第91話 ダリス国に向かうにゃ1
翌朝、俺達は馬車を使ってダリス国に向けて出発した。
馬車はミシワール国からダリス国へ向かう街道を進んでいたが街道は荒れていた。
馬車の中ではエリスが来人に向かって文句を言っているところだった。
「本当に来人は人が良いんだから!」
「ミシワールもまだまだ大変そうだったからにゃ。」
「それと私達と何の関係があるのよ?」
「まあ、エリス。そのお人好しな所が来人の良い所じゃない!」
アリアが微妙な援護をしてくれた。
「でも、龍の巣に策もなく入って行ったらあっという間にやられちゃうわよ。もちろん何か策があるんでしょうね。」
「策なんて無いにゃ!ダリス国に着いてから考えるにゃ。」
「ちょっと来人!それは無いでしょ。」
アリアも流石にあきれてしまった。
「御主人様なら策等無くとも龍どもを蹴散らしてくれますとも。」
ブリットが無責任に言ってもくれる。
「ブリットは無責任に適当なこと言わない!喧嘩売ってどうすんのよ!」
エリスが突っ込みを入れる。
まあ、いつも適当な俺の影響かブリットもかなり適当である。
「戦争のせいでローマシアともミシワールとも国交が途絶えていたんだにゃ。今のダリス国の状況は良く分からにゃいんだから色々考えても何にもならないにゃ。」
「御主人様の言われるとおりです。」
「ところでアリア、戦争前のダリス国の状況はどうだったにゃ?」
「ダリス国は、元々、他国とのこと国交が少ない国でね。ローマシアともミシワールとも付き合いが少なかったの。他国を侵略するために軍備を増強しているとの噂もあって開戦と同時に国交断絶になっちゃったの。まあ、実の所、モーリスの情報操作だったらしいんだけど、いまだに正式に国交は回復してないのね。」
「その情報操作はドーラ達の仕業ってことなのかにゃ?」
「正解。ダリス国は金龍のお膝元だけあって、外敵への防護が固いらしいの。ドーラ逹もミシワールとダリスと二か国同時に相手にするのは厳しいから情報操作して各国の対立を狙ったらしいわよ。まぁ、兄貴の受け売りなんだけどね。」
「へえ、そうにゃのか。」
「それで今回はミシワール国の特使としてカザン王の書状も預かっているから関所破りはしなくていいってわけ。」
「なんだ、今回は変装なしにゃのか。」
「そうですか.
それは、残念ですね。私の女性形体、評判良かったんですけどね。」
ブリットは女性形体の姿も結構気に入っていたようである。
「ブリットは女性形体にしないでいいわ。それに猫耳も外してくれるわね。」
「いや、これは私の御主人様への忠誠の証で……」
「俺は別に気にしてないから外していいにゃ。それにこの間も外してたじゃにゃいか。」
「そんな、この間は変装する為に……」
「そういう事でダリスに入る前に外してね。大体、頭から目立つにゃんこがいるんだから。」
「え、俺のことにゃ。」
最近、俺とブリットは雑に扱われている様な気がする。
「とにかく、ダリスとミシワールの国境の関所で特使として通過してダリス城を目指すからよろしくね。」
「分かったにゃ。」
デュークがいなくなったと思ったらいつのまにかアリアが仕切り屋になってしまっていた。
それから、国境の関所まで特に事件も起こらず俺たちは無事に到着することが出来たのである。




