043話 ポンコツパンダ
サクッサクッ。
地をつつく軽妙な音が小さな範囲に鳴っては消えていく。
水下市場隔壁前。恐怖にも硝子の耐性が付き始めた――諦念が大半を占めるが――シロは蹲りながら、傘の先端で土を小突きながらコラリエッタの帰りを待っていた。
コラリエッタと別れ一刻が経過。待機指令のみで特にすることもなく無聊を凌ぐ少女は、生活を共にする少年少女達の似顔絵を土砂の上に描き走らせる。
普段滅多に見せない笑顔を己に向けてくれる砂絵は中々どうして達者で、幸福に満ちている表情だった。おめかししながら薬品を扱う二人の姿は、空想のものでありながらシロに微笑みを伝播させる。
理想の押し付けだろうか。そんなことを思いながらシロは華々しい薬舗を二人の背後に付け加えて、傘の動きを止めた。
二人の共通の夢。自身達の薬舗を持つこと。
頭を悩ませ、試行錯誤し、失敗し、過去の資料と睨み合い、時には喧嘩し、新薬を完成させる二人の姿は生き生きと輝いている。汗も、埃も、汚れも全てが彼等を引き立てるように。
夢が現実となるのも秒読みだと言っても大仰ではないほどに能力を持つ彼等の微笑ましい未来を、シロは応援したいと。
その桎梏となっているのは己なのだと責任を感じ、シロは笑顔をすっと消した。
「ゼノンとクゥラ大丈夫かな……」
五十歩百歩であるかもしれないが、僅かながらに戦闘の心得がある自身がいない時機での追手への心配が桜色の小さな口端から漏れる。在宅時の夜襲であれば自己を犠牲にしてでも子供達の逃走の時間を稼ぐことは出来るが、不在時を狙われたのでは何があっても対応出来ない。
都市から追われているのはシロであることは紛れもない事実なのだが、共犯だと勘繰られることは遺憾極まりない。
少女にとって彼等は孤独にさせまいと寄り添ってくれる恩人達なのだから。
そしてもう一つの心配事は、まるで親のようだなと苦笑してしまうほどに些細なもの。
自身との生活によって夜型になりつつある子供達の夜更かしの心配であった。過去にシロが依頼を終えて朝方に帰宅した時、製薬に夢中になり過ぎて二人でふらふらになりながらも夜通し製薬に励んでいた前科がある。目の下にクマを作り、意識朦朧としていながらも薬と向き合う二人を見て、本当に製薬が好きなのだと感心した記憶を持つ。
鬼の居ぬ間に――親の居ぬ間に好き放題が出来るのは子供の特権であり、探究心の産物だろう。
きっと――いや、理想の押し付けなどではなく、確信を持って子供達が高名な薬師になる未来をシロは見た。
「期待してるわ。ゼノン、クゥラ」
と、そこまで言ったシロは己が口走った単語に、思い出したくない記憶を喚起されてしまった。
『ただでさえ人族のルカ兄ちゃんに何を期待してんのか知らねぇが――』
『ルカ兄ちゃんが俺達の秘密を知って変わる可能性だってあるんだぞ』
『全てを敵に回した俺達に味方なんて……いない』
【期待】。
それは逃亡中のシロ及びゼノン、クゥラが一番持ってはいけない感情である。
未来への【期待】、環境変化の【期待】、他者への【期待】。
宝くじを買わないことには当たらないように、大人にならなければ労力として見られないように、人と関わりを持たなければ親密になれないように。
普通の生活を失い人道から外れた彼女達は【期待】を路線に乗せる力を持ち合わせていないのだから。
だから少女は常に最悪を想定しなければならない。
常に最悪が付きまとう現状に身を置いていることを認識しなけばならなかった。
故にこの場合は。
――もしルカさんが誰かに住処のことを話していたとしたら。
全てが終わる。
自身も、子供達も、今も、未来も、全てが。
細心の警戒を払い続けてきた結果も、自身の淡い【期待】が全ての元凶で、何もかもを失ってしまうとシロはようやく気が付いた。
ゼノンがルカを突き放したことも、シロに諫言したことも最善手であり正解であるのだ。
しかしシロは頭を振る。
「違う……ルカさんは……」
認めない。認めようとしない。
根拠はわからない。自分でも驚いてしまうほどに心が信じたがっている。
考え出すとキリのない思考の闇に食まれ、シロは邪まな念を追い払うように傘を地に突き刺した。
サクッサクッサクッ、ザクッ。
ピクッと白みがかった空色の獣耳が音の変化を聴き分け、敏感に反応を示す。
既に傘の刺突は停止している。
音を発するものは何もない筈だった。
が。
ザクッ、ザクッ、ビチャッ、ザクッ。
止まらない。音は留まることを知らない。
縞模様の尾が震え出し、歯がカチカチと嫌な音を奏でる。
悪寒、戦慄、委縮、恐怖、動揺、凍気。
見たくない。音の鳴る方を見たくない。
現実から逃避出来るならばどれほど楽だっただろうか。
鼓膜が破裂するのではないかと言うほどに高鳴る心臓の音と、荒らぐ呼吸を野放しにして外套の奥から金色の瞳を闇の先へと向けた。
「ひっ!」
悲愴な声が先走ったシロの金眼が捉えたのは金棒を右手に持つ剛鬼『オーガ』の大群だった。真っ暗闇の林間から次々と現れる二メートルの巨兵は廃村を目標にしている。
顔を真っ青にして立ち上がり、きょろきょろと周囲を見渡すも当然誰の姿もない。
過呼吸気味になるシロは逃げ出そうと、一歩足を後退させるが。
「わ、私がやらないと……」
揺れる闘争心に決意を秘め踏みとどまる。
少女の後退を食い止めたのは、廃村の何処かにいるであろうコラリエッタの身の危険だ。何をしているのか、村のどこにいるのかは判然としないものの、通過させてしまえば凄愴な蹂躙劇が待っていることだろう。
――怖い怖い怖い怖い怖い。
けれど。
――独りぼっちになる方がもっと怖い!
依頼を放擲しコラリエッタを見捨てた末の子供達の蔑視。先で口を開けるのは永遠の凍土。
それだけは。それだけは少女にとって何よりも苦痛であった。
恐怖に竦む脚を叱咤し、シロは隔壁前から駆け出した。
いくつもの水溜まりに姿を映し、縄張りを死守しようとする獣はオーガとの距離を詰めていく。
外套がバシバシと風に煽られ、太く長い白空の尾が見え隠れを繰り返す。
震えは――止まっていた。
「行きます!」
誰に言うでもなく気炎を吐いた少女は立ち止まり、閉じた傘を前に翳す。半身の体勢、魔物の軍勢に向く傘の先端に、まるで粒子が吸い込まれるように光が集結していく。
二十メートルほど開けた彼我の距離でありながら少女の攻撃態勢を察知したオーガ達は、左右へ別れるように移動を開始した。しかし時既に遅く。
「ふッッ!!」
息を強く吐くと同時、万雷を轟かせ青色の電磁砲が直線上のオーガを何体も焼き尽くした。
『オォォォォォォォォォォ!?』
一瞬にして焦げた肉塊となった犠牲者達の汚い協奏曲が、黒い煙となって打ち上がる。
シロは戦場に落とされた微かな動揺を見逃さず、次々とオーガに向けて電磁砲を放っていく。
仕込傘『アストラス』。
日傘として使うもよし、本来の用途雨除けとして使うもよし。魔力を装填すれば特殊電磁銃にもなる少女の唯一の武器だ。
フリルの付いた黒色の傘は、引鉄を引くことなく本人の任意のタイミングで砲撃出来る優れ物。世界を練り歩いても同等のものを作れる鍛冶師はいないほどの超一級品である。
ようやくオーガがシロの元へと辿り着いた頃には、既に三割程の同胞が息を引き取っており、後方では多くの屍が転がっていた。
同士の敵討ちとばかりに繰り出される横薙ぎの金棒を小さな体躯は前傾で躱し前へ。低姿勢からの勢いある走駆によって作られた距離に、少女は振り向きざま電磁砲をお見舞いした。
一砲一退。
少女が得意とする――少女にとって唯一の戦術。
ルカ達と比べれば恵まれない矮小な体形は攻撃を受け止めることを前提としていない。力と力の衝突になれば否応なく敗北を喫することは言わずもがなである。
臆病な性格も相まって、安全にかつ速射的に繰り出せる武器と戦術が型に嵌ったのだ。
次々と上方から結ばれる金棒を小さい身なりで掻い潜っては焼き貫いていく。
戦闘に苦手意識のある彼女は順調すぎるほどに敵勢を削いでいき、気を抜くことはないが凱旋の小さな光明を期待した。
「いける……! いけますっ!」
確実に減少していく魔物に綻ぶ口元。絶望から己の力のみで這い上がった少女は動きに精彩を重ねていく。
しかし――。
「っ!?」
失念していた。
地は泥濘によって不安定であることを。
鬼達の攻撃によって地の平坦は崩れ、起伏が激しくなっていることを。
『足場の確保』を見誤ったシロは、大きく体勢を崩してしまった。
「あっ……」
己に向かって始動される金棒。
少女は全身に力を込め――眼前が真っ暗になった。
外套が舞い、鮮血が飛び散る。
『オォ!?』
微かな手応えにオーガは違和感。少女を強打した筈の未来に不明瞭。
オーガの金棒は外套を棘に串刺しにして擦過に終わっていた。
「がっ! ぅぐっ……!」
外套のを目眩ましにしたマシュロの機転。しかし直撃は断じたものの、掠めた左腕からは裂傷が産声を上げ始める。
更に状況は最悪。軽傷とはいえ大薙ぎの接触によってシロは地を転がされていた。
突如足元へ飛び込んできた獲物に、好機到来と別の剛腕が上段に構えられる。
「だ、駄目っっ!!」
死中求活で放たれた電磁砲は幸か不幸か、オーガに命中はしなかったが金棒を撃ち砕き夜空へと逃避行していった。
武器を壊乱させられたオーガは脚を振り上げ踏み潰そうと画策するが、シロは辛くも這う這うの体でその場を脱する。
(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い……!!)
背後で地なる踏鳴の音に、外套を失い露わとなった耳を伏せ、泥塗れの顔を拭う。
万死一生を得たシロは何とか持ち直すも、瞳からは滲む涙滴。一度は霧散させた恐怖が倍増して去来し、勝機への希望は粉々に打ち砕かれていた。
震える手足、霞む視界、膨れる絶望感。冷静さを失った少女は照準すらも不首尾で、電磁砲が連発して空を切る。
先程までの気勢が幻だったかのように命を刈り取る金属棒が薄皮一枚を撫でていき、一刻一刻と死への秒針が進んでいく。
「はっ、はぁっ、はっっ……!?」
余裕のない動きは体力を根こそぎ奪っていく。首を絞められているかのように酸素が取り込めない。
――あとどれだけ凌げばいい?
――あとどれだけ倒せばいい?
――あとどれだけ苦しめばいい?
痛い、苦しい、辛い。もう――いいかな?
お前もこっちに来いと、都市外で命を落とした人達の幻聴が聞こえた気がした。
諦めれば今すぐにでも楽になれるぞと、死者の囁きに誘われた気がした。
――なんで私はここまで頑張ってるんだっけ?
ふらつきながらも、空色の髪に泥を被ろうとも、攻撃を回避して一条の生にしがみ付いていた少女は、
――弱い自分が何をしたって変わらないのに。
遂に膝を地に落とした。
双眸から光が薄れていく。茫然自失と化していくそんな少女の眼の光が最後に見たもの。
「……コラ、リエッタさん……」
廃村の唯一の入口へ向かう一体のオーガ。
記憶が蘇る。忘却していた戦いの理由が回帰する。
「だ……駄目ぇぇぇぇぇ!!」
戦意に火が灯る。
一滴の涙を宙に舞わせ、構えた電磁銃を放射した。
希少種の少女は異端児だ。
己の為なら諦められる少女は、他者の為には諦められない。
目的を思い出した少女の双眸には再び光が宿り、廃村へ侵入しようとするオーガを貫いた。
しかし安息の時間も転瞬。
死への直通便が背後から風を切り裂きながら忍び寄る。気配を三角耳で即座に感じ取ったシロだったが、何もかもが遅過ぎた。
身動きの取れない膝立ちに、直撃は免れないと全身の毛が逆立つ。
せめてもの抵抗として『アストラス』を両手に握り締め無理矢理反転、金棒の軌道へと滑り込ませた。
『オオオオオオオオオオオオオオッ!!』
「ぁあッッ!?」
咄嗟の機転により傘を介入させたものの、渾身の衝撃がシロを殴打した。
矮小な身体はいとも簡単に吹き飛ばされ、手から武器が零れ落ちる。
ドォン! と烈々な衝突音を発して身体は隔壁に激突し、少女は重力に逆らうことなく落下した。
「あ……っ!? か、かはっ……げほっ! はっ、はっ……」
明滅する視界、敵中に取り残された唯一の武器は無情にも踏み付けられ、魔物達の進行によって姿を隠してしまった。表情を微動だにさせない鬼達は、まるで執行人のように迷いなくシロの元へと詰め寄る。
身体に大打撃を負ったシロはどうにか立ち上がろうと腕に力を込め。
眼前にある地に描かれた子供達の似顔絵を金色の双眸に映した。
とめどなく湧き出る悔恨、後悔してもしきれない抱いてしまった諦念、結末を変えることの出来ない無力感に、一つ、また一つと心に雪が降る。
(依頼も全う出来ない……守りたいものも守れない……私はどうしようもないポンコツなんです……)
空は快晴、心は大荒れ。
シロの双眸からポロポロと水滴が落ち、子供達の顔を濡らしていく。
諦めたくない。けれど武器はなく、疼痛に力は呑まれ、もはや抗う術が残されていない。
「ふっ、ぅっ……ゼノンん……クゥラぁ……」
しゃくり上げながら咽び泣く少女に降り注いでいた月光が、時は満ちたと遮断される。巨大な影が四つん這いの少女を覆い、終焉が振りかぶられた。
より流涙を濃くする少女は――しかし目は閉じなかった。
脆弱でありながら。臆病でありながら。不遇な運命にこれでもかと振り回されながらも、この世界に――。
「ふッッッ!!」
――最後まで【期待】していたかったから。
審判の鉄槌は、加速度を十全に相乗させた翠眼の黒き殴撃によって弾かれる。精度高く、横から突発的な衝撃を受けた金棒は遠心力によって右隣のオーガの顔面を強襲する。
『ォオオオーーッ!?』
紛いのない決定機に蹂躙の確信を疑わなかったオーガは飛来した激痛に怯み、金棒を振り回されたオーガもその正体を目する。自身達より小さく、しかし全てを見透かしているかのような翠眼に、揃いも揃って望まぬ悪寒を博した鬼達は一斉に発起した。
『オオオオオオオオオオオオオオオオッ!?』
「遅い!」
瞬間的に移り変わる紫紺眼、右手を振り抜いた拳撃の体勢から居合の要領で半弧一刃。
無手により推進力を増長された右手に、突如創造を喫した刃渡り三メートルの大剣。超重量物を振り回す筋力を一瞬に凝縮し、一撃で都合四体のオーガを葬送した。
何体もの仲間を瞬息にて失った後続のオーガ達は動きを停止、風雲の如く現れた少年と暗闘する。
「待たせたな。大丈夫だったか?」
たった一度の巡り合わせだったが、唯一心が【信頼】したがっていた人物。返り血を浴びながらも黒髪を夜風に靡かせる騎士然とした少年ルカ・ローハートの姿にどれだけ安堵したことか。完全に決壊した涙腺は阻むものなどなにも無く、まるで大洪水のように際限なく頬を浸した。
「る……るがざぁぁぁぁぁんんん!! わ、わだぐじ、ごわがっだあぁぁぁあ!!」
ドンッ、と背中に張り付く物体。大瀑布のように放流する涙は、ルカの背中を一瞬で水浸し――涙浸しにする。
「……怖かったよな。一人でよく耐えた」
未だ危機には変わりない魔物地帯で、状況を弁えず背にしがみ付く少女を優しい眼で迎え、とにもかくにも慰籍を肩越しに呟く。背に降りかかる大雨を仕方なしに受け止める一見して微笑ましい光景に、空気が穏やかになる――こともなく、正気を取り戻した鬼達は金棒を振り上げながら行進を再開した。
「るがざぁぁぁぁぁん!!」
「とりあえず一旦降り……ぅぐっ!?」
戦闘の障害になるため離れることを催促するルカだったが、敵方はそんな悠長なやりとりなどお構いなしだ。
長剣を創造し最近のオーガに叩き込む寸前、後方から回されている両手に首を絞めれ苦鳴を漏らすルカ。斬首のつもりで始動した長剣は後方への引力によって、オーガの眼前を虚しく空振る。
ナニシテンダコイツ、といった鬼の眼に見下されながら攻勢を譲ることとなったルカは、鉄槌を辛くも身を捻り躱す。
周囲を取り囲まれ、連続して打ち下ろされ、一転して防戦へと回ってしまった原因を少女は気付いていない。
「お、おい、魔物がまだ周りに沢山いるんだ。じゃれ合ってる場合じゃ……」
「びええええええええええええええええん!!」
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
「おい離れ……」
「うええええええええええええええええん!!」
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
「聞けよっ!? 周りはうるさいなっ!」
緊張の糸が断線しきってしまった少女は周囲の状況が見えていない。取り付く島もなく一人責任と恐怖に立ち向かっていた少女は危機が去っていないことを見ようとしない。
戦士としてあるまじき行為に、ココが発した「疎い」という意味が分かった気がした。
少女は『間が抜けている』のだ。
子供達曰く『ポンコツ』。その少女の挙動は、ルカも短い期間でありながら身を持って感じていた。
故にルカは説得を諦めた。
「……くそっ」
「ぴぃっ!?」
「しっかり掴まってろ、よっ!」
背にしがみ付く少女をぐるんっと前部へと回し横抱き――いわゆるお姫様抱っこ――をして長剣を消失。安定度を増した少女は急接近したルカの顔、そして自分の立ち位置に場違いなまでに頬を赤らめる。両手の自由を自ら放棄した少年は翠眼へと移行、素早い動きと足技で巨体の間を縫い仕留めていく。
動きを制限されているとはいえ、強化されたルカの俊敏な攻撃と回避をオーガ達は捉えることができない。次々と首の骨を蹴り折られては地に沈み、隔壁へと蹴り飛ばされる風景は、この場にいる魔物達には少年が自らのお株を奪うが如く悪鬼に見えていた。
自身の危機に駆け付けてくれた王子様に補正をかけ、顔を両手で覆い照れている一人の少女を除いて。
こうしてルカの奮闘は一体、また一体と魔物の数を確実に減らしていき、場を制圧に導いていった。




