18話 女子会って言えば恋バナっしょ!
「……というわけで」
りなは机を叩いた。
「今日は女子会するし!」
「じょし……かい?」
フィリアが首を傾げる。
エミリアも隣で困惑していた。
「女子だけで集まってダラダラ喋るやつ」
「だらだら……」
「あとお菓子食べる」
「それは素敵ですね!」
フィリアが食いついた。
完全に染まっている。
◇◇◇
「はい、お菓子〜」
「わぁ……!」
机いっぱいに並べられる甘いもの。
紅茶。
プリ。
スマホ。
そして女子たち。
フィリア。
エミリア。
さらに最近仲良くなった令嬢たちまで呼ばれていた。
「え、なんか普通に楽しいんだけど」
りなが笑う。
以前の社交会とは全然違う。
探り合いも、
家柄の話もない。
ただ好きなものを話しているだけ。
「……これが“女子会”」
フィリアが感動していた。
「で」
りながニヤリと笑う。
「女子会っつったら恋バナっしょ!」
沈黙。
「……こい、ばな?」
「好きな人の話!」
瞬間。
令嬢たちがざわついた。
「す、好きな方!?」
「そ、そのような話をするのですか!?」
「え、しないの?」
りなが逆に驚く。
「いやマジ人生損してね?」
◇◇◇
「じゃ、まずフィリア!」
「わ、私ですか!?」
「好きな人いないの?」
フィリアは少し考え込み――
「います!」
「えっ」
全員が食いついた。
フィリアはキラキラした目で言う。
「レティシア様です!」
沈黙。
「……重っ」
「っ!?」
「いやでも分かる〜」
「分かるんですか!?」
令嬢たちも頷いている。
「レティシア様、マジでカリスマですもの……」
「わたくしもネイル変えて人生変わりましたし……」
「推しって感じですわ……」
フィリアが誇らしげに胸を張る。
「そうなのです! レティシア様は世界を変えてくださるお方で――」
「待って語り長い」
「はっ」
◇◇◇
「じゃあエミリアは?」
「わ、私ですか!?」
エミリアが真っ赤になる。
「え、絶対いるじゃん」
「い、いません!!」
「その反応いるやつ〜」
女子たちが一斉に盛り上がる。
「誰ですの!?」
「屋敷の方!?」
「騎士様とか!?」
「ち、違いますぅ!!」
顔が赤すぎる。
完全にバレていた。
「マジアゲ案件じゃん」
「やめてくださいレティシア様ぁ!!」
◇◇◇
数時間後。
「……恋バナって」
フィリアがぽつりと呟く。
「すごく、楽しいのですね」
「っしょ?」
りなが笑う。
好きなものを話す。
好きな人を語る。
そんな当たり前のことが、
この世界には今まであまりなかった。
でも今は違う。
女子たちは笑いながら、
“好き”を語り始めている。
それはきっと。
この国を少しずつ、
変えていた。




