表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
六章 束の間の平穏
80/121

風呂

ホテルへ戻り浴場へ行く。前世のようにグループごとに時間を決めて入るのではなく生徒も教師も全員一緒に入る。


更衣室で裸になり、湯気が立ち込める風呂場へ行く。私は銭湯の風呂に湯を入れるザーザーという音が好きだ。


掛け湯をしてシャワーを浴びるとあちこちから悲鳴があがった。


「ぎゃあああああ!」


「いたたたたた!」


「うわあああああああ!」


室内なのでよく響く。すごくうるさい。


塩と日焼けのせいで痛いのだろうが我慢してほしい。私も真っ黒に焼けたせいでかなり痛いが我慢している。


「なんだよこれ!?」


「海は初めてか?」


「あ、シュラ先生。初めてです」


いまだに悲鳴が上がっているので少し大きめの声で言う。


「痛いのは海水の塩と日焼けのせいだから大丈夫だ。水に毒が入っているわけではない。それと風呂場で叫ぶな。マナー違反だ」


「すいません」


みんな叫ばなくなったが小さな声で痛い痛いと言っていた。海水浴の醍醐味だな。


風呂はは普通の湯から濁った源泉そのままのものなどがあった。


「ふう・・・」


やはり風呂は最高だ。痛みがなければもっとよかったのだが。

生徒たちも入ろうとするが痛いのか太ももだけ入れていたりする。


「シュラ、痛くないのか」


「オスローか。もちろんかなり痛い」


「俺もだ。シュラほどじゃないが褐色に焼けた。筋肉が映えるぜ」


「ふぅ、私も老いたものです。若いころは海で思いきり泳いで日に焼けて痛みを我慢していたというのに」


「カックか。確かに体はムキムキだが老いには勝てないか。俺も冒険者を引退してしばらく経つが、もう同ランクの奴には勝てないだろうな」


そんなことを話していると生徒が割って入ってきた。


「よく言いますよ、いつもいつも俺たちを扱くくせに」


「そうやそうや、いっつもシゴしたるちゅうていじめるけんのー」


「確かにオスローはいつも容赦ないな」


「・・・・シュラ先生が言えることじゃないでしょう」


「オスロー先生と比べたらオスロー先生の扱きは赤ちゃんに思えるわ」


酷くないか。


「今のシュラ先生ってどっからどうみても海のギャングですよ」


「グラサンありだともうヤクザのドンや」


「そんなに私は凶悪か」


「あの惨劇事件を引き起こした張本人でしょ」


「その件は謝罪したぞ」


「そうは言ってもなぁ」


合同訓練以降も生徒との距離は変わっていない、というか近くなった気がするが未だに合同訓練のことを持ち出されている。


ハル教授も首謀者だと言ったがハル教授に言ってキレられたら何されるか分からないとのことで言わないらしい。


「そういえば露天風呂があるらしいな」


「本当か?」


湯気のせいで気づかなかったな。

滑らないように気をつけながら外へ出る。夜風が心地よい。


「ふむ」


露天風呂はまあまあの眺めだった。


前世のような灯りがないので海は真っ暗で全然見えないし月も隠れている。さざなみの音がするのはかなり良い。


露天風呂は疲労回復効果が期待できる湯と『長寿の湯』と言われる湯、それと壺湯とサウナがあった。

湯はしばらくいいのでサウナに入る。


サウナは部屋が白い煙で充満しているスモークサウナだ。発汗を促すための塩が入った壺もある。

普通は塩を塗るがこの状態で塗るとすごく痛い。


生徒も何人か来たが熱すぎたり臭いといって来なかった。たしかに漢方薬の香りがするので人によっては臭いと思うかもしれない。


サウナで汗をかきシャワーを浴びてからもう一度風呂に入る。


幸せだ。


-------------------------


アリア視点


変態猫の発情はお風呂の時間になっても収まりませんでした。原因は私ですが。

あれでも一応Aランク冒険者なのでいろいろと我慢できずに部屋のドアを破壊したりするかもしれませんが、さすがに大丈夫でしょう。部屋の中で何をしているかは分かりませんが。


まわりを見るとみんな私よりスタイルがよかったり身長が高かったりします。ハル先生、私を睨むんじゃなくて私の周りの女子生徒を睨んでください。


「アリアちゃんの耳ってかわいいよね~。ふわふわしてる」


「ひゃっ!」


「尻尾もふかふかだよ」


「ひっ!」


いきなり触らないでください!デリケートなところなんです!


「これこれ、妾のような獣人族は獣の部分を触られるのは好まぬ。触るのは許可を取ってからじゃ」


独特の喋り方をする熊の獣人の生徒。私は午前中のクラスメイトの名前しか知りません。その熊の獣人は私に軽く微笑んでどこかへ行ってしまいました。

助けてくれたのはうれしいですが、子供のくせにボンキュッボンな人に助けられるのは微妙な気持ちです。


服を脱いで裸になります。ハル教授、殺意と怨嗟の混じった目で私たちを見ないでください。


お風呂場はとても広いです。看板に書いてあった通りに掛け湯をします。


「痛いっ」


師匠から聞いていましたが予想以上の痛みでした。全身を針で刺されたかのようです。


「ぎゃあああああ」


「いたたたたた!」


「うわあああああああ!」


高い壁で仕切っている隣の男子風呂から悲鳴が聞こえました。私たちは痛くてもちゃんと我慢しています。


というか男子がうるさいです。いつまで叫んでいるんですか。

壁越しに注意しようとしたら師匠の声が聞こえました。


「痛いのは海水の塩と日焼けのせいだから大丈夫だ。水に毒が入っているわけではない。それと風呂場で叫ぶな。マナー違反だ」


師匠がちゃんと注意してくれました。これでようやく静かにお風呂を楽しめます。


痛いのを我慢しながらお風呂に入ります。痛くても気持ちいいです。師匠が昔風呂が好きだと言っていた理由が分かった気がしました。疲れてる時のお風呂は格別。


「ねえねえアリアちゃん」


「誰です?」


「同じ学院の同級生なのにそれはないよ~。私はクーだよ」


「そうですか。なんのようです?」


「冷たいなぁ。体は暖かくても心は冷たいんだね」


上手い事言ったつもりでしょうが、スタイルのいい女はみんな敵です。だから笑いません。


「・・・」


「・・・」


気まずい沈黙。


「と、とにかく、聞きたいことがあるの!アリアちゃん、シュラ先生のこと好きでしょ?」


「げふっげふっ」


いきなり爆弾を投下してきました。

近くの生徒が私を見て驚いた顔をしたりニヤニヤしたりしています。


「シュラ先生ってかっこいいもんねー。ワイルドでクールで人気だもん」


そうですかね。


・・・。


「・・・・確かにワイルドですね。いつも師匠は外にいるとき魔物や動物を狩ってその肉を食べていますから」


「え?」


これにはみんな驚いたようです。


「冗談でしょ?」


「冗談ではありません。私を助けてくれた時、熊の魔物を狩って肉を食べてました」


「魔物って食べられるの?」


「師匠曰く『食うために狩ったのならどんなに不味くとも食べる』だそうです。私も食べたことがありましたがものすごく不味かったです」


変な臭いがしたり獣臭が酷かったり味がしなかったり噛み切れなかったりねちゃねちゃしていたり。

よくあんなものを平気で食べられるものです。


「別に味覚が壊れているわけではなく美味しいものは美味しいと言いますし不味いものは不味いと言いますよ」


「じゃあなんで食べるの?」


「それには師匠の素性が関係あるかと思いますがよく分かりません。それと最近はよっぽどのことがなければ魔物を食べなくなりました」


師匠の正体は竜でもあり人間でもあります。竜の本能が魔物の肉を欲するのでしょうか?


「いつのまにか話が脱線してたけど、シュラ先生に頼んでほしいことがあるの」


「なんですか?」


「絵のモデルになってほしいの。明日は私たち芸術科は海を描くんだけど、シュラ先生も一緒に描きたいの」


それぐらいなら構いません。


「師匠がいいと言うなら構いません」


「ありがとう。それとシュラ先生のこと部屋でいろいろ聞かせてね?コイバナ楽しみにしてるから」


コイバナは旅行の定番なのでしょうか?


露天風呂もしっかり満喫してお風呂を上がりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ