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オモイノトリセツ  作者: 風紙文
第三章
13/18

リベンジの理由

佳子との勝負が終わった日から一夜明け、今は三現終了後の休み時間。

私は自分の席についてのんびり窓の外を眺めていた。

「……ヒマね」

昨日までが嘘のように、佳子を今日一回も見ていない。

正直うっとうしい程に迫られてたけど、アレはアレで…………って、なに考えてるのよ。

やっと解放されたんだからそれを喜ばなくちゃ。

「実はさびしい、とか?」

「!?」

気付いたら席の前に藍沙がいた。

「あれだけ大慌てだったもんね〜、急にぱたっと止まったらこうなるよ」

うっ、大体当たってる……

「あ、あのね藍沙、私は別にそんな事思ってなんてないからね?」

フォローを試みる。

「でもさっき、ヒマね、って言ってたよ?」

しまった。聞かれてたか。

「でも大丈夫だよ、せっちゃん」

え?

「きっとすぐにリベンジに来るよ」

リベンジに来るよ?

「佳子が?」

「うん」

「……」

リベンジに来る。だけならまだ良い。

問題は、そのリベンジ方法、あるいは手段だ。

「……普通に済めばいいわね」

「へ? 何かあるの?」

「予想に過ぎないけどね」

なぜ私がここまで考えているのか。

それは、佳子が負けて崩れ落ちたあの場所に、まだ今日一度も見ていない狂化学者が居たからだ。

確か、その場に藍沙もいた筈だけど。多分私にそれを伝える役目ね。

それでいてあまり深くまでは知らさない。あくまでも私に伝える役目と、あまり藍沙を巻き込むと私の機嫌が良くならないと分かっている、それは私がリベンジを受ける確率を下げる事に繋がるからだ。

正直言って、今の私にとって一番厄介な2人が組んだ状況だ。なにも起こらずに済む訳があり得ない……

その時、

「取説、今いいかしら?」

来た。

「休み時間は後3分よ?」

今日初めて会った蛍奈越しに、時計を見て指摘する。

「それで済むわ、聞いてくれる?」

「……なによ」

大方分かってるけど。

「大体分かってるでしょ? 佳子がリベンジしたがってるのよ」

やっぱり。

「受けてあげてくれないかしら? それで完膚無きまでに勝てば、佳子も諦めるでしょうから」

「……仕方ないわね」

コレに勝って諦めさせるもよし、負けて喜ばせるもよし、私にマイナスが無い良い条件だ。

「とか言いながら、実は内心楽しみなんじゃないの?」

「っ!? ……そ、そんな訳ないじゃない」

まさかコイツ、藍沙とのやり取り見てたんじゃ……

「今、少し間があったわよ?」

「気のせいよ」

「そう、なら良いわ。じゃあ昼休みに部室に来てちょうだい」

昼休みに部室?

「そこなの?」

佳子のことだから、リベンジはバスケ等のスポーツだと思っていたが、あの部屋の中でそんな事は出来ない。

「佳子からの依頼よ」

間違いではないだろうが、場所の提供は絶対コイツが言ったことだ。……やっぱりなにか噛んでるのね、蛍奈のやつ。

「ねぇねぇ、わたしも行っていいかな?」

「もちろんよ、真崎さん」

その時、チャイムが鳴った。





昼休みになり、私と藍沙は蛍奈と佳子がいるであろう部屋へ赴いた。

「来たわよ」

中に入ると、

「来たわね。佳子、取説が来たわよ」

佳子へと声をかける蛍奈、だが、

「あーちょい待って、もうすぐキリがよくなっから」

佳子は本に目を奪われていた。大きさから見て、文庫本の類いだろう。

「よしっ」

パタンと本を閉じた。

「サンキューな水野葉」

本を蛍奈へと渡す……ってまさか、その本……

「取説も読む?」

蛍奈が本の表紙に書かれた題名をこちらに見せた。

題名は……

「やっぱ面白いな、常敗ピンチヒッター」

やっぱりか!!

まさか、あの佳子まで読んでるとは……

勝負する前に、負けた気分になったのはなぜだろう……内容もかなり気になって来た。

しかし、

「けっこうよ。それよりも佳子、勝負するんでしょ」

「あぁそうだった、つい面白くて忘れてたぜ」

そんなに面白いのか、常敗ピンチヒッター……

……今度、本屋で見てみようかしら。

「全巻貸せるわよ?」

蛍奈に心を読まれた。いや、顔に出ていたのかもしれない。

「いいわよ別に」

「とにかく、竹鳥! アタシのリベンジを受けな!」

ビシッと指を指される。

「その為に来たのよ、勝負内容はなに?」

教室の半分も無い大きさの部屋だ。スポーツには向いていない。ここに集合してから移動するものだと思っていた。

「勝負内容は……コレだ!」

しかしその考えは、佳子が取り出した物が違うと示した。

それは―――


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