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目指すもの

 目が覚めると白い天井。これは知っている。てか短期間で三度目ともなると慣れるな。部屋を見渡しても誰もいない。しかしすぐに空間が歪みじいさんが現れた。


「今回は早いのう。もう死んだのか?」

「死んでねえ、ただ状況が詰んだから戻ってきただけだ。てかあの転送位置は悪意があるだろ。なんだ海のど真ん中で陸や島影が一切見えないっていうのは」

「そうじゃったか。まあ仕方がないのう」

「仕方がないってなんだよ。もっと……」


 もっと、なんだろう。このもやもやはなんて言えばいいんだろう。


「もっと……、良い場所があるだろう。転生させるなら」


 ちょっと勢いも削がれて声も小さくなってしまった。しかし何とかして欲しい。まともな転生をしたいのだ。


「そうは言うがの、世界神が拾って本当に適当に配置をしたら海になることが多いのじゃよ。例えばじゃ」


 そう言ってじいさんは指を動かす。すると部屋の壁に大きな世界地図が現れた。


「見ての通りお主の精神が育った地球じゃ。まあ平面図じゃがの。そしてここにダーツの矢がある。地球に向かって投げてみるのじゃ」


 ダーツの矢が十本手渡された。これを投げろって? いいよ、何がしたいかわからんがやってやる。数メートル離れて矢を投げる。的も大きいので全部当たった。狙いは日本だったが勢いがなくインドネシア付近に刺さったり、右に逸れて大平洋のど真ん中、左に逸れて中国だったり、途中で日本には当たったので今度はオーストラリアを狙ってみたり。


「ダーツは全部投げたぜ。それで何が言いたいんだ?」

「まあそこが転生地点だと考えてくれ、海に刺さっている矢が多いじゃろう。そういうことじゃ」

「いや、それを知っていれば日本を狙ったりしないでユーラシア大陸を狙ったりアメリカを狙ったさ」

「世界神は狙いをつけて転生させんのじゃ。処理する魂が多いところに紛れ込むからの。適当に放っておしまいじゃ。それに大陸に投げたとしても例えば果てしない山脈や広大な砂漠、深い森もあるのう。人が暮らしてる地域なんて大陸の面積に対しては微々たるものじゃ」


 そうは言ってももう少し生きやすい場所に転生させてくれてもいいじゃないか。じいさんとは違う神様だっていうならその神に頼んでくれても。


「それじゃがな、お主の願いは契約じゃから向こうも考慮してくれるんじゃ。叶える願いを破ると信仰も弱まってしまうからじゃな。じゃけど生きやすい場所に転生するのは前回の願いには入っておらん。そういうことじゃ。そして儂がお願いをしても神同士は利害の一致する妥協点なんてほとんどないからの。そんな無駄な時間は誰も望まんよ」


 思考を読むのは止めてくれ。神同士でのお願いはダメなのか。それだと問題を解決するのは単純で願えばいいってことだけか。だけどそれは願いの枠をひとつ食うってことだろ。


「願いが十じゃ少なすぎる。なんとかならないのか?」

「それでも多い方じゃよ。もしくは適当に加護を付けるだけで意見なんか聞かないときもあるのじゃし」


 あー、どうすればいいんだ。そうだ、こんなに便利そうな願いを適当に取るよりはなんらかの目的を持てばいいんだ。そうすればいまの無駄な願いを整理できる。

 またゼロから考えるぞ。【クーリングオフ】は外せないのとやっぱり【言語習得】がないのは怖いな。だからあと8こだ。それで目的は何にしよう。

 異世界に行って何をするか。魔法も使いたいし、苦労もしたくない。衣食住を欠かないようにするにはやはり金だ。それで金でなんとかならない可能性があるのは食べ物だな。もしかしたら。まずいかもしれないし自分で作れれば、更にそれを売って稼げればいいんじゃないか?

 よし、【食材鑑定】【調理Lv2】【基本調理器具】【調理レシピ】で死角はないだろう。

 あとは転生場所を願おう。いままでで一度も人に会えなかったので町の近くに転生したい。そういえば二度目のとき【召喚転生(青年)】を付けなかったが問題なさそうだったな。今回も見送りでいこう。そして代わりに【転生地点は町近郊】を付ける。これだけで文明に会う確率はかなり高いだろう。

 これで言語習得をLv2に設定したらあと1余った。ここで最後に【通貨(金1kg)】を取る。これで最初の軍資金も十分だろう。


「よし、決まった」

「それでは、汝の人生に幸あれ」


 若干前より冷たい気もするが視界はは白に染まっていく。

 今度こそ成功するぜ。



【クーリングオフ】【言語習得Lv2】【食材鑑定】【調理Lv2】【基本調理器具】【調理レシピ】【転生地点は町近郊】【通貨(金1kg)】


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