第85話:ウィーヌス
「こちらがお支払い頂いた分のチップになります。
それではどうぞお楽しみくださいませ」
「ああ、ありがとう」
現金をいくらかチップに交換して、ザベっさんとリックの所へ戻る
こんくらいあれば充分だよね?
「ただいまー。
チップ持ってきたぞー」
「おかえりなさい、レイトさん」
「……………」
先ほどジョナサンとかいう男が退散してから、どうもリックの調子がおかしい
ずっとカタカタ震えっぱなしだ
そんなにギルド長の名前出したのがキツかったのだろうか?
さっきザベっさんにも少し彼女について聞かれた
考えてみれば、あの時『ギルド長』に呼び出されたってしか言ってなかったな
「なぁリック、ゴメンってよー。
まさかそこまでお前がトラウマなってるとは思わなかったんだよ」
「な、何言ってやがんだァ?
別にオレはトラウマなんて…」
ますますリックの顔は青ざめていく!
ホントあの時いったい何言われたんだ!?
「いえ、私も驚きました。
まさかカジノで猛威をふるっていたあの女性が冒険者ギルドで勤めていらしていたとは」
「あれ?ザベっさ…エリー知ってるの?」
おっと、元の呼び名になりかけたぜ
彼女はコクンと頷いた
「私が坊っちゃまを連れ戻しに『裏賭博場』へ潜入していた時の話です。
ご存知の通り、坊っちゃまは持ち前の『幸運』をゲームでも遺憾なく発揮し、勝利を重ねていました。
しかし、その『幸運』でさえも跳ね除けた1人の凄腕プレイヤーが居たのです」
「それがギルド長?」
「はい。
彼女は巧みな心理戦と話術を武器にして、他プレイヤーを誘導、壊滅に追い込む恐ろしいお方でした。
なぜ『夜の歌姫』と呼ばれているのかは分かりませんが…」
「喋ることが武器とは…
むぅ、なんだこの対抗意識は?」
「だっ!?おい喋んなって!」
いきなり会話に混ざってきたルカを小突く
自分も喋りたい気持ちは分かるけど、ちょっとくらい我慢しろって!
それにしても『心理』戦か…
疑心に満ちた空間で心の読み合いで勝つのは容易なことじゃないな
それもジオンの幸運すら敗るなんてすげぇな
むしろあいつ喜んでんじゃね?
「なァ…そろそろ医者を探しに行こうや。
その女の話はあまりしないでくれ…」
「あ、そうだね。
…てか、やっぱりトラウマなってんじゃん」
☆☆☆
カジノ内を歩き続けてしばらくたった
思ったよりここの空間は広く、オマケに人もわんさかいて中々それらしい人物を見つけずらい
本当に医者なんてここに居るのだろうか?
「エリー、そろそろさっき言ってた『予想』教えてくれよ。
このままウロウロしっぱなしだとまた怪しまれるぜ?」
「私も先ほどから探しているのですが…
仕方ありません。
まずはどこか適当にゲームへ参加しましょう」
はあ、しょうがないか
俺はゲームは好きだけど、こういうアナログなゲームは得意じゃないんだよな…
ま、別に本気で勝ちにきたわけじゃないし、軽く遊んでみるか
「あ、オレちょっと便所行ってくらァ」
「は!?おいリック!?」
俺の制止をすり抜けて、リックはズンズンと独りで離脱してしまった…
もーなんであいつはこう協調性が無いんだ!
「放っておきましょう。
それよりあちらのテーブルが空いています。
参りましょう、レイトさん」
「はいはい」
ザベっさんに腕を組まれながら、全席空席のテーブルへ近づく
ここは何かのカードゲームのようだ
ディーラーの人がこちらを見るとニコリと微笑んで席をすすめてくれた
黒リボンを胸に付けた『犬人』…
人懐っこそうな女の人だな
「フフ、これは珍しい。
人族と霊森人ですか…
どうぞ、お好きな席へお掛けください」
「ああ、ありがとう。
ところでこちらではどんなゲームを担当しているんだい?」
「こちらでは『ウィーヌス』を開催しております。
お客様は初めてですか?
良ければルールを説明致しますが…」
もちろん知らない
というか、異世界のカードゲームなんて知ってるわけない
愛しの我が妻に目をやると、首を横に振った
本当にジオンを連れ戻しに来ただけで、自分は遊んだりはしなかったんだな
マジメな女だ
「お願いするよ」
「かしこまりました。
ゲームは52枚のカードを使用します。
それぞれ異なる絵柄と数字が割り振られており、ゲームによっては役割も発生します。
しかし、この『ウィーヌス』ではシンプルなのでご安心を。
このゲーム目的は自分の手札を『21』にするだけ。
ね、簡単でしょう?」
「え?う、うん…」
ディーラーのお姉さんはカードの役割が書かれたルールブックを渡してきた
『21』…?
いや、まさかな…
「まずはお客様にベットするチップ分を差し出していただき、私とお客様にカードを2枚ずつお配りします。
その際、私はカードを確認後、場に伏せた状態で1枚だけめくります。
お客様には手札が21へ近づけるよう吟味して頂き、そこからさらに手札を1枚追加するか、その手札で勝負を仕掛けるか選択して頂きます。
しかし、手札を追加する選択をした場合にはご注意を。
21をオーバーしてしまうと、『バースト』となり、ゲームは即敗北となります。
そして勝負を仕掛ける時、場に手札をオープンして頂き、私は残りの伏せた手札をめくります。
手札次第では私も同じように追加します。
その合計の数が私よりも21に近い、または私が『バースト』した際はお客様の勝利。
私の手札より低ければ敗北となります。
…と、これがゲームの基本となりますが、ご理解頂けましたでしょうか?」
………………………………………………………
「…レイトさん、どうしました?」
いや、これ……………
「ブラック・ジャックですやん…」
こんにちは、黒河ハルです。
貴重なお時間を消費して読んでくださり、とても嬉しいです!
中々戦闘シーンまで辿り着けない…!
はやく書きたい!
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評価次第では更新が早くなるかも…?
ぜひご検討のほどよろしくお願いします〜




