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スター・スフィア-異世界冒険はおしゃべり宝石と共に-  作者: 黒河ハル


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第622話:竜騎士の誘い

「やったなカーティス。そら、ご褒美だ」


「ワーイ♪」



 武器をガントレットに格納し、俺は鞄から干し肉をぶん投げた。

 カーティスはそれをパクッと咥え、美味しそうに咀嚼する。



「なんとあざやかな闘いだ…君は、本当にただの冒険者なのかい?」


「えっ、冒険者!? この辺で赤竜(レッド)を従えてる冒険者なんか居ましたか!?」



 竜騎士(ドラグーン)のお二人さんが、それぞれのドラゴンを連れてこちらへやってきた。


 モリッツさんの飛竜(ワイバーン)は胸部から出血してるものの、大事無いようだ。


 そんで片方の若い兄ちゃんがダンって人か。

 いちおう、軽く挨拶ぐらいはしておこうか。



「俺は『蒼の旅団』頭領(リーダー)、間宮零人だ。

 そちらの偉そうな警官さまに、俺の冒険者カードパクられたままでね。

 切符切るなり罰金なり、処分受けるからさ。

 とっととカード返しておくれよ」


「蒼の…? パクられ…? モリッツ兵長、これはいったい?」



 少し嫌味を込めて言うと、ダン君が訝しげにモリッツさんを見た。

 しかし、モリッツさんはキョトンと首を傾げる。



「えーと、今回は初犯だったし…特別に見逃そうと思ってたんだけど、そんなに君は反則金を支払いたかったのかい?」


「へえっ!?」



 なにぃ!? クソったれ!

 それなら大人しく待っとけば良かった!

 どうして俺はこう要領が悪いんだ…。



「はっはっは、冗談だよマミヤ君。

 君のおかげで我らが市民たちを守れた。

『デビル』なんて、僕らのような下級の竜騎士(ドラグーン)じゃあ対処できなかったからね。

 助けてくれて、ありがとう」



 モリッツさんは微笑み、カードを返してきた。


 おや? なんだ、意外と話分かる奴だな。

 最初のときはどことなくキザな感じだったけど、礼節はきちんとしている。

 今度から巡査じゃなくて警部補と呼ぼう。



「んじゃ、俺らはこれで…」


「いや、ちょっと待つんだ」



 カーティスに騎乗し帰ろうとしたところ、ガシリと肩を掴まれた。

 その相手は…一等兵とやらのダン君だ。



「きみ…もしかして、〝蒼の竜殺し〟じゃ「いえ違います」答えるの早くないか!?」



 即座に否定した。条件反射で。


 ちっ…エレンの野郎が知ってるくらいなら、当然ここら辺でもその名が流れていてもおかしくなかったか。


 失敗した。パーティー名は伏せるべきだった。



「蒼の…竜殺し? ダン一等兵、それはなんだい?」



 再びとぼけた表情を見せるモリッツさん。

 彼はよく知らないようだ。



「最近、巷でよく聞く通り名ですよ。

 所属不明、正体不明で、悪しき竜を専門に狩りを行う謎の狩士ハンター…なんでも、黒竜(ブラック・ドラゴン)を倒したとか」



 反対にダン君はわりと正確な情報を持ってんじゃねえか!

 クソ…そういや竜の国(ドライグ)の国境付近だと、俺の最初の拠点であるガルド村とも近かったな。



「マミヤ君、それは本当かい!?」



 モリッツさんが詰め寄る。



「だからそんなの知りませんて。

 なんだよドラゴンが専門のハンターって。

 そんなもん相手するくらいなら、悪魔(デビル)憑き百体と相撲とる方がマシだ」


「いや悪魔(デビル)の方が危険だよ!? きみこそ何言ってるの!?」



 狩士(ハンター)…名前だけは聞いたことある。

 大型魔物の討伐もしくは捕獲を得意とする、マッチョな職業(ジョブ)だったはず。


 ま、今はんなことどうでもいい。


 とにかくこれ以上面倒なことに巻き込まれんよう、さっさとここから退散しよう。



「カーティス、帰るぞ」


「ウン」


「わー!? だからちょっと待ってって!!

 答えたくないなら別に良いんだ!」



 またもやダン君に腕を引っ張られる。

 あんまりしつこい男は嫌われるぞ。



「僕…いや、本官が聞きたいことはひとつだけ。

 先ほどの魔族との戦闘、その先進的な装備はさることながら、愛竜の赤竜(レッド)との連携…実にお見事だった」


「そりゃ、どうも…?」



 ブルリと、刹那の寒気が身体を襲う。

 なんだかイヤな予感がする。



「それで提案なんだけど…きみ、竜騎士(ドラグーン)へ入隊してみないか!?」



 ☆ウェスカー・モリッツsides☆



「にゅ、入隊なんざできるわけねえだろ!

 こちとらドラゴンに触るだけで蕁麻疹やらニキビやら出てくるんだぞ!」


「あんな息のあった戦闘をしておいてそれはないだろう! ほんの少し…体験だけでも良いから!」


「いやだ! 俺は帰る!」



 ダン一等兵はマミヤ君にしがみつき、必死に懇願する。

 うーん、分からない…。

 いったいダンは何を考えて誘ったのだろう?



「マミヤ・レイト…彼ハ不思議ナ香リガシマス」



 僕の愛竜のセナがそんなことを呟いた。

 まさか血を失って、急に食欲が湧いてきたのか!?

 無事だと安心した途端に、まったく…!



「こら! 人間を食べるのは軍規違反だぞ!」


「ソウデハアリマセン、ウェスカー。

 僕ガ言ッテイル『香リ』トハ、雰囲気デス。

 彼ガ喋ッテイルト、妙ニ気ニナル…。

 アンナ人間ハ初メテデス」



 セナは鼻をクンクンとひくつかせ、マミヤ君の方へ首を揺らした。

 セナが興味を抱いている証拠だ。


 珍しい…お世辞にもあまり人懐こいとは言えないセナが、初めて出会った人間にこの反応をするなんて。


 彼がただ者じゃない冒険者ってことは、僕にもわかるけども。



「だいたい俺は理の国(ゼクス)に住んでんの!

 観光ビザなんて持ってきてないし、ただいま絶賛不法入国中なんだよ!

 アンタは犯罪者を自分のチームに加入させたいのか!?」


「ああ、それについては安心してほしい!

 今回の敵が魔族であった以上、特別救援要請として処理できる。

 本官はきみたちの加入を歓迎する!」


「だから加入しないってば!」



 ともあれ、これ以上マミヤ君を現場に引き止めては可哀想だ。

 他の上級隊員が合流して事態が拗れる前に、早く彼を家に帰してあげよう。



「ダン二等兵、命令だ。彼を解放するんだ」


「えっ!? し、しかしモリッツ兵長、彼は…」


「マミヤ君、部下が大変失礼したね。

 お詫びに帰りの道中は僕とセナが護衛してあげよう。

 ダン。君はここに残り、事後処理を」









こんにちは、黒河ハルです。

貴重なお時間を消費して読んでくださり、とても嬉しいです!


竜騎士に入隊させられて、思い切り泣かされた零人も見てみたい気がします。次回で今回のお話は終わりです。


「続きを読ませろ!」と思った方は、ぜひブックマーク、並びに下の☆を『5つ星』お願いします!

何卒、なにとぞっ!底辺作家めにお慈悲を…!!


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