第90話 カザン王の依頼にゃ
ミシワール城の大広間は大宴会の会場となっていた。
戦後処理も終わり一息着いたところにやって来た来人逹は宴会を開く良い口実であった。
「来人、楽しんでいるか?」
来人に話し掛けてきたのはカザン王だった。
「楽しんでいるにゃ。」
「そうか、それは、良かった。」
「何か問題かにゃ?」
「実はあれから黒龍王アスラについて色々調べてたのだが全く分からない。金龍ナーガに聞くしかないのかもしれない。」
「じゃあ、聞けばいいにゃ。」
「そうか、来人もそう思うか。実は頼みがあるのだが。」
「にゃんか、嫌な予感がするのにゃ。」
「まあ、そう言うな。単刀直入に言う。金龍ナーガに会いに行ってくれ。」
「やっぱり、そうなるかにゃ。ローズのおっさんとかいるんじゃにゃいか。」
「先の戦争で兵力が落ちていてな。ローズを行かしても良いが代わりに残ってくれるか?」
「ずるいにゃあ。行き先、真逆なのにゃ。」
「報酬は弾む。それに金龍ナーガに会うことなどめったにないぞ。私でもあったことがないんだ。」
「まあ、いいにゃ。マジリアで元の世界に帰れると決まっている訳でも無いし伝説の金龍に会ってもいいにゃ。」
「それでは、頼んだぞ。金龍の住む山はダリス国の北東にある。」
「ダリス国かモーリスとのつながりは無いのかにゃ?」
「それは無いようだが気を付けて行けよ。山は龍の巣になっているらしいからな。」
こうして俺達はカザン王に依頼されて金龍ナーガに会いに行くことになった。
来人は自分が徐々にこの世界に馴染んで来ていることを感じていた。
元の世界に戻っても退屈な毎日が繰り返されるだけである。
ただ気掛かりと言えば幼なじみの理沙のことであった。
来人は理沙がこの世界に来ていることをことを知らない。
「来人、どうしたの、神妙な顔をして?」
「アリア、金龍ナーガに会いに行くことになったにゃ。」
「えっ、何ですって!」
「カザン王から頼まれたて、黒龍王アスラについて聞きに行くにゃ。」