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第一章49 『ターニングポイント』

 俺から見たら黒縁メガネを掛けたイケメンだが。エレナは随分とド直球は言葉をトヨトミに言うな。俺は少し感嘆した。


「あれ?? 酷いなぁ〜せっかくの助け舟なのに」

「シャロ、エレナ、ハンベイとりあえずカウンターに行こう!」

「って! 待って!! なんで俺がここにいるの? とか全然驚かない!!」


 俺はトヨトミの事をスルーしようとしたが、トヨトミはしがみつくように俺に声を飛ばした。俺はトヨトミの方に視線を転じた。


「――――」

「兄貴ぃ〜なんですかその目は! 死んだ魚の目をして」

「ギルドに加入な、わかった」

「――――」


 まぁ仕方ない。トヨトミの希望を断る事が出来ない。俺はこいつの気持ちが痛い程、判る。シャロとハンベイはあまり気にしていない、いや興味がないようだが。


 しかし、エレナの目が怖い……。瞳が燐光してるような気がする。それほどエレナはトヨトミを睨んでいる。


「兄貴! 名前決めました? ギルドの」

「いや――まだ決めていないが」


 そうだ。俺はここまでずっとその事を考えていたが、しっくりくる名前が浮かばなかった。ギルドを創設したはいいが名前がないとは、それでは話にならない。


「ならラクロノスなんてどうしょう! 兄貴!!」

「ラクノロス?」


 トヨトミは軽い感じで俺に伝えるが、その外側を抑える事が出来ない程、瞳は雄弁だった。トヨトミはお兄さんの事をそれほどまでに……。


「太陽神ラーと俺の好きなクロノスをそのままかけたんです!」

「――――」


 トヨトミの意味する事は、俺のリアルの名前、太陽。神隠しの意味。まぁ……これは違うだろう、トヨトミが俺のリアルの名前を知っている訳がないが。う~んこれは違うか。


 しかし、クロノスはどういう意味なんだろう。俺は学園に通っていないので、現実世界の歴史にはかなり疎い。


「いいじゃない! その名前でも却下。ヘリオス騎士団で決定! 騎士団がついてないと嫌」

「なっ!」


 持ち上げてからの突き落とし、エレナのパイルドライバーにトヨトミは声を失った。うわぁ……エレナ怖いなぁ。俺は少し身震いした。


「いいと思うのです! ヘリオス騎士団」

「マスター気に入りました」


 シャロとハンベイはエレナの提案に直ぐさまプッシュする。二人には珍しい熱の入り方だな。これは多数決で決まりだな。


「それにしよう! トヨトミ悪いな」

「兄貴いいっすけど後で変更ってなしですよ〜」


 トヨトミもあんなに必死な形相だったが簡単に引き下がる。四人納得しているんだ、まぁいいだろう。


「これに決めた!」

「ちなみに太陽騎士団って意味に近いですからね」

「なっ……!」


 何その名前……。自分の名前入れ込んだギルドってめっちゃ痛い奴がする事じゃないか。俺は直ぐに拒否しようとしたが。


「なら僕も、そのヘリオス騎士団に入ろうかな。とても素晴らしい名前じゃないか」


 その声に全身がビリビリと衝撃が走り、俺は視線を転じた。まさか……。


「黄泉姉さん……」

「黄泉さん! 本当に……」


 俺とエレナは言葉が見つからなかった……。こんなタイミングで目の前に現れるとは……。気配も気づかなかった。


「いい反応! 嬉しい顔をしてくれるじゃないか!!! 太陽君は、僕の事、本当に好きなんだね~嬉しいよ」


 ――それは俺だけに対しての言葉ではなかった。


「あぁ、好きだよ、だから逃がさない」

「へへへ嬉しいなぁ」

「マスターフォローします」


 シャロとハンベイとトヨトミが直ぐに臨戦態勢に入る。尋常ではない俺とエレナの驚きように、武器を構えていた。


「レベルが上がったようだし、どうなった気になって~」

「どういう事だ……」

「――――だよ」



 ――空間が歪む



 ===============

 パッシブスキルが行使されます。

 異常耐性<SSS>

 ===============



 ――――空間が更に歪む


 いつの間にかシャロと俺以外は眠っていた。


「何をしているんだ……姉さん」



「N――ぼ――――き」



 ――――空間が歪む。


 黄泉姉さんが口を開く度に周りが眠りにつく。


 睡魔が……これは一体……。俺の横にいたシャロも、いつの間にか眠りについていた。


「ダメかな……僕を諦めるの? 太陽くん」

「あ……きらめるわけないだろ!!!」


 ===============

 パッシブスキルが行使されます

 神のサイコロ<――>

 ===============



「はい! はい! はい! 俺様の出番!! さぁいくつが出るかな」

「――」

「――」


 俺と黄泉は目を丸くして、現れた者に視線が吸い込まれていた。黒いバニーガールの格好した黒髪の女に――――その女は大きなサイコロを持ち、中に投げた。俺と黄泉以外が眠っている、その場にサイコロが転がる。


「6キタァァァ!! 6文字か! 運いいな! 頑張れよ~じゃあな」


 バニーガールは霧散して行った。そして、黄泉は口を開く。



「N――Cは――H――――消――――厄――」


 ――――空間がブレる歪む。



 ===============

 異常が検出されました

 ===============


 ===============

 ログアウトされます。

 ===============



 黄泉姉さんはニッコリと微笑んでいた。あの時の笑顔に――――



 …………………………。

 ……………………。

 ………………。

 …………。

 ……。



 俺はなぜか理解出来た。



 その言葉は――――







 NPCはHPがゼロになると消滅する……。厄災の黙示録と同じように……。死んだら戻らない……。




 アルカディアのルールではNPCも十二時間後に元に戻るのに……。



 いや……それなら……どうして皆、それを知らない。


 どういう事だ……。


 黄泉姉さんもシャロもハンベイもゼロになれば消える――――――――――――――――――



 赤神に――――赤神光秀に会わなければ――――――


 俺は瞳を開けた。



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