その後の話
本日2話更新をしておりますのでご注意ください。
見慣れない姿のアリッサさんに違和感を覚えたけれど、この場所では話せないことが多すぎるため、僕らは一度アリッサさんの店に行くことになった。
アリッサさんは店に着くや否や、何時もの姿に戻った。服装も老婆の物から、普段着ているような体の線が出るような服になっている。
エッダと二人で驚いていると、魔道具を使って幻を見せていたらしい。
「まったく、厄介なところに巻き込まれよって……」
「え?」
「貴方たちが出てきた坑道の研究所はね魔石の研究所でね、砂の状態とはいってもまだ使えるかも知れない状態の魔石があると知れたら大騒ぎになるわ」
「それなら実際大騒ぎになったよ」
僕らが魔道具もどきを途中まで使って坑道を抜けてきたと知った研究所の人たちの尋常じゃない様子を思い出し、エッダは身震いするように言った。
研究所の偉い人は目が笑っていなかったし、研究員みたいな人は目が爛々としていてこちらが食われそうになるほどの勢いで話しかけてくるし、警備の人たちが止めてくれなければもっと拘束されていたんだろうなと考えると、あそこは危ない人がいる研究所だと痛感した。
アリッサさんには、実際に起きたこと、エッダは一度の魔法で魔力切れになること、闇属性の吸収が常時発動していること、魔力持ちと手を繋いだ状態なら魔法が使えることなんかを全部話した。
常時発動している闇属性については、魔法の力の使い方も覚えれば制御が出来るようになるだろうとのことで、今後エッダはアリッサさんの家に住むことになった。
貧民街に一人で暮らしているようだから、彼女もようやく安心できる住処が出来たと思った。
アリッサさんからの帰りに、僕らの家の前でワイリーが宿屋の女将さんと一緒に立っていた。
女将さんの傍で俯いているワイリーは酷く憔悴しているようだった。自分が危ない場所に誘ったことが原因で危険な目にあったからだろう。みんな無事だったのだから、そんなに責める必要もないかなと思ったので、なるべく明るいで声をかけた。
「ワイリー!! 良かった、無事だったんだ!?」
「ルッツ……。ごめん、俺があんなところに、あんなところに誘わなければあんなことにならなかったのに!」
「いいよ。僕もワイリーみたいに同い年の友達なんて居なかったから、誘われて楽しかったし」
「本当にごめん……」
ワイリーには自分があんな場所を探検しようとしなければ、こんな目に合わなかったのにと泣いて謝られた。
彼は僕らが落盤に巻き込まれた時に気を失ったようで、彼自身は落盤騒ぎで市場の警備や調査員が駆け付けた時に保護されたようだ。
そこで僕とエッダが男たちと一緒に落盤に巻き込まれたと伝えたのだが、落盤した底の方に救助を出そうにも、周囲の地盤が脆く梯子やロープもかけられそうになかったことと、研究所が管轄している坑道から救出に向かおうにも、入り口を管理している魔石研究所は坑道の内部の地図がなく、手ぐすねを引いている状態だったそうだ。
彼自身も落盤事態は運が悪かったものの、その前の危険な場所に僕を誘ってしまったばかりに、危ない目に遭ったことを深く反省しているようだった。
女将さんからも頭を下げられてしまい戸惑ってしまったが、僕自身も初めての年の近い友達の誘いに乗ったこともあったから、ワイリーばかりが悪いわけじゃないから、心配をかけるようなことをしてしまったことを謝った。
坑道にいる時には時間の感覚もなかったけれども、既に夕暮れに近い時間だったこともあり、ワイリーは女将さんに連れられて帰って行った。
「父さん……。ごめんなさい」
「無事ならいい。良く、頑張ったな……」
僕は養父の後について家に入り、改めて今回の騒動について謝った。
元々口数の少ない養父だけど、それだけ言うと僕の頭をくしゃくしゃと撫でて、風呂に入ってこいと言い仕事場に戻っていった。
仕事ばかりでごつごつとしたタコだらけの手のぬくもりを感じた僕は、今回のことは色々な人に迷惑をかけてしまったと気まずくなり下を向いてしまった。
その時の僕は、養父が深く考え込むような顔をしているのには全く気が付かず、この事件が後々になって大きなうねりになって僕らを巻き込むことを予想すらしていなかった。
第一章『修理屋の少年、貧民街の少女』完結




