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心の闇

それはもしかしたら誰にでもあるのかもしれません

「お兄ちゃん、ちょっと手伝って欲しいの。

 この荷物を地下室まで運びたいんだけれど重くて・・」

望月と岡見が帰った夜、瑠香はリビングで寛いでいる敏哉に

お風呂上りの瑠香は昔の教科書や本などが入ったダンボールを差し出した。

「ああ、大掃除するって言っていたもんな」

「うん。本棚片付けたの。

 私こっちもつからお兄ちゃんこっちの大きいほう持ってくれる?」

「いいよ。大丈夫。俺が2つもつから瑠香は扉とかあけて?」

敏哉は大きなダンボールの上に小さな方を乗せながら持ち、瑠香を促した。

2階へ上がる階段と比べると一回り小さい階段が

今は物置として使われている地下室へと続いている。

以前は母がバイオリンを弾くための部屋として使われていたが

今は使わなくなった本や家具類が置かれているだけだ。

「地下室も少しは片付けなくちゃな」

「ううん。先週ちょこっと片付けたから結構キレイよ」

地下室へ降りると瑠香の言葉に素直に頷けた。

6畳ほどの広さに本棚3つにもう使わなくなったシングルベッドが置かれている

その部屋は十分に換気がなされたらしく

地下室特有の埃っぽさはなく床もキレイに掃除されていた。

「この部屋もちゃんと照明つければ普通の部屋として使えるよなぁ」

持って来た荷物を仕分けしやすいように本棚の前に置き感想を漏らした。

「そうね、今は階段からの明かりだけだからちょっと暗いもんね。

 でも・・・我慢してね?」

え?我慢って??

敏哉が口にしようとした途端、瑠香が首に腕を絡めてきたかと思うと

そのまま「がぶり」と首筋に牙を立てた。

「ちょ・・なん・・・・ま・・・」

視界が暗転し目が覚めた時には敏哉はとらわれの身の上になっていた。


瑠香は薄手のスリップだけの姿で手に燈台を持ち地下室に降りてきた。

蝋燭の灯りがゆらゆらと瑠香の曲線に陰影をつけた。

「お兄ちゃん。御飯食べてないの?」

瑠香はベッドスタンドの上に用意していた

シチューにもパンにも手を付けてないのを見て言った。

「だめだよ。私が血吸ってるんだからちゃんと食べなきゃ」

「瑠香!お前おかしいよ!

 コレは異常だぞっ父さん帰ってきたらなんて説明するんだ!?

 普通じゃないぞ!」

「お父さん?大丈夫よ。まだ当分あっちなんだから・・」

くすくす・・・瑠香は笑いながら異常なまでに冷たい指で俺の頬をそっとなでた。

瑠香の指はこんなに冷たかっただろうか?

瑠香は今までこんな表情をしていただろうか?

「メール毎日来るけれどちゃんと『二人とも元気よ』って返してるから

 心配もしていないと思うわ」

電話とちがってメールだとお兄ちゃんのフリするのも簡単だしね、

そう続け瑠香はふわりと俺の上に跨った。

「足かせ・・・痛くなぁい?」

正面から抱き合うような姿勢で瑠香は俺の首に手を回しながら尋ねた。

一体何処で手に入れてきたのだろうか?

足かせは鉄か鉛かはたまたステンレスか何か判らないが

重い金属で出来ていることは確かだろう。

しかし内側が布張りになっているので激しく動いたりしなければ痛くなることはなかった。

「よかった。傷にはなっていないみたいね」

敏哉の手足を観察し瑠香は嬉しそうに抱きついてきた。

「あぁ」

ちくっと皮膚に何かが刺さる感触がした。

しかしそれは一瞬だけで後は痛みというより何だかくすぐったく感じる・・・

いつもの吸血行為だった。

「・・・・お兄ちゃん・・血少なくなっちゃうよ?」

耳元で子供をあやすように瑠香が囁いた。

「こん・・・な・・」

こんなコトは普通じゃない!そう言いたかったが敏哉の意識はそこで途絶えてしまった。


まだまだ続きます

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