第621話:国道16号線
☆間宮 零人sides☆
「オ客サマ〜、マモナク到着シマスヨ〜」
「あいよ。これが国道16号線か…すげえ。
めっちゃ車走ってるな…しかも道がピカピカに舗装されてやがる」
モリッツさんを追跡して、俺たちも国道16号線へたどり着いた。
さっき空から地上を見下ろしたとき、土くさい街道からコンクリらしき素材の道路へ変わっていって見えたのは、やはり目の錯覚じゃなかった。
白線で引かれたラインに沿って走行する馬車(ほとんど疾竜)、一定間隔ごとに設置された街灯やドライブインのお店。
俺の世界の基準からすれば、まだまだ発展途上って感じの景色だが、それでも十分すぎるくらい近代的だ。
なるほど、さすが大陸でいちばん技術が進んでいる国と言われてるだけあるぜ。
「マー坊、アッチノ方カライッパイ車ガ走ッテ来テルヨ」
「分かってるって。もしかしなくても牛魔獣だろ」
カーティスが報告するまでもなく、道行く人々の悲鳴や怒号がここまで届いている。
チラッと聞こえてきた内容は、どっかのデカい交差点でどっかのデカい何かが暴れ回ってるらしい。
…ちょっと上に首を向ければミノタウロスよりおっかない奴がいるんだがなぁ。
ま、善良な一般人の皆さまをこれ以上パニクらせるわけにゃいかねえ。
「おし、もっと飛ばせカーティス。はいやぁ!」
「イダッ!? 今ガントレットデ叩イタデショ!」
☆☆☆
「『竜式廻撃』!」
大した手間なく目標を発見した。
十字路の大型交差点で、牛魔獣を二人のマッポが飛竜と共に取り囲んでいる。
そして、モリッツさんは絶賛交戦中の模様だ。
「リック以外の竜族が闘うところは初めて見たけど、案外まともだな」
「ウーン、ソウカナ。アンナ棒切レ1本デ挑ムナンテ、チョットオバカサンナンジャナイ?」
「おバカは昼ごはん用に持たせてくれたナディアさんの弁当を出発前に食いやがったてめーだろ」
現在、俺とカーティスは交差点近くの建物の屋上から闘いを傍観している。
ここからだと遠目で分かりにくいが…あれはミノちゃんではない気がする。たぶん。
それと竜騎士の戦法も意外だった。
俺はてっきりドラゴンに騎乗して闘うもんだと思っていたが…彼は単身で敵に挑んでいる。
理由はすぐに分かった。
パートナーの飛竜を敵の死角に潜り込ませて、挟撃する作戦なんだろう。
その証拠にモリッツさんの竜は、交差点から少し離れた低空で待機している。
アタックを仕掛けるタイミングを虎視眈々と狙っている様子がうかがえた。
「マー坊。アイツ…魔族ダ」
「なに?」
カーティスが気になる発言をした直後。
モリッツさんはさらに攻撃の手を加速させていた。
「今だセナ! トドメをさせ!」
大技を当て敵が怯んだところを、モリッツさんの飛竜が敵に肉薄、そしてフィニッシュ。
大人しそうに見えてやるな、あのドラゴン。
「飛竜か…野生のとっ捕まえてウチでも飼おうかな?」
「ダメッ! ワタシイルデショ!」
「冗談だ。これ以上ドラゴン増やしてたまるか…って、んん?」
さらに観察を続けると、ダウンさせた敵がむくりと起き上がった。
まさか、倒し切れてなかったのか!?
「言ったハズだ虫ケラ…捻り潰スと!」
「「!」」
ミノタウロスの片腕が…あれは、まさか!
「デビル…!」
「マー坊! ドウスルノ!?」
しかし、悪魔の変異はもっとグロテスクのはず…。
ワザと力を抑えてるのか?
…いや、待てよ。前にテオが狼獣と交戦したとき、そいつの変異は片腕だけと言っていたな。
とすれば、奴は半悪魔化をしているのか?
そもそもなぜこんな往来に魔族が…
「ギャウッ!」
「セナぁぁ!」
…考えるのはあとだ。
モリッツさんのドラゴンが負傷した。
さすがにこれ以上傍観するわけにいかねえ。
「カーティス! 俺は先に転移で強襲する!
俺が合図したらそのまま飛び降りて、攻撃するんだ!」
「分カッタ!」
☆☆☆
「行くぞカーティス!」
「『竜弾』!」
カーティスの口元から赤いエネルギーボールが発射されると同時に、俺も生身でミノタウロスへ接近する。
「失せロ、ゴミども!」
ミノタウロスは変異した腕部をなぎ払い、魔法を弾いた。
カーティスの初手は単なる目くらまし…本命はコッチだ!
「気色悪ぃ図体して好き勝手に暴れやがって!
俺がお仕置きしてやるよ!」
展開した左の盾に右の剣を滑らせる。
金属と金属は擦れ、激しい火花を咲かせながら、得物に新たな属性が宿った。
「こ、これは…竜属性!?」
「モリッツ兵長! 彼は人族では!?」
ブン!
「「消えた!?」」
新しく座標を作成、転移。
出現ポイントは…ミノタウロスの頭部だ!
「どりゃあああ!」
「ガッ!?」
雷光一閃。
武器に仕込まれた電磁竜の力を乗せた一撃が、ミノタウロスの顔面に直撃する。
「き、貴様ァ…!! 下等生物の分際デェェ!!」
変異してない方の片腕を顔に添える魔族。
ダメージはそれなりに入ってるようだ。
さっすがハルート。効果てきめん。
「シャアッ!」
「おっと! ほらほらーどうした!
悔しかったら当ててみろよ、上等生物さんよ」
「おのレェ!」
変異した腕を振り回すも、虚しく空を切る。
完全に血が昇った敵の攻撃なんざ、目をつぶってたって避けられる。
…いやうそ。仙人じゃあるめーし、さすがにそれはムリ。
とはいえ単調な攻撃になることは確かだ。
敵が感情的であればあるほど、御しやすい。
「地の底へ堕チロ! 『影散弾』!」
「うおっ!?」
変異腕から魔法ぶっぱなして来やがった!
咄嗟に避けた俺の後ろには、蜂の巣と化した馬車があった。
…こりゃあダラダラと遊んでらんねぇな!
「やるじゃねぇか。お返しにいいもんやるよ!」
「…ッ!? グアアア!!」
すぐに間合いを潰し、次の魔法を撃たせない作戦を展開。
そして、敵の懐でガントレットを再び擦り、至近距離でスパークを発生させる。
ミノタウロスの動きが止まった。
「今だカーティス! ブチかませ!」
「ハイハーイ! 『竜式体当たり』!」
ドガガッ!!!
体格に恵まれたミノタウロスをさらに超える、赤竜の体当たりが派手に炸裂する。
「ウアアァァ!!!」
俺には物理の法則はよく分からんが、結果だけ言うと、ミノタウロスは野球ボールのように空の彼方へ消えて行った。
…最初からこうした方が早かったかも。
こんにちは、黒河ハルです。
貴重なお時間を消費して読んでくださり、とても嬉しいです!
魔族の相手もすっかり慣れた零人くん。
ちなみに蒼の旅団内でいちばん馬力があるのは、もちろんドラゴン族のカーティスとなります。
人間のカテゴリーでは、フレデリカがリックに僅差で勝っています。
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何卒、なにとぞっ!底辺作家めにお慈悲を…!!




