表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JKのプロ野球GM奮闘記  作者: 秋山如雪
第4章 上昇気流
22/30

第22話 スタートライン

 9月初旬。


 埼玉ジャッカルズとの3連戦に勝ってから、すぐのこと。


 次の3連戦は、対仙台シャークス。

 場所は、仙台スタジアム。


 そこがまさか後の「スタートライン」になるとは、私を始め、誰しも思ってはいなかった。


 仙台シャークスは、昨年度5位、今年度は3位の成績をキープしていた。

 3連戦前の時点で、我がユニコーンズとのゲーム差は2.0。


 つまり、この直接対決で3連勝すれば順位が逆転し、2勝1敗でも並ぶことになる。


 仙台シャークスは、「投手力」が強いチームだ。


 エースは、山谷やまやごう。右投右打、34歳。

 技巧派のサブマリンで、蒲生虎太郎と同期入団だった。

 昨年度の成績は、防御率1.85、12勝10敗。


 球種は、ストレート以外に、スライダー、カーブ、シンカー、チェンジアップなどエースには珍しいタイプの軟投派投手と言っていい。


 抑えは、伊達だて太陽たいよう。左投左打。28歳。

 昨年度の最優秀救援投手で、2種類のスライダーとカーブ、チェンジアップが武器で、特に縦のカーブは、「消える魔球」と言われ、奪三振を量産していた。

 最速154キロを誇る、「仙台の守護神」として活躍していた。


 対して、私はまたも明確な作戦は考えられずにいた。

 そもそも毎回毎回、そんな簡単に作戦を考えられるわけではないし、プロ野球界の1年は長い。


 そこで、明確ではない物の、島津監督には大阪ドリームスの時と同じように「守備の穴」を突くことを提案。

 ただし、今回はバントではなく、単純に打撃で揺さぶることを提案した。


 仙台シャークスの弱点は、守備力の弱さにあったからだ。


 投手力で持っているチームゆえに、投手以外の守備に「穴」があった。

 愛華のデータから、「失策」というデータを抽出すると、12球団で一番この値が高いのがこのチームだった。


 もっとも昨年はそんなことはなかったが、今年はどうもこの失策が目立っていた。


 あとは、成り行きに任せることにして、私はいつものように遠征には従わず、試合も見ずに自宅で勉強していた。


 もちろん、今回も仙台には愛華と神戸を同行させている。


 3連戦の初戦。

 午後10時頃。


 愛華からLIMEが来た。

―勝ちました。7-3です―


(すごい。あの投手力のチームから7点も取ったのか)

 というのが、まず一番最初の驚きとしてあった。


 詳しく聞くと。

―打っては、相手チームのエースの山谷選手と同期の蒲生選手がタイムリーで先制し、ロペス選手が2打席連続のホームランです!―

 普段は、冷静な愛華が、文面からも喜びが溢れてきそうな、エクスクラメーションマークをつけていた。


 さらに詳しく聞くと。

―ロペス選手は、相手投手の球を完璧に読んで、1回目は130m、2回目は150m級の特大アーチを放ちました―

 とのこと。


 お立ち台では、真面目くさった顔で、英語でインタビューを受けていたそうだ。


 どこか、「求道者」的な雰囲気のあるロペス選手らしいと思った。


 そして、この初戦の勝利により、ユニコーンズは埼玉ジャッカルズとの3連戦最終戦から続けて2連勝。


 さらに、予想外のことが起こった。


 続く2戦目、3戦目を連勝して、一気に4連勝。3位の仙台シャークスと入れ替わる形で、ついに3位に浮上。


 シーズン開始から6連敗もし、最下位に沈み、散々ネットで叩かれていた、私やユニコーンズ。


 しかし、

―ユニコーンズ、強え―

―ロペスのホームラン、エグい―

―ロペス、苦手な変化球までホームランにしてる―

―蒲生は、山谷との同期対決に勝った―

―蒲生、復活!―

 インターネット上では、ユニコーンズの話題で盛り上がっていた。


 そのことにほくそ笑む私。

 実際、ロペス選手は、一昨年に東京ビッグボーイズが獲得したが、活躍せずに、すぐに解雇された選手。

 蒲生選手は、34歳のベテランで、足も肩も悪いため、トレード要員として私が獲得した選手。

 これに大阪ドリームス出身の柏木選手を加えた3人が、私が北浦源五郎の抜けた穴として補強した選手だ。


 彼ら3人の年俸を足しても、6200万円。

 その金額以上に活躍してくれるのだった。


 残りは、柏木選手の復活を待つばかり。


 そして、ここからがスタートラインだったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ