変化とバーベキュー
暑いので上半身の服を脱ぎ、ついでにサングラスも外す。適度な日焼けは体にいいし、サングラスをつけるほど眩しくない。
前世と今世はやはり別物として考えるべきだろうか。
最近私は自分のことを人間ではなく魔族と認識しているようになってきている。ほとんどの時間を人で過ごすため実質私の本性は竜になれる魔族?みたいになっている。
私は人間ではなく魔族とするのなら前世と今世を別物として考えた方がいいかもしれない。そうすれば人っぽい心を持つ魔族として今の孫のように割り切れるだろうか。
・・・。
決めた。私は人っぽい心を持つ魔族ということにしよう。こう考えていれば前世と今世のことで悩むことはないだろう。
それにしても魚が全くと言っていいほど釣れない。海が綺麗すぎるせいだろうか。
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アリア視点
「師匠を知りませんか?」
「ん?確かお前はシュラの弟子だったか。名前は・・・」
「アリアです」
「そうそう、アリアだな。シュラがどうした?」
「ここの砂浜が動きにくいのでここで稽古をすれば体幹が鍛えられると思ったので探しています」
「なるほどな。シュラは向こうで釣りをしているが、なんか近寄りがたい雰囲気だぞ。多分釣りに集中しているんだろうな。邪魔しないでやれ」
「分かりました」
せっかく師匠に構ってもらえると思ったのに残念です。それに恥ずかしいのを我慢してビキニ姿にしたのに。
仕方ないので一人でやりましょう。水中で動きを制限しながら基本の練習をすればかなり効果が出るはずです。
「あ、アリアちゃん」
「何の用ですかビ〇チが」
「口悪!どこでそんな言葉覚えたの」
「あなたみたいにスタイルがいいからといって師匠に絡んで変なポーズをする人をビ〇チと言わずになんと言うんですか」
「私はそんないやらしい女じゃないもん!あ、分かった、嫉妬してるんだ」
「してません」
本当はしています。本当にちょっとだけ。嘘じゃないです。
その大きすぎず小さすぎない適度な大きさの脂肪の塊を分けてほしい。
いや、私はこれから大きくなるんです。身長も伸びて大きな果実を手に入れます。
「ほれほれ」
前かがみになってきわどいポーズをしてきます。変態が。
「えい」
「ひゃあっ!?」
イラついたので果実を揺らしてみます。
「いつもいつもエロいポーズを師匠に見せつけて・・・私の気持ちを考えてください」
「ちょっやめっ・・・んっ!ほ・・本当に・・・んんっ」
「いちいち嬌声を上げないでください。あ、そうだ。もげばいいですね」
こんなものがなければ私もこんな思いをせずに済むんだ。
両手でつかんで力を込めていきます。
「ちょっと、んっ、目が怖いよ!や、やめ・・・んんっ!だ、だめぇ・・・」
「その嬌声をやめてください。あとその変態みたいな顔もやめてください」
「だ、だったら・・・あんっ!」
「ああああああああああああ!!」
これ以上聞いていると頭がおかしくなりそうです。
一気に手に力を込めます。そして握り潰します。
「ひゃああああああああああ!!」
この変態猫はもうどうしようもない。手の中で何かが潰れる感触がしました。
変態猫は顔を真っ赤にしています。
「はぁ・・・・はぁ・・・・んっ」
「・・・イラつきました」
倒れて顔を赤らめ、汗をかきながら艶っぽい声を出すのでとてもエロいです。おなじ女である私ですらこの変態猫の色気にやられてしまいそうになりました。
こうなったらとことんいじめてやる。
「耳をこすってやる」
「ひっ!?く、くすぐったいよぉ!」
抵抗されますがやめません。ずっと悶え続けるがいい。
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結局一匹も釣れなかった。
気が付くと日が沈みかけていた。
服を着て釣り道具一式を異次元に収納し、オスローたちの元へ戻る。生徒も教師も大半がほどよく日焼けしている。
近くに行くとなぜかみんな目を合わせた瞬間目をそらし、私の道を開けた。
どうかしたのだろうか。
「シュ、シュラ・・・・悩みがあるなら聞くぜ・・・?」
「そ、そうですよ・・・私は可愛い生徒からよく相談されているので・・・」
オスローとクリア教授がなぜか引いている。訳が分からない。
「な、なにがあったのですか・・・?」
カック元騎士まで。
「それはこちらの台詞だ。なぜかみんなから避けられているんだが」
「・・・・グレたわけじゃないんだな?」
「逆になぜそう思うのかが聞きたい」
「グレたわけじゃないんだな。よかったぜ、生徒指導室にシュラを連れ込まねえといけないのかと思った。自分の姿を確認してみな」
異次元空間から鏡を取り出して自分の姿を確認する。
「なんだこれは・・・」
鏡に映った自分は全身真っ黒に焼けていた。海の男というより地元のギャングに見える。ちょっと睨むととんでもなく凶悪な顔に見える。
サングラスをつけるともうヤクザだった。
「確かにこれならグレたと言われても仕方がない」
「シュラ、オイルでも塗ったのか?その日焼け方は異常だぞ」
「おそらく日陰に一度も入らず釣りをしていたせいだな」
「カッコよくて素敵です・・・」
「それよりバーベキューをするから手伝ってくれ」
手伝いをする間、みんなから距離を取られてちょっと傷ついた。オスローが私がギャングではなくシュラで日に焼けただけと説明してくれなければ孤独のバーベキューをするところだった。
「し、師匠・・・?」
「アリアか」
「何者かに操られてますか?」
「なぜそうなる。私は正気だしこれは日焼けのせいだ」
「にしては黒すぎませんかね・・・」
「害がなければいいだろう。キャロルはどうした?」
今まではアリアと話すときは水仙だったが、呼び方を変えることにした。これからは心の中でもキャロルと呼ぶ。
「・・・本当に正気ですか?水仙ではなくキャロルって」
「釣りの間にいろいろと考えて呼び方を変えることにした。信じられないなら殴ったりでもして試すか?」
「いえ、大丈夫です。あの女は今は隔離しています。今師匠に合わせるのは・・・」
「?何かあったのか」
「シュラぁ~」
「げっ」
アリアがキャロルを『あの女』と言い、キャロルが来るととんでもなく嫌そうな顔をして『げっ』という。正気かどうかは私が聞きたくなる。
私がいない間に何があった。
「どうしたキャロル」
「・・・ん」
「!?」
顔を赤らめてフラフラしながら近寄ってきたかと思えばいきなり抱き着いてきた。
いきなりで反応できず固まってしまう。
「シュラいい匂い・・・」
キャロルから甘い匂いがしてくらくらする。このままではいろいろと不味い。また恋人という噂を立てられては困る。
「とっ、とりあえず離れろ!」
肩を押して引きはがす。
自分でも驚いたが、自分のことを魔族と認識するだけでこれだけ心が動くとは予想外だった。今までは孫として見ていたのでなんとも思わなかったが、抱き着かれると動揺した。
「・・・けち」
とろんとした目で私を見るキャロル。私を含めた三人ともどうかしている。
私は自分の心が変わった。
アリアはキャロルを嫌悪している。
キャロルは様子がおかしい。
「・・・アリア、キャロルに何があった」
「ちょっとイラついて胸を潰したり耳をくすぐったりいろいろしていたら発情させてしまいました。やりすぎて変な気を起こし、それが原因で発情したのかと」
「・・・・・・どうすれば治る」
「難しいです。この女は発情すると何するか分からないので。治すには隔離して放置するしかありません」
何てことをしてくれたんだ。
何があったのかは詳しく知らないが、キャロルが暴走するとホテルや生徒に被害が出てしまう。
「シュラぁ~」
「アリア、キャロルを隔離しろ」
私に抱き着く前にアリアに捕まえてもらい隔離する。隔離先はホテルのキャロルの部屋で事情の分かる従業員に話して監禁するらしい。
アリアが戻ってくるとホテルの中を徘徊されるよりマシだということで監禁してくれたらしい。普通に監禁するための道具があるのが恐ろしい。
「おーいシュラ、準備ができたぞ」
オスローに呼ばれたのでバーベキューに参加する。最後に参加したのはいつだったか。
「ん?キャロルはどこ行った?」
「ホテルで監禁してある」
「監禁?」
「発情してホテル内を徘徊されては困るので監禁してあります。ホテルにはちゃんと伝えてあるので」
「発情って何したんだよ・・・」
その後も教師や生徒たちと一緒にバーベキューを楽しんだ。




