第98話 修一の話にゃ
俺達はアーク王との謁見を終え、ダリス国と同盟を結ぶという目的の一つは達成した。
「来人、さっきの人は知り合いみたいね。」
謁見室から出ると同時にアリアが来人に尋ねてきた。
「来人と俺は向こうの世界で友達だったんだ。俺の名は修一だ。ここでは赤と青の流星と呼ばれている。」
振り返ると赤と青の派手なボディースーツを身に付けた修一が立っていた。
「修一、出てきて良いのかにゃ?」
「良いんだよ。元々、来人に会うためにアーク王に頼んだんだから。」
「そうだっにょか。」
「取り合えず、部屋に案内するよ。来人達のことは俺が任されているんだ。」
俺達が案内されたのはちょっとした高級ホテルのスイートルームの様な贅沢な部屋だった。
部屋に入ると広いリビングルームになっており、ベッドルームか3つもある。しかもベッドルームごとにバスとトイレ付きだ。
「凄い部屋だにゃ。」
「王様の住むお城だからね。」
「いや、ローマシアもミシワールも機能性重視でここまで豪華じゃなかったにゃ。」
「そうなんだ、俺は他の城のことは知らないからな。」
「そんなことより、修一は、今までどうしていたんだにゃ?」
「俺か?それじゃあ、俺物語を聞かせてやろう。コミケの会場で竜巻に巻き上げられた俺は、ダリスの北部にあるマール村の近くに落下した。落ちた所がマール村を襲撃しようと集まっていた魔物の群れの中だった。赤と青の派手な衣装の俺に魔物は一斉に襲いかかってきた。危うし、修一!襲いかかる巨体の魔物に必死に突きだした俺の拳が当たった。次の瞬間、魔物は風船を殴ったかのように吹き飛んだ。ポーン!て感じに。何か分からないけど俺のスーパーパワーを手に入れていた訳。そんでもって魔物をちぎっては投げちぎっては投げ、一方的にやっつけていた所に村からの救援要請でダリス国の龍騎士団がやって来てスカウトされてここにいるって訳さ。」
「凄く簡単だけど良く分かったにゃ。それで理沙のことは知らないにゃ?」
「理沙ちゃんもこっちに来ているのか?」
「いや、分からないにゃ。」
「悪い、分かんないな。」
「そうか。でも、修一には悪いけど知り合いに会えてうれしいにゃ!」
「俺もだよ、来人。」