ウェーク島攻略とMO作戦
第四艦隊配属となった「石見」と「壱岐」の2隻は、対米開戦と同時にウェーク島攻略作戦に参加した。
この作戦で2隻は、自慢の主砲である30.5cm砲弾を米飛行場や沿岸砲台へと撃ち込み、基地航空隊の爆撃と合わせて無血上陸成功の地ならしをした。
それまで第四艦隊に配属されていた艦艇は、最大でも軽巡であり、その備砲は14cm砲であった。その倍の口径の砲弾の威力は、第四艦隊将兵の士気を大いに鼓舞するとともに、米ウェーク島守備隊には戦艦という存在が出てきただけでも、インパクトがあった。
そして、この2隻の出現に慌てた米太平洋艦隊は、真珠湾で戦艦部隊が壊滅したこともあって空母「レキシントン」を中心とする任務群を救援に向かわせたが、同部隊到着前にウェーク島は陥落してしまい救援に失敗した。逆に南雲機動部隊から分派された「蒼龍」「飛龍」を中心とする派遣艦隊との間に海戦が発生し「レキシントン」が集中攻撃により撃沈という、オマケがついた。
なお日本側も第二航空戦隊の搭載機に、かなりの消耗が発生した。そのうち不時着水した搭乗員の一部は残敵掃討のために前進した「石見」と「壱岐」に救助されたが、この戦訓により日本側は機動部隊の運用、特に航空戦力の運用に慎重さを求めるようになり、なおかつ新型艦載機の開発を加速させることともなる。
2隻が続いて参加した大きな戦いが5月に発生したMO作戦である。ニューギニアのポート・モレスビー攻略を狙ったこの作戦で2隻は攻略部隊の護衛・援護として出動した。
ウェーク島攻略作戦で、戦艦の艦砲射撃が地上施設、特に飛行場や沿岸砲台には有効と確認した日本海軍は、ポート・モレスビー攻略時の砲台として、2隻に期待した。
しかしこの作戦はこれを阻止するため出撃してきた空母「ヨークタウン」「ワスプ」を中心とする米機動部隊と「瑞鶴」「翔鶴」「加賀」を中心とする日本機動部隊同士の空母戦を挟んだことで、大きく狂う。
特に日米機動部隊共に第一撃をそれぞれ攻略部隊と補給部隊に向けたため、日本側は軽空母「祥鳳」大破と「壱岐」が第4砲塔全壊(中破)の損害を受けてしまい、逆に米軍も給油艦と駆逐艦1隻ずつが撃沈されて燃料の補給に支障が出た。
最終的に正面からの対決と機動部隊同士の戦闘は米側が空母2隻ともに喪失し、一方日本側も「翔鶴」大破と「加賀」中破という損害が発生した。
また米豪連合巡洋艦隊が攻略部隊に立ちはだかり、巡洋艦4隻と駆逐艦2隻を喪失しつつも、弾薬を消費した攻略部隊はついにポート・モレスビー攻略を断念。日本艦隊を撤退に追い込んだ。
日本側は、ついに作戦目的を達成できなかった。
しかしながら、米空母2隻を確実に撃沈したことや、米豪艦艇多数を撃沈したことから、ポート・モレスビー攻略失敗を抜きにしても、日本側の勝利と考える両軍関係者は多かった。
結果的に、米側は稼働空母が日本本土空襲へ向かわせた「エンタープライズ」と「ホーネット」のみとなり、日本側の積極的な攻勢への対処が難しくなっていた。
対する日本側も南雲艦隊の空母4隻が健在なものの、開戦時からの航空部隊の消耗が激しく、空母部隊を積極的に動かしにくくなり、6月に計画されたミッドウェー攻略作戦は中止された。
一方で「石見」と「壱岐」の活躍から、戦艦の新しい使い道が論じられることとなった。とりわけ、対地攻撃と敵快速艦艇部隊への対処である。
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