44.勇者の提案
「……アキラ、どうしたい?」
「まあ、一応まだ十五年しか生きていないからな。できれば……」
ほら、俺もぴっちぴちの若者だし、というアキラのいつもの台詞にカイは頭が痛くなってきた。
「……で、その予想しない事態がいっぱい起こってしまっている中で、私に何をさせたいっていうんだ」
「そこが相談なんだが」
オリジナル・アキラと魔王アキラは顔を付き合わせた。
「本来なら王国軍が悪事を働く魔王を勇者を使って倒してハッピーエンドって筋書きだったんだよな」
「そこへテロリストの集団がわらわら沸いてきて、このままだと内部でかなりの数の紛争が勃発する」
「いっそのこと、テロリスト集団を勇者、王を魔王に見立てて伝説再開させてしまったらどうだ?」
「それはダメだ」
二人のアキラは声をそろえた。
「それじゃあ、憎悪の対象が分裂する。増殖した憎悪が世界を覆ったとき、上層の世界と同じ結末が待ち受けている」
「あくまでも憎悪の対象は一つじゃないと!」
『私たち(俺たち)に全ての憎悪を!』
「やっぱりこいつら全員アキラだ。馬鹿アキラだ」
口を揃える二人のアキラにカイは不平を言いながらもその顔は笑っていた。
「やることなすこと馬鹿でぶんなぐってやりたくなる。身の程知らずで分不相応な……」
「わっ!」
「何をする!」
カイは二人のアキラに飛びついた。
世界の真理を知っている二人でも、その体力はやっぱり人並み以下だった。
「誰よりも優しい……私の魔王」
ぎゅっと抱きしめられ、二人のアキラは目を丸くした。
「守るよ。誰からも」
「でも、カイ」
「それじゃ、この世界は……」
「一つ勇者から提案があるんだけど」
戸惑う二人の優しい魔王に、勇者はにたあっと笑って見せた。
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