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4 婚活対象の変更

「ええっ、でも一応子爵家を継ぐ相手なわけでしょう?」


 ソマイアが言うこともわかる。

 いかに貧乏とはいえ、一応は歴史の長い子爵家の家督を継ぐわけだ。

 どこの馬の骨とも言えない相手とは、という事もある。私もそれを考えて、今までは学園で婚活してきた――まぁ、聖女とKUSO王子にぶっ潰され続けたわけだけど。


 でも、でもよ?

 このまま相手がいないままだと、本末転倒よ。


「大丈夫! 奨学生として通い続けるためにした勉強が、私にはあるわ!」


 ぶっちゃけて言えば、日本で一応大学まで通っていた私からすると、この世界の勉強はそこまで難しくなかった。前世で一番苦手だった英語は、この世界にはないしね。

 とは言え、領地経営のための勉強なんかは、この学園で学べて良かった。


「あら、それもそうね。アニタが領地経営できるんだし、そもそもアニタの家はそんなに社交界に出ていくタイプでもない」

「出たくても出る余裕がない、とも言うわね」

「出たかったの? アニタが?」

「――ごめん、ちょっと見栄張った」

「ふふ。私には本音で話してよ」


 ソマイアは、私が令嬢らしからぬ行動をとると、一応は止めようとしてくれる。でも、本気で見下したり、嫌がったり、侮蔑したりはしない。あくまでも「今あなたがやっている行動は、貴族として相応しくないことだけは伝えておくわね」というものだ。

 私の行動の理由を知っているから、私の味方でいてくれる。ありがたい。

 爵位は金で買えるけど、友情は金で買えないからね。


「だからね。今までは一応、貴族の男性を見つけるチャンスと思って動いていたから気付かなかったんだけど、平民でもきちんとした為人(ひととなり)であれば、婿に迎えて良いのではないかと」

「確かに。誰でも良いわけじゃないのは、貴族が相手でも平民が相手でも変わらないわけだしねぇ」


 超絶マザコンでこちらにママプレイ(遠回りな表現)を求めてくる男とか、ドMで女王様と呼ばせてくださいと言い出す男とか、逆に「君を縛り上げたい。縄がいい? 鎖がいい?」なんて囁いてくる男とか、ギャンブルは男を輝かせる唯一の方法とか言い出す男とかよりも、堅実な平民の方がご先祖様にも顔向けができるってものよ!


 あ、ちなみにこれは全部、真っ昼間制服を着ている状態で、クラスに他の生徒もいる状態で言われたことなのよね。授業のグループワークで話しただけなのに、こんなことを言われるなんて、私ダメンズキラーなのだろうか……。


 すぐにソマイアが間に入ってくれたので事なきを得たけどね。やばかったわ~。


「だったら、ディアスとかは?」

「ディアスかぁ。でも彼、たぶん彼女とかいると思うのよね」

「そっか。冒険者だしね」


 ディアスとは、我が家の使用人の息子で、小さい頃は私の子守をしてくれていた男性だ。今は冒険者をしている。

 ソマイアは、少しだけ残念そうな顔をしつつも、小首を傾げながら、口を開く。


「でも、どうやって平民のまともな人を見極めるの?」

「ふふふ。それはね、良いアイデアを思いついちゃったのよね、私」

「なになに? 教えて!」


 そう。私は前世が日本人だ。転生チート! なんてやれるほどの、特殊能力なんて何もない、しがない小さな会社の事務員だった。

 だから、今まで大して何かを成し遂げることなんてできないと思っていたのよね。

 でも、気付いたの。それは大がかりな事業をやろうとしていたからだって。

 小さなことからコツコツと。

 出会いがないなら、作ればいいじゃない!

 そんなわけで――。


「私、婚活のために、小料理屋を始めるわ!」

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