王都へ
「これが王都か」
リリアに頼んで市民証をもらい、入国し王都へ来た。
この国は『モルーガ・ビツァト・フィセルダード王国』というらしい。長い。
王都は中世ヨーロッパのような街並みだ。
王都は四つの区画に分けられており、北東が商業地区、北西が工業地区、南東が管理地区、南西が住宅地区、城を囲うように高級住宅地区(貴族専用)がある。
管理地区とは役所や裁判所などが集まる地区である。
今回行くのは商業地区である。
そこで情報屋を探し、サディストの後ろ盾の商会と取引をしている商会と宝石を扱う大商会を探す。
なぜこうするのかというと、追いかぶせには紹介役として取引のある会社の役人に協力してもらい、新しい取引先を紹介しに来たという絵図を書いているからだ。
そして情報屋は意外とすぐ見つかる。
だいたい酒場などにいる。
彼らの業界は情報の速さが命のため、表や裏の様々な情報を持っている。
金はというと、住処の地下にあると言われた貴重な鉱石を採って売って金にした。
そのとき実験として人のときの力はどれほどなのか検証してみたが、プロのボクシング選手ぐらいの力だった。
竜の時と比べるとかなり落ちるが、弱いわけではない。
しばらく歩いて路地裏の奥の酒場に着き、中に入る。
中は床に酒瓶が転がっていたり、賭け事をしていたり、喧嘩していたりと、けっこうひどかったが、こんなところで営業しているのだから無理もないだろう。
マスターに近寄り、情報屋のことを尋ねる。
「情報屋のことを知ってるか?」
「知らんな。ここはただの酒場だ」
「この店で一番高い奴をくれ。これで足りるか?」
鉱石がかなりの高値で売れたので、懐には余裕がある。
ずっしりと重い銭袋をカウンターに載せる。
「・・・何が知りたい?」
「言っただだろう。情報屋のことだ」
「情報屋は俺だ。情報が欲しいなら、情報料をもらおうか。内容によるが、裏のネタだと最低でも五十万はいるぞ」
五十万か。
高いと思うかもしれないが、裏社会は数千万、時には億の金が動くので五十万はかなり安い方だ。
「俺が欲しいのはサディスト王子を追い詰めるネタとその王子の後ろ盾に関する情報だ」
そう言った瞬間、酒場が一気に静まり返った。
マスターも厳しい目つきでこちらを睨んでいる。
「・・・お前は王位継承権所有者か?」
「少し違うな。俺の目的はサディストという暴君を排除することだ」
「・・・どんな絵図だ?」
「あまり詳しくは言えないが追いかぶせで王子の後ろ盾を潰し、そのあとさらに追い詰めて王子を失脚させる絵図だ」
「・・・・・・・万が一失敗したらお前も俺も終わりだ。正直言って俺もあのサディストは好かんが、このネタはハイリスクすぎる。だからかなりの金をもらう。いいな?」
「現ナマか?」
「できればそうして欲しいが、このネタに見合う価値のあるものでもいい」
現ナマとは現金のことだ。
この国には貨幣がないため、すべてコインだ。
一番高い金貨でも十万の価値の為、現金で払おうとしたら絶対金貨を狙うやつが現れるだろうし、管理も大変だ。
そんな面倒を避けるために、あるものを持ってきた。
「これでいいか?」
「!こ、これは・・・」
マスターが信じられないといった顔で驚き、こちらを見ていた飲んだくれたちが騒ぎ出す。
無理もない。
私が出したのは、世界で最も希少かつ埋蔵量の少ない『滅怨の輝石』だ。
鉱石は紫紺で淡く光っており、霧のようなものに包まれている神秘的な石だ。
大きさは普通の石ぐらいだが、これだけでも途轍もない価値がある。
「信じられないか?それは本物だ。なんなら、お前の指名で鑑定士を呼ぼうか?」
「いや、いい。それより、お前はいったい何者だ?」
「それは言えんな。それより、ちゃんといいネタを教えてくれるよな?」
マスターは何度も大きく頷いた。
裏社会では事件屋などは本当に数千万を稼いだりするそうです。
例えば、一隻しかない船を誰でもできる超簡単な方法で二隻あるという風にでっち上げ、その架空の船を担保に五千万以上の大金を引き出す・・・などなど。
もちろん立派な詐欺ですので、バレたら即終わりです。
やる人いないと思いますが、念のため言っておきます。
絶対に真似しないでください。




