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『平成ギャルが公爵令嬢に転生したら、貴族社会がマジでだるすぎた件』  作者: qp46


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16話 男が盛ったらダメ?そんなわけねーじゃん

「……ねえ」


 りなは、

レオン王子の髪をじっと見つめた。


「なんだ」


「その髪、もったいなくね?」


 レオン王子が固まる。


「……髪?」


「絶対もっと盛れるし」


 今や、

王子たちは完全に“推し”となっていた。


 街を歩けば悲鳴。


 手を振れば歓声。


 ファンサ文化も広まり、

王都は以前よりずっと明るい。


 だが。


(素材だけで戦ってんの、もったいな……)


 りなは真顔だった。


「いやでも男だし」


「ん?」


「そこまで着飾る必要は――」


 りなは首を傾げる。


「男が盛ったらダメ?」


「……」


「そんなわけねーじゃん」


 レオン王子が目を瞬かせた。


「やりたいならやればいいし」


「……」


「てか推される側ならビジュ管理大事っしょ」


「びじゅ……」


「顔面の仕上がり」


 レオン王子は少し考え込み――


「……なるほど」


「理解早」


   ◇◇◇


 その瞬間。


 ――ブワッ。


「また始まった……」


 エミリアが遠い目をする。


 黄金の光。


 神々しい紋様。


『創造神スキル起動』


『“男子も盛りたい”という欲求を確認』


「欲求認識の幅広くなってきてない?」


『新規創造候補を解放』


『ヘアワックス』


『ヘアオイル』


『セット用ブラシ』


「来たぁ」


 現れたのは、

小さな瓶と整髪道具。


「……これで変わるのか?」


 レオン王子が瓶を見つめる。


「マジで変わる」


 りなはニヤリと笑った。


   ◇◇◇


「まず前髪流して〜」


「こうか?」


「いや硬っ」


「難しいな……」


 数十分後。


「……おお」


 りなが感心する。


「普通に盛れてんじゃん」


 レオン王子の髪は、

自然に整えられていた。


 以前より柔らかく、

親しみやすい印象になっている。


「……なんだこれは」


 レオン王子が鏡を見る。


「少し印象が違うな」


「っしょ?」


 さらにルーク王子もセットされる。


「待って、こっちも良」


「良?」


「盛れてるってこと」


 王子たちは、

少しだけ楽しそうに鏡を見ていた。


   ◇◇◇


 数日後。


「きゃああああ!!」


 王都が揺れた。


「待って今日の王子やばくない!?」


「髪型変わってる!!」


「ビジュ爆発してるんだけど!?」


 女子たちが崩れ落ちている。


 以前よりさらに、

“推し活”は加速していた。


「最近、男子側も髪セットし始めてるらしいぞ」


「マジかよ」


「“盛る”って男もやる時代なんだな……」


 文化が、

また少し変わっていく。


   ◇◇◇


「……お父様?」


 その日の夜。


 りなは廊下で固まった。


「……どうした」


 公爵。


 そして隣には執事長ベルモンド。


 だが。


「……え」


 二人とも。


 めちゃくちゃ髪が整っていた。


 自然なのに、

異様に仕上がっている。


「ちょ、なにそれ」


「……ベルモンドに整えてもらった」


「旦那様も私を整えられました」


「お互いセットしてんじゃん!!」


 りなが爆笑する。


 すると公爵が咳払いした。


「……その」


「ん?」


「以前、お前が」


 少しだけ視線を逸らす。


「“素材が良い”と言っていただろう」


「うん」


「……なら、活かした方がいいかと思ってな」


 りなは数秒固まり。


 そして吹き出した。


「……いやお父様たち、素材強すぎん?」

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