのは俺は慣れたが、周りはドン引きだったぞ?」
周りを見渡すと、確かにドン引きされているようだが、なぜだろう?
「前の領主の息子がいるって言うから来てみたら、まさかこんな貴族っぽさのかけらもないシブラコンだなんて思わないだろ。」
そう、こいつは僕の親友でもあり、僕の両親が管理していた領地の後任者の息子でもあるのだ。
「なんだかんだ言って僕に構ってくれるくせに。」
「まあそうだが、っていうかお前は黙ってたらかっこいいのに、喋るとダサくなるのはなんでなんだ?しかもそれでモテるんだもんな〜。」
「知るかよそんなこと僕に言われても。
まあ確かに4属性持ち、成績トップ3に入れるぐらいには頭がいいが、それだけだろう?」
「それに加え、顔が良く、性格もいい。モテないわけがないわけか。」
今日はやけに褒めてくれるな、と思い警戒しながら話を聞く。
こういう時は大体面倒な頼み事がある時だ。
「それでさ、今度の帰省の時に一緒についてきてくれね?」
ほらやっぱり。
「やだね!僕がレクトと過ごす時間が減るだろう!」
「このブラコンが!俺がお前について行けばいいだろう?」
「でもそれ帰省にならなくないか?」
「なーに、1日顔を出せば問題ないさ。」
そんなことないと思うけどな〜。前の帰省の時に挨拶ついでにお邪魔したら、カイトに友達がって泣いて喜ばれたのだ。
「まあそう言う事で!そっちの家は、お貴族様は泊めてくれるんだろ?」
「まああの親なら泊めてくれると思うが……」
「よしじゃあ決まり!」
「え〜。」
こうして冬の帰省は友人がついてくることが決まったのであった。
(あっちの親に殺されそうだな〜。
……レクト、元気にしてるといいんだけど……選定の儀の結果次第で酷いことになってそうな気が……
杞憂だといいんだけど。)
そんな願いも届かず、レクトはこの時初依頼をこなしているのであった。
友人の名前はカイト、兄の名前はアートです。




