↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/19

ラストバルト ②

 前哨戦となる、米機動部隊による制空権の確保は、戦闘機(正確には一部が爆装した戦闘機)のみによる、空中掃討から始まった。まずは戦闘機のみで、日本側戦闘機の一掃を狙ったのである。


 対する日本側も電探で敵機の来襲を察知すると、迎撃機の発進、攻撃機の避退、対空攻撃の準備を始めた。


 マリアナ諸島の各島はそれぞれ小島であるが、それでもこのことを予期して、飛行場設備は陸海軍上げていっぱいにまで拡張されており、この時出動した迎撃機だけでも300機を超えた。もちろん、地上には対空砲や対空機銃も配置されている。


 マリアナ諸島上空で凄まじい戦闘が展開された。何せ双方合わせて800機に近い戦闘機が入り乱れての空中戦、それも互いに最新鋭機を用いてである。


 その軍配は、戦略的には日本側に上がった。米軍側は3度の空襲を行ったが、全ての飛行場の破壊に失敗、すなわち制空権の奪取には失敗し、戦闘機とその後攻撃を行った艦爆・艦攻に250機近い損害を受けた。


 一方日本側は用意していた迎撃機のうち200機あまりを喪ってしまい、迎撃にしろ、攻撃隊の護衛にしろ、戦闘機が不足する事態となった。せめてもの慰めは、防空戦であったため、パイロットにはパラシュート脱出する余裕があり、50名以上が落下後、機体さえあれば直ちに戦線復帰できた。


 しかし、どちらにしろ攻撃隊の護衛機の不足は、米機動部隊への積極的な反撃をためらわせた。


 少数機が硫黄島やトラックなどから夜間攻撃を決行するも、米側の夜間迎撃機とレーダー連動の対空砲火に阻まれ、戦果は外周の駆逐艦1隻を損傷させるに留まった。


 一方で護衛空母の不足から機体の補充が決して潤沢とは言えない米機動部隊も、ここで決断に迫られた。日本機動部隊との決戦前に機体を消耗してでも、まずはマリアナの制空権を確保するか、それとも機体の温存を図るか。


 機動部隊司令官スプルーアンス提督は常道を選び、まずはマリアナの制空権確保へ動いた。


 このため、米機動部隊艦載機は二日目もマリアナ諸島に来襲した。対する日本側は昨日の戦闘でかなりの機数を喪っており、予備機の整備や硫黄島、トラックからの増援が会ったとは言え、出撃できた機数は前日より少ない200機あまりであった。


 米軍側は数の暴力でサイパンとグアムの飛行場は全て使用不能に陥れたが、またも200機あまりの艦上機を喪失し、加えてテニアン島の飛行場だけは、まだなんとか離着陸可能な形で保持されていた。


 それでも、日本側の航空戦力に大打撃を与えたことに間違いはなく、スプルーアンス提督は日本艦隊との決戦に備えた。


 そして3日目、ついに日米の機動部隊は正面から激突した。


 先に発見したのは米機動部隊側で、潜水艦からの報告で小沢艦隊を捕捉し、戦爆連合270機を発進させた。この時米機動部隊内では、日本側攻撃隊を戦闘機の全力で迎撃し制空権を確保してからの反撃という意見もあったが、この時点で米機動部隊パイロットたちは連日の出撃と激しい空戦で消耗しており、加えて日本側の戦闘機や攻撃機が新型機に更新されており、戦闘機を集中しても全てを止められないと判断し、攻撃隊を出したのであった。


 対する日本側も航空索敵で30分遅れで米機動部隊を捕捉し、戦爆連合450機を出撃させた。


 日本機動部隊司令官小沢提督は、第二撃は考えずほぼ全ての機体を出撃させた。


 この対戦の結果は、痛みわけとなった。米機動部隊は日本艦隊を攻撃して空母「蒼龍」「天城」「祥鳳」「龍鳳」「千歳」を撃沈し「飛龍」「千代田」「瑞鳳」を大破させた。しかし戦闘で70機を喪失したことに加えて、実は潜水艦の位置情報に誤りがあり、ガス欠機が続発した。その結果事故で150機を喪い、母艦に着艦出来たのは50機だけという状況であった。


 一方日本側攻撃隊は、空母の撃沈こそ「フランクリン」と「ラングレー」に留まったが、日本側攻撃隊が激しい対空砲火を見て輪形陣の外郭に位置する護衛艦艇にも攻撃を行った結果、重巡1,軽巡5,駆逐艦4隻が撃沈され、さらにほぼ同数が損傷を被って戦線離脱を余儀なくされた。他の上空直掩機にも60機あまりの犠牲が発生している。


 日本側攻撃隊は米迎撃機や強力な対空砲火を前に、実に240機を戦闘で喪失し、さらに30機あまりを事故で喪失した。


 他方で、この機動部隊攻撃に乗じて硫黄島とトラック島から出撃した攻撃隊100機あまりが薄暮攻撃を仕掛け、空母「レキシントンⅡ」を戦線離脱に追い込み、巡洋艦2隻がさらに撃破された。


 ここで小沢提督もスプルーアンス提督も悩む。小沢提督にしてみれば、米機動部隊への打撃が不十分で、かといって米機動部隊への攻撃に出せる機体はせいぜい200機。これさえもすり潰してしまえば、機動部隊は壊滅となる。あとは基地航空隊に任せて、撤退するべきか・・・


 一方スプルーアンス提督も、空母はまだ大多数が健在であったが、艦載機の被害が大きく、パイロットの疲労も深刻。加えて護衛艦多数を喪ったことで、機動部隊自体が敵への攻撃に脆弱な状況になっていた。それを証明するように、未明に軽空母「プリンストン」が日本潜水艦「伊58」の雷撃で沈められてしまった。


 上陸船団に従う護衛空母の数も少ない。ここは撤退するべきか・・・



御意見・御感想お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。