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1944夏の戦い ②

 ソロモン・ニューギニア方面から攻め上げるマッカーサー軍の最終的な進撃先は、マッカーサーにとって因縁の地であり、なおかつ日本の資源輸送路の拠点であるフィリピンの奪還である。


 そのためにも、モレスビーを含む南東部ニューギニアの奪還と、ラバウルの無力化は絶対条件であった。


 しかし、マッカーサー軍にとって弱みであったのが、艦隊戦力の圧倒的な不足であった。確かに旧式戦艦や護衛空母、さらに開戦後量産が進んだ巡洋艦、駆逐艦、それに加えて多数の補給艦艇に輸送艦艇の数は、日本から見れば巨人米国の工業力を象徴する、贅沢な陣容であった。


 しかし旧式戦艦や護衛空母は機動力が劣り、またその他の艦艇も確かに日本がこの方面に展開する艦艇に比べれば圧倒的な数であったが、一方で全ての戦域で優勢を保てることを保障するものでもなかった。


 結局新鋭戦艦や大型空母は、中部太平洋を進撃するニミッツ大将指揮下の太平洋艦隊に集中されており、交換条件に融通された護衛空母は艦上機の数こそ、それなりとは言え、艦隊空母を完全に代替できるわけでもない。


 さらにこれらを補助するべき航空戦力も、総数だけで見れば日本陸海軍が展開する戦力を圧倒していたが、逆に数の暴力で叩き潰すには、いささか心許ない状況にあった。


 このような状況を生んだ要因は、ヨーロッパ戦線にあった。


 この時期ヨーロッパでは、ロンメルを新総統としたドイツが粘り強い戦いを続けており、北アフリカとスターリングラード、レニングラードでこそ勝利したものの、東西戦線ともにそれ以上の進撃を食い止められていた。


 ドイツ上層部では、連合国に対して有利な講和をする上で、さらには戦後の覇権をにらむ上で、絶対に必要な線(占領ではなく勢力圏下とする線)を、西はフランス本土、北はノルウェー、南はイタリア本土とシチリア島、そして東ではウクライナとバルト三国を結ぶ線と定めていた。


 これら地域を守り抜くため、最適解としてのドイツ軍の強化が喫緊の課題であった。


 軍上層部やシュペーア軍需大臣、軍需企業などと協議の上、夢想的な兵器や戦争に間に合う可能性の低い兵器の開発を諦めて、空ではMe262やHe219など、海ではターボエレクトリック型Uボートと早期に完成が見込める水上艦艇、陸ではパンサー戦車とヤークトパンサー自走砲など、すぐに使える高威力の兵器の量産を進めさせた。


 それと平行してロンメル政権はバルト三国、ウクライナ、ベラルーシ、西ロシア(自由ロシア政府)の独立を容認すると共に、ソ連からの鹵獲兵器や独仏伊製兵器の供与による再軍備まで進めていた。


 とにかく、使えるものは全て使おうというわけだ。またこれらの仏伊製兵器の売却は、財政的な仏伊への支援と、それによる両国政府や国民の関心を買うという、政治的な理由も大きかった。


 さて、ドイツ軍期待の新兵器。この中でMe262は配備開始当初から、連合軍爆撃機に猛威を振るった。ジェットエンジンの不安定さや、航続力の弱さを速度と強武装で補い、多数の連合軍爆撃機、特に昼間爆撃を行う米軍機多数を撃墜した。


 このことは、米戦略空軍上層部を震撼させた。何せ重爆撃機は如何に米国であっても、その量産や搭乗員の養成は大きな負担である。その機体の損失が、例えば1回の出撃で5%から10%に増えるだけでも、打撃は計り知れない。


 そのため米戦略空軍は、当初対日戦の切り札として、太平洋戦線へ投入予定だったB29を、急遽ヨーロッパ戦線へ派遣することとなったが、これは太平洋で戦うマッカーサーやニミッツ将軍らを大いに不満にさせた。


 それどころか、北アフリカこそ奪還したものの、未だにヨーロッパ大陸に取り付けさえしていないことから、戦闘機や双発爆撃機部隊などもヨーロッパ戦線に回されてしまい、太平洋戦線への投入機はさらに減ってしまった。


 特に太平洋戦線は航続力の長さから有用なB24部隊、ソロモンやニューギニア戦線で対地・対艦船攻撃に有用なB25部隊を引き抜かれたことは、戦術の幅を狭める結果となった。


 さて、米機動部隊によるサイパン島空襲の報を受けたものの、同時にニューギニア・ソロモン方面でも連合軍の攻勢が始まったことで、日本側はどちらが主攻か読みあぐねたが、最終的にマリアナ・硫黄島への攻撃がヒットエンドランの一撃であったため、ニューギニア・ソロモン方面の敵軍迎撃をメインとするハ号作戦を発動した。


 これに伴い第二・第三艦隊から分派された艦艇がラバウルに急行して、第八艦隊と合流し、モレスビー奪還を狙う敵艦隊を迎撃することとなった。さらに、トラック島やフィリピンに展開する航空部隊の一部が後詰めとして移動を開始し、戦闘の長期化に備えた。


 それに先立つ形で、モレスビー・ラバウルなど日本側の拠点では大空中戦が展開された。


 ソロモン諸島やオーストラリア大陸から飛来する連合軍機と陸軍自慢の「疾風」「飛燕」「隼」「屠龍」「閃龍」戦闘機や海軍の零戦五四型や「紫電改」戦闘機との間で、激しい空中戦が交わされた。


 対する連合軍は欧州戦線に新鋭機を取られていたが、豪新部隊も加わったP38、P40、P39、F4F、F6F、F4U戦闘機などが投入され、2対1での空中戦など戦術でこれを補った。


 戦いは激しかったが、どちらも一歩も引かず、互角の戦いが続いた。

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― 新着の感想 ―
≫空ではMe262やHe217など 262をヤーボにしようとか言い出す伍長さんが居ないですからねw He219とかTa152とかは作ってるのかなぁ。 ≫陸ではパンサー戦車とヤークトパンサー自走砲など…
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