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「これが資料です」
「え、誰?」
「忘れたのですか?あなたが造った超高性能人間型サポートAIですよ」
「え・・・まさか■■■■君?」
「私の名前はT-097082です」
「そうじゃなくて、君個人としての名前。それよりもなんで喋れるの?」
「相手の脳に思念を送って会話するのはエネルギー効率が悪いので自己改造しました」
「えー・・・」
「改造禁止などの命令は私のデータにありません」
「うーん・・・見た目だけなら人間なんだけどなぁ」
「どうかしましたか?」
「なんというか、細かい所がまだ機械っぽいんだよね」
「私はあくまでもサポートAIです。過去のあなたが私を限りなく人間に近くなるように設定していましたが私は人間ではなく機械ですよ」
「固いなぁ。まあ、これから人間らしくなっていけばいいか。資料もらうよ」
「どうぞ」
「ねえ、気になったんだけど」
「なんでしょう」
「私は君を造った覚えはないよ?」
「いいえ、間違いなくあなたが造りました。あなたがそのことを忘れているというわけではありませんが、私を造ったのは紛れもなく過去のあなたですよ」
「よくわからないよ」
「分からなくとも結構です。人間は誰もが秘密を持っているでしょう?」
「教えてよ~。今までは教えてくれたじゃん」
「秘密です」
「君って表情がないから拒絶されたように感じるよ・・・でも少し人間らしくなったね」
「表情がよく分かりません。言葉だけでも言いたいことは分かりますよ」
「なんだろう、君が急に小さい子供に見えてきた。知識は世界一なのに感情は分からないんだね。そうだなぁ・・・感情があると、雰囲気も変わるでしょ?私たち人間は言葉に感情を乗せて雰囲気を変えたりするんだ」
「・・・?」
「例えばこうやって笑顔で『楽しいね』って言うのと真顔で『楽しいね』って言うのじゃ全然違うでしょ?」
「笑顔・・・」
「やってみなよ」
「・・・」
「キャアァァァァァァ!!!」
「どうしましたか?」
「ヒイィィィィィ!!」
「あの・・・」
「・・・」
「・・・?」
「・・・」
「・・・心拍数、正常。バイタルチェック・・・安定。瞳孔に異常なし。意識レベルに微弱な異常あり。原因不明の何かによる気絶の可能性73%。詳しい検査を・・・」
「ううん・・・」
「意識レベル・・・正常。発作の可能性を考慮し調剤を」
「なにしてるの?」
「検査です。いきなり意識を失いましたので」
「ああ・・・君の笑顔が怖すぎるから・・・口が耳まで三日月型に裂けて」
「笑顔とは口を開けて口角をあげる行為では?」
「あってるけど君のはやりすぎだよ。ほら、こんな感じで・・・うん、いい感じ」
「これが笑顔ですか・・・・・・」
「うんうん、かわいいね!」
「私の性別認識は男性と認識しています。『かわいい』は女性に使う言葉では?」
「違うよ。君はもっと柔軟な思考ができるようになったらいいね」
「柔軟・・・」
「研究以外に楽しみができたよ!」
今になって思うと、この彼女は自分が出会った中で一番好意的だった。
自分で自分を改造し声を作り、人間らしさを教わった。
それでもこの彼女も自分が復讐すると決めた人物と同じ存在なのだ。




