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スター・スフィア-異世界冒険はおしゃべり宝石と共に-  作者: 黒河ハル


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第94話:脱獄作戦

「『毒牙撃(ヴェノム・ファング)』!」



蛇女(ラミア)の右手に毒々しい色のエネルギーが集中している…

初見のはずだが、見覚えがある

似たような技、たしかセリーヌが使ってたか?


あれと同じ効果なら、まともに受けるわけにはいかないな!



「シャアアアッッ!!!」


ブオッ!


「おっと!」



ボロ剣で攻撃を受け流す

受け流した惰性を殺さず、回転斬撃の体勢へ移行した



「そらっ!」


ガシュッ!


「ギャアアア!!」



ボロいとはいえ、腐っても剣

鱗のある下半身はともかく、上半身の柔肌くらいなら俺の力でも切り裂けた


彼女の背中に大きな傷が刻まれる



「おのれ…ッ!!

一度ならず二度も…!

オマエ、絶対アタシが喰ってやるからね!」


「そりゃ楽しみだ!

だけど、生憎アンタは俺の好みじゃない。

どうせ食べられるなら若い魔物がいいなぁ!」


「この……ッ!!

アタシはまだ五十代よ!!

アンタがキズつけなければもっと綺麗な肌なんだから!」


「…………」



人族からすれば立派なオバチャンなんだけど…


待てよ…

セリーヌの基準から考えると二十代くらい?

いや、あいつは『妖精猫(ケット・シー)』だから一緒の基準とは限らないか



「遊びはおしまいよ!

こんな衆目が激しい所でアタシの『脱皮』まで晒したんだから、いい加減くたばりなさい!」



今度は両手にあの毒のエネルギーを纏った!

ラッシュを仕掛ける気か!

そういうことなら…


ブン!


「あっ!?

………うッ!?」


「チェックメイトだ」



攻撃が行われる前に先手を取った

後ろに転移(テレポート)し、左腕で顎を持ち上げ、喉に刃を突き立てる

いわゆるホールドアップだ



「……どうしたの?

早く殺りなさいよ」


「その前にちょっと聞きたいんだ。

お前が付けてるその首輪…何?」


「……ただの魔道具(アーティファクト)よ。

試合が終わっても暴れたり、ここから脱出しようとした時とかに作動するの」


「作動するとどうなる?」


「光ってボーン!…よ。シンプルでしょ?

あーあ、これ使ってアンタを巻き添えにできたら良かったのに」


「………………」



俺とフレイは牢屋の中である作戦を考えた


俺たち以外の仲間の行方は依然として分からないまま

かといって、下手に調べようと動けば、ルカとセリーヌが危ない


そこで考えたのが『お仲間を増やそう』作戦だ


警備をぶっ飛ばしたり、魔物を殺るのは簡単だが、俺たちの目的は闘技場で武勲を立てることじゃない


あくまで仲間を救ってここから脱出すること


そのために、警備だろうが魔物だろうが利用できそうな奴はどんどんスカウトしようということになった


まぁ、あの脅した奴はちょっとやり過ぎちゃったけど…


ちなみに魔物に関しては意思疎通できる理性タイプ限定だけど、どうやらコイツらも無理やり闘わされてるみたいだし、上手く説得すればいけそうだ



「あんたら魔物達は…どうやってここに来た?」


「…ちょっと、さっきからなんなのよ?

いつまでこのポーズ続ける気?

早く殺ってよ」


「まぁ、待てよ。

俺たちも巻き込まれてここへ来たんだ」



俺はできる限り手短に、こちらの経緯を蛇女(ラミア)へ伝えた

それを聞くと、彼女はますます疑念を増した顔つきになる



「事情は分かったけど…

なんでそれがアタシが協力する理由になるのよ?」


「『取引』しようってことだよ。

俺らは人質に取られている仲間さえ取り戻せば、あとはいくらでも暴れて脱出できるんだ。

それに便乗してお前らも…ってことよ。

もちろん、その首輪も何とかする。

魔物側(そっち)でもできる限り仲間を集めて欲しいんだ」


「……………」



蛇女(ラミア)は押し黙った

きっと揺れているのだろう

潔く負けを認めてこの世を去るか、恥を忍んで自分をキズ付けた男の手を取るか…


プライドが高い奴ほどこういう説得をする難易度は高い



「………フン、今回だけよ。

ここから脱出できたら、また敵同士に戻ってアンタを殺しに行くわ」



うっし!

また仲間が増えた!

この調子だ!



「よし!決まりだな。

それじゃあ、俺を投げ飛ばせ」


「ええっ!?な、なんでよ?」


「俺からこの拘束を解いたら怪しまれるだろ?

その後時間いっぱいまで死闘を演じ続けるぞ。

詳しい作戦は次のラウンドで話そう」


「なるほど…ねっ!!」


ブオン!


〔あーっと!?

4-706の剣士が折角のチャンスをムダにしてしまった!

もう残り時間は少ないぞ!〕


「よぉし!いいぞぉ!!

蛇女(ラミア)!早くあの男を殺せ!」



投げ飛ばされたあと、犬頭(コボルト)と闘っているフレイの注意を引き、ジェスチャーで作戦成功を伝えた


彼女は頷き、再び戦闘へ集中する


同時に俺も蛇女(ラミア)へ意識を戻した



「アハハハッ!!残念だったわね!

所詮はニンゲン、アタシのような高貴な魔物に適うわけないでしょ!」



おお!?

なんだあいつ意外とノリノリじゃないか!

それなら俺も乗らずにはいられない!



「ヘッ、いやぁみくびっていたぜ!

さすが人間よりずっと長生きしてる魔物サマは、貫禄があるねぇ!」


「……ああ!?誰が悪臭ババアよ!」


「言ってないけど!?」



被害妄想だ!

つーか、どんだけ犬頭(コボルト)に言われたこと引きずってんだ!

いい加減忘れろよ!


そのあとも罵り合い多めの戦闘を続け、ついにタイムアップとなった


よしよし、だいぶ時間稼げたぜ

これなら脅した奴も仕事できたろ


試合が終わると、蛇女(ラミア)は別れ際に首だけを向けてこんなことを言ってきた



「アンタ…私が出会ったニンゲンの中でいちばん〝イカれてる〟感じがするわ。

その狂気じみた内面…大事に育てることね」


「……?

よく分からないけど、イカれてるのはこんな闘いを仕組んでそれを見世物に愉しんでいる上のヤツらだろ?」


「……フフッ…!」



蛇女(ラミア)は嘲笑だけかまして門の向こうへ消えていった

そのあとをフレイがボコボコにした犬頭(コボルト)も追いかけて行く


……俺が、イカれてる…?




こんにちは、黒河ハルです。

貴重なお時間を消費して読んでくださり、とても嬉しいです!



ここから少しずつ、零人たちの逆襲劇が始まります。

たまには日常パートとかも書いてみたいです。



「続きを読ませろ!」と思った方は、ぜひブックマーク、並びに下の☆を『5つ星』お願いします!

評価次第では更新が早くなるかも…?

ぜひご検討のほどよろしくお願いします〜

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