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京介

もう少しで結末です!

緊張感あんまりなくてすみません(汗

片足につき3個の六角レンチで止めてある足枷のネジは

俊哉の力では手でちょっと回したくらいじゃぴくりとも動かなかった・・・

これは閉じこめられた初日に既に試したことだった。

昔、網走刑務所で拘留されていた受刑者がみそ汁の塩分でネジを錆びさせて脱走した

とのエピソードがあったことを思い出した。

それを試してみようか・・・?

しかしながら気が遠くなるような日数がかかる上に足枷がステンレス製の場合、

努力と時間は無駄になってしまう。

(これが一番かもしれない)

敏哉はベッドのポールに足枷部分を強打した。

(瑠香の・・・女の子の力で締められているなら・・・

 もしかしたら衝撃でネジが緩むかもしれない)

この時間ならばまだ瑠香は学校から帰って来ない。

ポールに打ち付ける時の足枷越しの刺激で足首がしびれて来るがそんな事、

気にしていられなかった。

「緩んでくれ・・」

敏哉は体力の続く限り同じ行為を繰り返した。


いつも通り学校から帰宅すると駐車場に見知らぬ車が止まっていた。

見知らぬ?・・・いや、違う。

この車はこの前、敏哉の友人らが来たときにも見た覚えがあった。

(なぜ?お兄ちゃんに会いに来たの?)

そうだとしても勝手にガレージに車を停めておくとは厚かまし過ぎないか?

(とにかく・・・おにいちゃんは不在っていって帰ってもらわなくちゃ)

ぎゅっと学校指定鞄の取手を強く握り瑠香は自宅の敷地に足を踏み入れた。

「こんにちは。瑠香さん。

 悪いけれど勝手に駐車場使わせてもらったよ」

予想通りこの前来た友達・・・いや、確かこっちは後輩の岡見という男だ・・・

が敷地内の階段に腰をかけて待っていた。

「こんにちは・・・あの・・・お兄ちゃん今日は帰って来ないですよ?」

岡見は立ち上がり

「あれぇ?そうなの?そっかぁ・・・帰って来ないのかぁ・・・・・」

端正な顔にちょっと困った表情を浮かべて

「それってここには居ないって事なのかなぁ?

 ねぇ瑠香さん。君が昨夜吸ったのって先輩の血でしょ?」

と続けた。

血!?

何でこの男は知っているのだろう?

「君はいくら吸血行為を繰り返したって変わることはできないよ?」

「何よ・・・貴方が何を知っているというの?」

シラを切ればいいものを思わず言葉が出てしまった。

「知っているよ・・・瑠香さんが吸血鬼の真似事をして八雲先輩の血を吸っていること」

「・・・何でそんなこと・・」

「何で?だって・・・匂いがするもん・・・新しい血の・・・

 俺も吸血鬼だから」

吸血鬼!?

壁に瑠香を押し付け

「ねぇ。八雲先輩の居場所知っているよね?」

相変わらず優しい声。でも瑠香の細い肩を押し付ける力が

この質問に強制の色合いが含まれていることを示していた。

「・・・大声だすわよ・・」

わずかに震える声でありながらも瑠香は気丈に岡見を睨み返した。

「大声?だせる?」

岡見はそっと指を瑠香の額に当てた。

「あ・・・」

なぜだろう?瑠香は凍りついたように声がでなくなってしまった。

口をぱくぱくさせることは出来るが何故か声がでず、

出るのはうめき声のような意味を成さない音だけだった。

「わかる?これが真似っこじゃない本物の吸血鬼のチカラ」

にっこり岡見は「君の脳の言語中枢にちょっとお休みしてもらっているからね」

と続けた。

「さて・・・じゃあ答えてもらおうかな。

 喋れないだろうからうなずくか首振るかで答えてね」

その問いかけに瑠香は首を背け拒否を示した。

「へぇ、見かけよりも気が強いのかなぁ・・・

 いいよ。んじゃ身体に聞いてもいいし・・」

そう言うと岡見は楽しそうに瑠香の制服のリボンに手をかけた。

カチッと制服のリボンタイをはずす音が聞こえると

「あ・・・」

涙目になりながら必死で瑠香は首を振り

「答えてくれる?」

との岡見の問いに大きく頷いた。

穏やかに見えるがこの男・・・脅迫しなれているのかもしれない。

「よかった。どうも無理やりって好きじゃないんだよねぇ。

んじゃ聞くね。八雲先輩はどこにいるのかな?・・・この家の中?」

こくん。瑠香は素直にゆっくりと頷いた。

「そう。八雲先輩は生きている?」

こくんこくん。大きく肯定の合図をした。

「よかった・・・じゃあそこまで判れば取り敢えずはいいや。

 じゃあおウチ入れてもらえるかな?俺さすがに鍵は持ってないんだよね」

手の力を緩めると同時、瑠香はその場に座り込んでしまった。

(この男・・・何者?吸血鬼?仲間なの?)

「あなたは・・・?」

「俺は岡見京介。八雲先輩の後輩で・・」

「それは知ってるわ!そうじゃなくて・・・・何で・・・吸血鬼って・・・」

へへっと何か曖昧な笑みを浮かべ岡見は

「一応は吸血鬼一族の族長だもん、俺。」

と告げた。

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