入る理由
佳子との戦いから数日が経った。
あれ以来、佳子が挑んでくることは無く、平凡な生活……まぁ、若干物足りなさを感じてしまう日々が続いている。
藍沙の言った通り、実は寂しいと思ってるかもしれない。
今ながらに考えれば、多少なりああいった刺激がある方が楽しい日を過ごせるのは当たり前、けど、刺激が多すぎたらそれはそれで……
「……はぁ」
「どうしたのせっちゃん? ため息ついて」
「何でもないわ」
「やっぱり、少し退屈だったり?」
「……さぁね」
退屈なのは否定出来ない、何せここ数日アイツに声をかけられていな……
「取説、今良いかしら」
……かったからだ。
「……なによ」
「昼休み、部屋に来てほしいの」
「また依頼? たまには一人で片付けなさいよ」
「とか言って、内心は退屈じゃなくなって喜んでるんでしょう?」
「……まさか、そんな訳ないじゃない」
「まぁいいわ、よろしくね」
それだけ言って蛍奈は去って行った。
「……」
やっぱりアイツ、心の声が聞こえるんじゃないかしら……
昼休み、私は部屋へと来た。
てっきり藍沙も付いてくるかと思っていたけど、昼休みになるなり昼を求めて教室を出ていった。私のも頼んでおいたので長引いても問題無い。
「来たわよ、蛍……」
「よう、竹鳥」
部屋の中に入って最初に目に入ったのは、まさかの佳子だった。
「来たわね」
それだけではなく、机を挟んだ向こう側に蛍奈がいた。その手前は佳子で、2人の間、私から見て左側に、
「買っといたよ、せっちゃん」
何故か藍沙がいた。手にビニール袋を持ってぶんぶんと振っている。中身は私達の昼御飯か。
「ちょ、藍沙、振ったら崩れるわよ」
「あ、ごめんごめん」
「とりあえず取説、言いたいことがあるなら聞くわ」言いたいこと? 沢山あるわよ。
「じゃあ、この集まりはどういう関係なの?」
大体予想はつくけど。
「同好会のメンバーよ」
やはりか。
「別に部活にしようと思っているわけではないの。でももっと多くの依頼を受けるにはどうしても人の手が必要でね、こうして集めたのよ」
「……で? それと私が呼ばれた理由は?」
「分かってるでしょ?」
「……」
私もメンバーになれってことね。
「せっちゃんも一緒にやろうよ、ね?」
藍沙にお願いされ、
「竹鳥も入れよ、きっと楽しいぜ」
佳子に進められ、
「このメンバー見たら、入るわよね?」
蛍奈に半場強制された。
「……」
まぁ、悪いことばかりでは無いはず。
それに、退屈な日々よりはマシなはずよね。
「……分かったわよ、入ればいいんでしょ、入れば」
「そう言うと思ってたわ、だからね」
蛍奈は机の下から一枚の紙を取り出して私に差し出した。受け取って見ると、
発明同好会
部長 水野葉 蛍奈
副部長 竹鳥 説子
「……はぁ!?」
私が副部長!?
「ちょ、コレどういう意味!」
紙を机に叩きつけた。
「書いてある通りよ、取説がこの同好会の副部長。皆異論無く満場一致よ」
いや、皆って他に2人しかいないし……
「やっぱりせっちゃんが副部長に適任だよ!」
「あ、藍沙……」
「アタシは負けたからな、潔く譲るさ」
「佳子まで……」
「そういうのを含めなくても、ここへの滞在時間が二番目に多いのは取説よ。その時点で決定だと思うわ」
「蛍奈! アンタこれ前提で話してたのね!」
「ところで取説、覚えてる? カレーの話」
「はぁ? 今はそれどころじゃないわよ」
「蕎麦屋でカレーうどんがあるのにカレーライスがメニューに無い店は、きっとご飯を置いていないから。でも丼物がメニューにあったら……という話だけど。あれ、カレーがうどんとかの麺類に合うようにとろとろに作ってあってライスに不向きだから。という結論にワタシ達によって至ったわ」
「つまらない話してんじゃないわよ! てか2人もそんな事考えてるんじゃないの!」
「でもそうじゃね?」
「せっちゃんはどう思う?」
「いや中にはとろとろなカレーが好きな人もいるだろうし、多分カレーと米で皿を洗うのが大変だからじゃ……って、そうじゃなくて」
「なるほど……一理あるわ、さすがは取説ね」
「お〜、さすがせっちゃん」
「くっ、やるな竹鳥、アタシはそんな発想なかったぜ」
「いやだから……はぁ、もういいわよ」
かくして、発明同好会に三人の新メンバーが加入した。
『オモイノトリセツ』三章が終わりました。
説子と蛍奈、そこに新たなメンバーが加わった発明同好会。ついに本格的な始動を開始しました。これから先、いったいどうなるのか……
そしてこれから先、同好会には……それはまた、先の話。よろしければ、お待ちください。
それでは、




