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竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
六章 束の間の平穏
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臨海学校

しばらく経って臨海学校の行事が来た。


私や孫はいきなり知らされたので何も準備できていなかったが、ずっと前から生徒や教師が準備をしていたので何もしなくていいとのことだった。


臨海学校で向かう先はリゾート地であるコナッツ地方という所らしい。


一年次の生徒全員が参加し、各学科の特色を生かしたプレゼンテーションや交流を行うらしい。

移動は馬車で訓練として冒険科・戦闘科・魔術科の生徒が護衛にあたり、人数が足りなければ一般の冒険者にも依頼を出す。今回は十分足りたので依頼はなかった。


コナッツ地方に着いたらこの世界では珍しいホテルに二泊三日の宿泊をする。

様々なお楽しみがあるそうで楽しみだ。


-------------------------


「護衛の最終確認をするぞ。護衛は一つの馬車につき二人以上つくこと。魔物が現れた場合は発見者が報告し速やかに討伐、以降は警戒すること。コナッツ地方のホテルまでは魔道具のおかげで数時間で着くはずだ。それまで気を抜くな」


朝早くから校庭に生徒が集まり、自分たちが乗る馬車の確認や点検、プログラムの確認などを行う。


すべて終わりようやく出発する。


私と孫は最後尾での護衛になった。


「シュラ、魔物の襲撃ってあると思う?」


「あるだろうが、あの異世界組が居れば一瞬で片付くだろうな」


王都を出て道を進んでいき、いくつかの町や村を通り抜けていく。何度か魔物の襲撃はあったがそれほど強い魔物は出なかったので特に問題はなかった。


「お尻痛い」


「この道で揺れを抑える部品もないから仕方ないな」


馬車の座る場所は硬く地面も舗装されていないためかなり揺れて痛くなるが我慢するしかない。


孫が痛い痛いとうるさいので『鎮痛』の魔法をかけたら静かになった。


大体九時ごろ、ようやくリゾート地に着いた。

まさにリゾート地といった白い砂浜や透明度の高い青い海にヤシの木擬き。そして真っ白な高級感漂うホテル。

生徒たちも歓声をあげている。


これからホテルの従業員に挨拶をして割り当てられた部屋に荷物を置く。その後着替えて海で遊ぶ。

私は泳がないが。


挨拶を済ませて私に割り当てられた部屋に行く。生徒でも部屋がデラックスとはすさまじく贅沢だ。教師はクラブ以上である。私と孫はスイートだ。

スイートなだけあって高層階からの景色は絶景だが私はよく空を飛んで絶景を見ているため感動が若干薄い。孫は大はしゃぎしていたらしいが。


荷物も異次元に収納しているので必要なものを取り出して更衣室へ向かう。


「お、もう来たのか」


「オスロー」


マッチョがいたので一瞬誰かと思ったがオスローだった。


「なんだその恰好?泳げないだろ」


確かに私はすでに部屋で着替えている。私は花柄の半袖と白い短パン、それにサングラスである。私は泳ぐつもりはない。というより泳げない。


そのことを伝えるとオスローは、


「だっはっはっ!Sランクが泳げねえのかよ!」


「気にしてるからあまり言わないでくれ」


前世も今世も私は金槌だった。魔法で誤魔化すことはできるが魔法なしだと溺れる。


「なにやら盛り上がっていますね」


戦闘科の元騎士が来た。名前はなんだっけ。


「そういえば自己紹介をしていませんでした。私はカックです」


「おいおい、いくらなんでも遅すぎだろ!」


「あの惨劇事件の時に自己紹介できればよかったのですが、あの状況で自己紹介は・・・」


「それもそうだな。俺はオスローだ」


「私はシュラだ」


「よろしくお願いしますね」


柔らかく笑うカック。若いころは人気だっただろうな。


「な、なんだこの筋肉の集団は・・・」


「ん?ああ、ブンか。相変わらず自然学科は貧弱だな」


次にやってきたのは細身の眼鏡をかけた男。白衣を着れば研究者に見えることだろう。


「あなたたちが筋肉バカなだけだろう」


「言うじゃねぇか、筋肉は男の勲章で鍛えれば鍛えるほど強くなっていく努力を裏切らない存在だ。そうだろう?」


「私に振られても同意しかねる」


男の勲章というのがよく分からない。鍛えればと言っていたが私は元から引き締まった筋肉を持っているため筋トレはしているが見た目は変わっていない。


二人の筋骨隆々のマッチョと細マッチョと普通の男。味方によっては私たちが用心棒に見えるな。


「そんなことより、海へ行きましょう。生徒たちの声が増えてきています」


「そうだな」


確かに生徒たちのはしゃぐ声が聞こえる。


更衣室を出て浜辺へ向かうと生徒たちと・・・幼女がいた。


「一般人が混じってるぞ」


「え?・・・・ああ、あれはハル教授ですね」


「なんだと?どう見ても幼女にしか見えないぞ」


次の瞬間ハル教授の動きが止まった。そしてハル教授の近くにいた生徒が顔を引きつらせて離れていった。


「何か寒くなってきていないか?」


さっきまでは蒸し暑かったのに今では軽く寒気を感じる。


「あ・・・」


「やっちまったな。おいシュラ、早く離れるぞ」


「?分かった」


「ま、待ってくれ!」


「巻き添えになりたくないので失礼します」


オスローに言われてブンから離れる。

次の瞬間、般若のように恐ろしい形相をしたハル教授が現れた。


「だぁれぇがぁ幼女じゃぁ・・・」


「ひっ!?」


地獄から響いてくるような声。ブンが顔面蒼白になり後ずさる。


「天誅!」


ハル教授が叫ぶと同時にブンの足元から蔦が生えてきてブンを締め上げた。


「あだだだだだだ!」


「うふふ、大好きな植物に囲まれながら逝きなさぁい?」


怖い。


ハル教授は怒らせてはいけない人物だ。


幼女が大の大人を締め上げるというなんともシュールな絵面が出来上がった。


「シュラさん・・・?」


なぜ女性はこちらの心を読むのだろうか。このままでは私までひどい目に遭ってしまう。

どうにかして誤魔化そう。


「見た目だけで人を判断するべきではないと思うが?」


「・・・うふふ」


不気味な笑みを浮かべたかと思うとブンに向き直り蔦を消した。ブンは白目を向いているが生きている。


「さ、せっかくの臨海学校です!楽しんでいきましょう!」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


こちらに向かって笑うハル教授はいつものハル教授だった。ある意味怖い。


「・・・そうだな」


適当に返事をして生徒たちの元へ向かう。ブンは更衣室のベンチに寝かせておいた。


ハル教授がキレている間に生徒たちも増えたようだ。他の教師たちもちらほらと見え始めた。


「シュラ~!」


「ん?・・・キャロルか」


「どう?」


孫がビキニ姿でセクシーなポーズを見せつけてくる。男子生徒が鼻の下を長くし、それを見た女子生徒が冷たい目を向けている。

まあ確かに孫はスタイル抜群でエロいから気持ちは分かる。


しかし・・・。


「よくもまあ、そんな恥ずかしいことができるな」


私ならできないな。


「感想が違う」


「・・・日焼け止めは塗ったか?」


「違う」


「じゃあサンオイルか?」


「むぅ~」


頬を膨らませる孫。あざとい。


私は孫が言わせたいことは分かっているが、なんとなく言いたくない。


「シュラこそなにその恰好!?せっかくの海なのに泳がないの?」


「私が泳げないのは知っているだろう」


「え、先生泳げないんですか?」


「意外」


「シュラ先生が溺れる・・・プッ」


笑わないでほしい。私だって泳げるなら泳ぎたい。


「私は釣りでもしておく」


「おじいちゃんみたい」


「実際爺だろ」


異次元から釣りの道具を取りだす。小魚程度なら私でも釣れる。


「先生たちって、やっぱり付き合って」「う」「ない」


「・・・」


孫を見るとニヤニヤと笑っていた。


『う』って何だ『う』って。


「私にその気はない」


孫が一気に悲しそうな顔をする。私はまだ割り切れていないのだ。


「一途な片想いですか・・・いいですねぇ」


嫌らしい笑みを浮かべる女子生徒。付き合っているという噂にならなければ大丈夫だろう。


「シュラ先生もせっかくいい筋肉なのに、隠してどうするんですか」


「筋肉なら向こうにいるぞ」


海辺で筋骨隆々のマッチョが生徒たちと遊んでいる。生徒を掴んで沖へ放り投げたり筋肉を強調するポーズを取っている。


「違いますよ。二種類の筋肉を想像して受けと攻めを・・・」


恍惚の表情を浮かべる女子生徒。


「腐女子・・・」


孫がボソッと呟く。どういう意味だろう。


「よくわからんが私は釣りをしてくる」


釣りをするための橋があるのでそこへ行き、餌をつけて遠くへ飛ばす。


良い魚が釣れるといいが。

戦闘科の教授である元騎士の名前、まったく考えていませんでした。


作者のくせにあまり登場しない人の名前を考えない・忘れるのは最悪ですね。

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