第630話:検問所の攻防
☆間宮 零人sides☆
「薬剤士の男だって? ああ、そいつなら今朝がたこの門を出て行ったぞ」
俺とナディアさんは屋敷に戻り、カーティスと合流。
その後、レガリア西門の検問所へ急行した。
常駐してる兵士に件のオヤジのことを聞いてみると、やはりここを通っていたようだ。
「くっ、行動が早い…行き先は?」
「さてね。あいにくそこまでは聞いていないな。
仮に知っていても情報保護の観点から、いくら君でも教えるわけにはいかん」
「ぶーぶー。オマエ、ケチんぼー」
「おいやめろってカーティス。とにかく俺らも行きましょう、ナディアさん」
「うう…お姉ちゃんは気が乗らないぞ」
二人の手を引っ張り、検問所の門を潜る。
警備隊であるナディアさんの顔パスを利用できたおかげで、そこまで時間が取られなかったのは救いだ。
「おっと待つッスよ、マミヤパイセン。
この僕をスルーするなんてヒドイじゃないですか」
「えっ? …あ」
門の外に出る前に、検問の窓越しから誰かに呼び止められた。
ついこないだ会ったばかりの、リベルタだ。
こいつなんでこんなとこに…いや、別にいま考えることじゃない。
「これはこれは、我らが警備隊のヘッドのウォルト総隊長と…また新しい女ッスか?
美女ふたりも両手に侍らせてちゃってまあ、ちょっと見ない間にずいぶんと良いご身分…」
「悪いリベルタ。俺ら、今日は忙しいんだ。
じゃあな、今度また遊んでやっから」
「は? あ、パイセン…!?」
なんだか話が長くなりそうだったので、少し強引に切り上げて外へ出た。
さて、あとはカーティスをドラゴンに変身…
「パイセン! だから無視すんじゃねえッスよ!」
「わっ!?」
またもや、リベルタに呼び止められる。
急に後ろから叫ばれたからビックリした。
わざわざ検問所を抜け出して俺たちを追っかけてきたようだ。
んだよもう、急いでるってのに!
「そんな焦っていったいどこに行くんスか?
そんくらいは教えてくださいよー」
「だから、さっきそこで話してたろ!
俺らは今、薬売り野郎を追ってんの!
駐在のお巡りさんはとっとと持ち場に戻れ!」
「薬売り…?」
リベルタは指を口に当てて、何かを思案し始めた。
まずいな…警察のコイツが近くにいるんじゃ、身分を詐称しているカーティスをドラゴン形態に戻すことができない。
どうにか追い払わないと!
「ナディ…お姉ちゃんも言ってやってください!
俺たちの仕事の邪魔すんなって!」
「むう、さっきの市場だったら言っていたが、今はどちらかというと、むしろ邪魔してもらった方が私的には、良かったり…?」
ちらりと、カーティスを見るナディアさん。
どんだけ空飛びたくないんだこの人。
「オマエ、おもしろいマント付けてるね〜。
その描かれてる魔法陣って、〝精霊〟が作ったやつでしょ?」
そのカーティスは、興味深そうにリベルタの周りをうろちょろしている。
「え、そうスけど…よく初見で分かりましたね。
マミヤパイセン、この子何者ッスか?」
「カーティス・バルガ。最近加入したばかりの、うちのパーティーメンバーだ」
「ほーん。竜人族見たのは久しぶりかもしんないッス。僕はリベルタ・シェパード。しくよろ、カーティスさん」
「うん、よろしく〜」
リベルタとカーティスは軽く握手を交わして、互いに自己紹介を行なった。
カーティスのやつ、また私はドラゴンですとか言わないだろうな?
ていうか、今そんなことしてる場合じゃないんだけどな!
「マミヤ殿。カーティスに乗る前に、お手洗いに行ってきても良いだろうか?
お姉ちゃん、ちょっとお腹が痛くなってきて…」
ナディアさんが腹をさすりながら、ふいにそんなことを言ってきた。
「えー? もう、しょうがないですね…。
んじゃあここで待ってますんで、早く済ませてきてください」
「分かった!」
警備隊のいる検問所へ走って行く彼女。
トイレはそっちで借りるつもりのようだ。
「マミヤパイセン」
「ん?」
「カーティスさんに…『乗る』って?」
「あ」
し、しまったァァ!!
カーティスの言動にばかり注意を払っちまってた!!
早くごまかさないと!
「えっと、それはだな…」
「今から二人を乗せてさっき言ったお薬屋さんを追いかけるんだよ! マー坊、最近いっぱいワタシを頼ってくれて嬉しい!」
「ちょおお!?」
「は? 二人を…? おんぶするってことじゃなくてッスか?」
ますます疑念を強めたリベルタは、ジィと、俺の顔を覗き込んでくる。近い近い!!
「なんか隠してますね。それも特大のネタを。
ほら、早くゲロってください」
「隠してない隠してない! 言いがかりだ!」
「パイセン〜いちおう僕警察ッスよ、け・い・さ・つ。さっきのウォルト総隊長といい、アンタらには不審な行動が目立ちます。ちょっと検問所まで戻ってもらいましょうか」
がしりと、腕を掴まれてしまった。
このまま連行されて呑気に取り調べなんぞ受けようもんなら、ターゲットを逃してしまう。
……背に腹はかえられない。かくなる上は!
ガシッ
「? どしたのマー坊」
拘束されてない方の手をカーティスに伸ばし、俺は座標を検索した。
場所は…前回カーティスをドラゴンに変身させた、人気のない空き地。
「捉えた。じゃ、行くぞお前ら」
「行く? マミ…」
ブン!
こんにちは、黒河ハルです。
貴重なお時間を消費して読んでくださり、とても嬉しいです!
運悪くチャラ騎士リベルタに捕まった零人くん。
彼は何か忘れてますね笑
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何卒、なにとぞっ!底辺作家めにお慈悲を…!!




