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064話 幹部の役目★

 清涼な空気が満ちる朝。太陽の背伸びと共に人々も意識を引き起こされる。

 寝惚け眼を擦りながら鏡の前に立つ褐色の女の子、遮光カーテンに光を遮られ少し朝寝坊をする長髪、大人数の朝食準備にてんてこ舞いとなる数名の給仕服。

 そして。



「おはよう、というのは些か言葉違いか? 寝てないのかサキノ」



【クロユリ騎士団】本拠、東の巨大バルコニーにてサキノは鍛錬に励んでいた。愛刀を握り締めながら脳内にイメージした仮想の敵を現世に顕幻(けんげん)させ、空を屠っていくその姿は白き御前。まるで本当に見えない敵がいるのではないかと錯覚するほどの攻防は思わず見惚れるものがあった。



「団長、おはようございます。ええっと……そう、ですね。……居ても経ってもいられなくて」



 団長ソアラ・フリティルスの呼び声に急制止をかけ汗を弾かせる。

 昨日、ルカの魔界行きを目送した後、行方が気懸りで仕方がなかったサキノは下界で請け負っていた個人的な依頼を性急に遂行した。それも翌日分まできっちりと。急遽の依頼実施日の繰り上げ及び美しくも鬼気迫るサキノの仕事ぶりに依頼人達が面食らっていたが、努力の甲斐あり時間の確保に成功した。


 ココを通じて夜の魔界へと訪れたサキノだったが、しかし実質無計画(ノープラン)であることは否めない。勢いだけで追いかけてきたものの、ルカを探し出したところで手を差し出すことも横に立つことも出来ないことに無力感が胸を穿ち始めた。

 魔界の空気を吸い冷静になったサキノは、一番無難な選択肢である【クロユリ騎士団】で一晩を明かすことにしたのだ。どこで過ごそうが気の持ちようとしては大差ないが、ルカとラウニーの間に動きがあった場合、情報の入手速度においては騎士団にいた方が収集能力が段違いである。


 ――とはいえ気になるものは気になる。ルカが無意識の『無茶』をする危惧であり、憂慮でもある。

 騎士団の自室で寝台に潜り込むも当然寝付ける筈もなく、暗い内からバルコニーにて瞑想や素振り、そして仮想戦闘で気を紛らわせるしか無力なサキノには出来なかった。



「気持ちは推し量るところはあるがお前は年頃の女の子だ、睡眠不足は美容に悪いぞ」

「団長も人の事言えないでしょ~」



 引き戸から人工の芝が綺麗に生え揃うバルコニーに侵入したソアラの右方。白い柵に足を絡め、上下反転した奇抜な格好の人物、レラ・アルフレインが暢気に反論を述べた。



「なんだ、レラもいたのだな。まあそう言ってくれるな、それも団長の定めというやつだ。それとも私の睡眠時間のためにレラが事務作業をしてくれるか?」

「ヤ~ダ。頭使うのはパス~」



 戦闘ならお任せを、と幹部としての事務作業(しょくむ)を放棄するレラに、サキノはくすっと微笑んだ。誰から見ても憂慮発散の為の鍛錬で憔悴しているサキノの笑みに、ソアラは淡く微笑み返し、純白の髪にクロユリ印のタオルを落とした。



「それでレラは何をしているんだ? サキノの監視か?」



 隣で「ありがとうございます」と礼を告げながら髪を拭うサキノを尻目に、未だに蝙蝠のように世界の反転を正さないレラへ問う。その真意は親友であるルカを想うばかりにサキノが飛び出していく可能性の予見から出た言葉であった。



「団長……ウチを見くびらないで欲しいな。サキちゃんの監視より大事なことを現在進行中だよ」

「ほう、果たして何を?」



 眼を細めながら自慢気に腕組みをするレラへ再度意向を尋ねる。サキノの監視以上に大切なことなどあったかとレラへ感心を抱き、サキノは小首を傾げながら結論を待っていた。

 そんな二人の沈黙を充分に味わい、レラははっきりとサキノを見据える。主にサキノの下半身を。



「サキちゃんのパンツを覗いてるんだよ」



 曇りなきキリッ! とした言葉の矢に、ボッ! と。

 色白な脚の間で若紫色の浴衣の裾を押さえ、今更ながらガードするサキノは羞恥に殴打される。



「ちょっ!? へ!? レラ!? ずっとその体勢維持してたのってそのためだったの!? や、やめてよっ!?」

「何をしているんだお前は……」




挿絵(By みてみん)


 急激に沸騰した赤面と同時に柳眉を逆立て、レラへと困惑混じりの怒声を放つ。

 慌てふためくサキノの横では、頭痛を堪えるように頭に手を押し当てるソアラの姿。幹部としての自覚を期待していたソアラは呆れを通り越し、辟易を漏らさずにはいられなかった。



「いやね、サキちゃんってオーラから存在まで何もかもいつもエッチだから下着も大胆なのかな~って」

「え、エッチじゃないし、下着も普通だから!?」

「そうかな~? サキちゃんの一コマも見逃さないレラちゃんアイによれば、なんか腰の辺りに紐みたいなの見えた気がするんだけど」

「ちょっ、ちょっとレラー!!」

「サキノ、この後二時間程個人面談だ」

「団長!? 何が行われるのか凄く怖いのですが!?」

「大丈夫だ。レラに受けた辱めを優しく上書きしてやるだけだ」

「上書き!? 全く安心出来ませんよ!?」

「させないよ団長。サキちゃんの一番はウチなんだから!」

「ふっ、そう易々とサキノの一番を盗れるなどと思わぬことだな」

「もー! なんで団長とレラが争う羽目になっているのー!?」



 余裕綽々に佇むソアラと、柵から脚を外し後転で反転を正したレラ。近接しバチバチ火花を散らす両者の間に割って入ったサキノは涙目。

 己が撒いた種(?)でありながら、諍いが別の所で巻き起こる理解不能な事態にサキノは混乱していた。


 そんな修羅場にバンッッ、と大きな音を立てて引き戸が開けられる音がバルコニーに響き渡り、三者の眼が音の方へと向く。

 扉の向こうには両手に一通の封書を抱えた、頭部に二本の黒い湾角が光る小さき少女が。早朝にも関わらず酷く慌てた様子のアルア・リービスの姿に、ソアラは諧謔の空気を吹き飛ばし眉根を寄せた。



「おっ、お取込み中ごめんなさい! だ、団長、大変です! 近頃追っていた暗殺犯がっ……!」




± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ±




 人間とは己の常識内でしか物事の正当性を判断出来ない生物だ。ではその常識とは如何にして養われていくものなのか。

 答えは単純、成長の過程で見聞する環境と教育によるものだ。幼少期から成長期へ、成長期から成熟期へ命を育んでいく上で自然と成り立っていくものである。つまり歳を重ねれば重ねるほど常識は固まり、心身ともに成熟した大人達からしてみれば事態の正常異常を判断する目が肥えていると言っても過言ではないのかもしれない。


 そんな大人達が一様に眼を丸くし、夜間の内に突如現れた見慣れない奇怪な物体を見上げていた。

 横柄な野次馬はひとえに好奇心、物騒な憶測を口にする者は一にも二にも身の危険の恐怖。

 多くの人々が噂を聞きつけ、手で庇を作って眺める先。



「なに、あれ……? キモ……」



 建物間に張り巡らされた無数の糸、そしてその高所中央に鎮座する巨大な『繭』の存在に、現場へ駆けつけたレラの口から驚愕と罵倒が口から滑り落ちた。

 団長を探しバルコニーへ駆け込んできたアルアの焦燥は騎士団に投函されていた封書の内容。差出人の名前もなければ宛名も書かれていない不審物にアルアはおずおずと中身を拝見した。一通り眼を通すと真偽の程を確認するためアルアは快速を飛ばし現場へ急行した。結果、手紙の内容が真実であると判断し団長へ報告、そして今に至る。



「『リフリア北北東十番街にて暗殺犯カロン・アテッドを捕らえた。後は好きにしろ』か……本当にあの繭に暗殺犯が捕らえられていると言うのか? まるで何かの孵化準備のようにしか見えないが……」

(あの繭は見たことがないけど薄らと残った魔力……これはみーちゃんだ)



 アルアから受け取った手紙の内容を読み上げながら考え得る危機的展開――蚕蛾科の魔物等の孵化をソアラは推考する。

 誰もが難しい顔をしながら得体の知れない物体に難色を示す傍ら、サキノは魔力の残り香と糸に既視感を覚えていた。それらは確信に近いものではあったが、ミュウが魔界にいて、尚且つ暗殺犯を捕らえ、何故【クロユリ騎士団】に通報したのかが判然としない。



「サキノさんどうしましたか……? 気分でも悪くなりましたか……?」



 口元に手を宛がい様々な憶測を巡らせていたサキノだったが、傍から見れば『女子』が見るには少々抵抗のある風景に、紺色のショートヘアを抑えながらアルアが体調の悪化を尋ねた。



「あ、いえ、そういうわけでは」

「ごっ、ごめんなさいっ! 私なんかが余計なことを!」



 幹部の役職に就いていながらも頭をへこへこと下げ、ビクビクと謝罪する臆病な少女をいじらしく感じたサキノは、天使のような笑顔で礼と壮健の旨を伝える。後光すら感じるような慈愛に満ちた笑顔に「ま、眩しいっ」とアルアが呟いていたが。



「それにしても暗殺犯の逮捕って『魔物達の夜祭(モンスターナイト)』と同時に受けていた依頼ですよね?」

「あぁ。アルアの指揮の基、任務に当たったのが『暗殺騒動の鎮圧』だ。これを誰がやったのかは判然としないが、どうやら我々が暗殺犯を追っていたことを知っている者の仕業のようだな」



 サキノが知り得る記憶の断片をソアラは肯定した。

 都市から直々に【クロユリ騎士団】へ要請のあった依頼は二つ。その一つが『魔物達の夜祭(モンスターナイト)』だったわけだが、別動隊として同時に請け負っていたもう一つの任務が、都市の不活気の原因である『暗殺騒動の鎮圧』だ。

 都市としては流通の便が滞ることも問題ではあったが、やはり経済を効率よく回すには夜の店々の営業にも重きを置くべきだと判断したのだろう。


 そのため暗殺犯の正体、人数、組織等、一切情報のない中、対抗出来るだけの戦力を持つ【クロユリ騎士団】に白羽の矢が立ったと言うわけだ。「厄介な任務ばかりクロユリに押し付けてくるのはどうにかならんのか……」とソアラは呻吟を漏らしていたのだが。


 そんな中、暗殺犯の有力候補として挙がっていたのがマシュロ・エメラである。自派閥の団長を殺害し逃亡、彼女が小熊猫(レスパンディア)だという情報も出回っていたことから任務を請けた【クロユリ騎士団】はマシュロを第一容疑者として捜索を開始した。

 しかし固定概念が彼女達の思考を束縛していたことに気が付いたのは『魔物達の夜祭(モンスターナイト)』が収拾した頃だった。


 それもこれもマシュロが都市外で禁足地へと向かうところをソアラが目撃していたのだ。不幸か幸運か、その同日の夜【クロユリ騎士団】の眼を盗み、都市でまた一人犠牲者が出ていたことを後日アルアから聞いたソアラはマシュロを捜索対象外から除外。かき集めた情報で正誤を再斟酌し、最有力候補を絞り込み、何とかカロン・アテッド一人の犯行だということに辿り着いた。


 とはいえ【夜光騎士団】に直接突入など出来る訳もなく、言い逃れの出来ない犯行現場での捕縛が必要となる。各団員達が毎夜交代で動向を見張るものの、流石は『夜昇』を持つ小熊猫(レスパンディア)、振り切る能力は並ではなかった。


 そんな攻防を繰り返すこと前夜。何やら騒がしくなった【夜光騎士団】本拠から飛び出してきたカロン・アテッドはあろうことか都市外へと飛び出していった。流石に都市外まで追うわけにもいかず任務の中断を余儀なくされた矢先のこの逮捕劇である。

 中枢として任務に当たっていたアルアは動転し、何が何やらと言った様子で頭を抱えていた。



「とかく民を安心させることが最優先か。レラ、あの糸を知らベてきてくれるか」

「えっ!? ウチ!? 無理無理無理、あんなキモイの触れないって!?」

「ナイフを持ってるのはお前しかいないんだ。頼むよ」

「サキちゃん一番長い得物持ってるジャン!? サキちゃんに頼むのが正解ジャン!?」

「私は構いませんが……」

「ほら! サキちゃんもこう言ってるし!」

「サキノは女の子だからな。しかも寝不足だ」

「全然抗弁になってないんだけど!? ウチも女の子なんだけど!?」

「では代わりにレラがこの状況を住民達に説明してきてくれるか? 大まかな指示は出すが、勿論追求があったら答えねばならん。このような役目は私とサキノが適任だと思うが」

「うっ! それは苦手分野だ……う~~~言い包められた感は否めないけどわかったよぅ……じゃあアルちんも道連れね! 行くよ~」

「はぇえっ!? 私ですか!? あっ、ひ、引っ張らないでください~……」



 急遽騎士団本拠から飛び出してきた【クロユリ騎士団】達の中ではサキノ以外に得物――特に斬り付けられる得物――など持ち合わせもなく、腰に携えた護衛用のナイフを目にしたソアラが指示を出す。ぶー垂れるレラだったが、やはり団長の権力には逆らえずアルアを道連れにして糸の荒野へ歩いて行った。



「さてサキノ、周囲に居合わせる者達に『暗殺犯の捕縛の報があったこと』から『魔物等の孵化による暴動の危険は薄いこと』の旨を説明してきてくれ。恐らくある程度説明すれば後は独りでに広まっていくだろう。そして最後に除去作業を行うため、この場は【クロユリ騎士団】が請け持つともな」

「わかりました」



 サキノの返事を皮切りに二人は各方位に散らばる観客達へと説明に走った。

 簡易的かつ的確な説明に更なる説明を希望する者、大事件を期待していた者の失望顔が微かに存在はしていたが、やはり暗殺犯の確保から安堵の表情を浮かべる者が多い。それほどまでにこの暗殺騒動は魔界リフリアにとって深刻な問題だったのだとサキノは感じた。下界にはない危険が隣り合わせな魔界の一部始終をひしひしと。


 事情を聞いた者、そして新たに押し寄せてくる野次馬によって人の波は移り変わる。しかしサキノとソアラ両者の迅速な対応もあって、噂はねずみ講式に伝播し、未確認物体が何であるかは周知され始めていた。【クロユリ騎士団】が請け持つということも先んじて言い伝えてあったことで無闇に近付こうとする者もいない。

 機先を制する団長の手腕に敬意を払いながら、サキノは終息し始めた事件騒ぎを後方に繭の方へと足を向けた。



「かったぁ~い……団長、この糸滅茶苦茶硬いんだけど! 現代の糸ってここまで進歩してたの?」

「現代の糸って何でしょうか……」



 サキノが彼女等の基に到着した時には周囲への事情説明を終えたソアラも既にいた。レラから報告を受けているところを見ると今しがた切り上げてきたようだったが、レラの泣き言を耳にしたサキノは「やっぱり」と心の中で呟く。

 ミュウの糸は原型を保っている時には硬度が高い。身をもって実感しているサキノはこれは除去も苦労しそうだと予感した。



「んもぉ~~~! 面倒臭いなぁ、叩き斬ってやる!」



 アルアが調査の結果をソアラへと通告する間、レラは何度も切断を試みるが失敗に終わり、とうとう癇癪を起こし大きく振り被る。力強く風を斬る音が鳴り響き、同時に鋼鉄のような硬度を持つ糸は遂にレラの手によって断斬された。ところが。



「やっと斬れた……ぎぃやあああああああ!! くっついてくるんだけど!? マジでキモイから嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



 建物間を走っていた糸がぷつんと斬れた途端、サキノの予想違わず糸は粘着質へと変貌を遂げてナイフに付着した。刃毀れを起こしたナイフを放り投げ、レラはアルアの後ろに身を潜める。

 ぶらんぶらんと宙で拘束上の自由を堪能するナイフを手に取ったソアラは、ふむと懊悩を口にした。



「鋼鉄に勝る強度が一瞬にして粘着性を持つ、か……やれやれ、普通に捕縛するより除去に手間がかかりそうだな。アルア、騎士団に戻って事情を説明し、手が空いた者から増援に来るよう伝えてきてくれ」

「わ、わかりましたっ!」



 小さい姿が駆けていき、盾を無くしたレラは神速の動きでサキノの後方へと避難した。が、そのサキノまでもが前面へと歩みを進めていく姿に、レラの翡翠色のサイドポニーはクエスチョンマークを象る。



「サキちゃん?」

「団長、私に任せて貰えませんか」



 この現状を作り出したのはミュウ・クリスタリアであるのは間違いない。しかし伝えるべきかどうかを迷っていたサキノはせめてもの力として除去の主任を買って出た。

 サキノの【クロユリ騎士団】としての地位は低い。発言力もなければ決定権もないサキノが毅然として進み出た姿にソアラは小さく笑った。



「やれるのか」

「はい」


 

 サキノの決意に何か感じるものがあったのだろう。短いやり取りを交わしてソアラは首肯し、後方へと退歩していく。

 次は団長の陰へ移動して心配そうに見守るレラを他所に、サキノは腰に携えた白刀の柄に手を添える。右手を斜め上に引き上げていくと刀身が鞘を抜ける音が爽やかに滑り、白刀が全貌を現した。



「行きます」



 決意と言葉を胸にサキノは全身に白光を宿す。エルフの力を解放し、眼前に三本固まる糸を纏めて斬り払うと糸はハラリ、と力を失い地面へと頽れる。

 一度目の交戦と同じく、接着もしない刀剣でサキノは広範囲の糸の領域を次々と開拓を始めていった。



「ほえ~、サキちゃん凄いね~。恐れなしというか格好いいよね」

「お前は必要以上にビビり過ぎだ。手紙からもわかるようにあれは人為的に作られたものだろう、何を怖がることがある」

「いや~虫の仕業じゃないっていうのはわかってても見た目が無理ぃ~。硬いだけならまだしも、くっついてくるとかもう焼き払いたいくらい」

「理解出来んこともないが、今回は繭の中に参考人がいるらしい。時間はかかるだろうが自力でやっていくしかないぞ」

「はいは~い、りょうか~い……ウチも得物と回復薬(ポーション)等々取りに行ってくるよ~」



 愚痴のように溢すレラは頭を掻き、辟易しながら騎士団本拠の方へと戻っていく。渋々ながらにも、指示を出さずとも己がやるべきことを理解している幹部のレラに、ソアラは小さく鼻を鳴らした。

【クロユリ騎士団】の朝は事件と共に幕が上がっていく。




 一方、暗殺犯の捕縛の噂が津波もかくやという速度で広がっていく中、露ほども出来事を知らない一人の少年は都市を駆け回っていたのだった。


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