67話 おつまみと言ったら私はチーカマ一択!
公爵家
いつもの茶会だった
「ん〜……」
りなが焼き菓子を口に運ぶ
美味しい
普通に美味しい
だが。
「なんか違うんだよなぁ……」
「どうしました?」
フィリアが首を傾げる
「この国さ」
「はい」
「お菓子少なくね?」
沈黙
「少ないですか?」
エミリアが首を傾げる
「ケーキがあります」
「うん」
「焼き菓子があります」
「うん」
「チョコレートもあります」
「うん」
「十分では?」
「違うんだよなぁ」
りなは首を振る
「甘いものは確かにある」
「はい」
「でもお菓子ってそれだけじゃないじゃん」
「?」
「しょっぱいのとか」
「しょっぱい」
「辛いのとか」
「辛い」
「あとなんといっても」
りなが立ち上がる
「おつまみ!!」
「おつまみ」
「お酒のお供ですか?」
「それもある!」
「それも?」
「でも違う!」
二人はますます分からなくなった
「私チーカマだけは外せないんだよね〜」
沈黙
「ちーかま?」
「ちーかま?」
聞いたことがないらしい
「チーズとかまぼこを練り合わせたやつ」
「かまぼこ?」
「魚のすり身」
「魚とチーズ?」
「そう!」
沈黙
「想像がつきません」
「ウチも説明しててよく分かんなくなってきた」
黄金の光が広がる
「来た」
『創造神スキル起動』
『間食への欲求を確認しました』
「認識が雑!」
『新規創造候補を解放』
『ちーかま』
『ぽてとちっぷす』
『びーふじゃーきー』
『するめ』
『あたりめ』
「来たぁ!!」
数分後
机の上には見慣れたお菓子達が並んでいた
「まずはこれ」
りながチーカマを持ち上げる
「そんなにですか?」
フィリアが首を傾げる
「まずチーカマ」
「そんなにですか?」
「まずチーカマ」
「凄い拘りです」
フィリアが恐る恐る一口食べる
モグモグ
モグモグ
沈黙
「美味しいです!!」
「っしょ!?」
「なんですかこれ!」
「チーカマ」
「凄いです!!」
フィリアの手が止まらない
「エミリアは?」
「では」
モグ
沈黙
モグ
沈黙
モグ
「どう?」
「合理的です」
「合理的?」
「手が止まりません」
「分かる」
次はポテトチップスだった
パリッ
「おぉ」
パリッ
「おぉぉ」
パリッ
「おぉぉぉ」
「鳴き声みたいになってる」
その時だった
「お邪魔しますわ」
セレスティアだった
「セレス!」
「その呼び方は――」
途中で止まる
机の上のお菓子を見たからだ
「……何ですの?」
「お菓子」
「見れば分かりますわ」
数分後
パリッ
モグモグ
パリッ
モグモグ
「止まりませんわね」
「分かる」
「これは危険ですわ」
「分かる」
気付けば。
四人とも無言だった
パリッ
モグモグ
パリッ
モグモグ
「なんか会話なくなったね」
「食べるのに忙しいです」
「分かる」
◇◇◇
翌日
王都
「早くない!?」
りなが固まった
「チーカマですわ!!」
「限定味ですわ!!」
「ポテトちっぷすですわ!!」
「昨日だよ!?」
◇◇◇
「レティシア様!」
職人が走ってくる
嫌な予感しかしなかった
「新作です!!」
「早い」
「燻製ちーかまです!!」
「もう派生してる!?」
◇◇◇
その日の夜
公爵家
なんとなく目が覚めた
水でも飲もうと思っただけだった
「……ん?」
食堂から明かりが見える
こんな時間に?
りながそっと扉を開ける
「……旦那様」
「なんだ」
「こちらも美味でございます」
「そうだな」
パリッ
お父様
ベルモンド
机の上
チーカマ
ポテチ
ビーフジャーキー
するめ
「何してんの?」
二人が振り返る
「菓子会だ」
「菓子会でございます」
「菓子パしてんじゃん!?」
二人が首を傾げる
「菓子パ?」
「お菓子パーティー!」
お父様とベルモンドが顔を見合わせる
「菓子会の事をかしぱと呼ぶのか」
「勉強になります」
「そこじゃないんだよなぁ」
りなが机を見る
チーカマ
ポテチ
ビーフジャーキー
するめ
完璧だった
「なんで私より先にその概念に辿り着けてんの!?」




