エリオン王国【2】
ー『呪い子とその歴史』ー
極まれに低い確率で呪い子が生まれる場合がある。
呪い子とは生まれたときにその象徴となる髪色、魔眼、魔力などが垣間見える。
成人となる前に半数以上は死亡してしまうが、呪いのレベルが高い子は生き続ける。
レベルとは魔眼での呪いの力のことであり、見たものを動かす、物を曲げるなどは低いレベルだ。
高いレベルは殺傷能力を伴う魔眼のことであり、見たものすべてを塵と化す、相手を洗脳するなど命に係わるような呪いである。
さらに上の極限レベルの呪いが過去には存在したが、禁書指定のないようなのでここでは説明できない。
一般的には呪い子は双子の内どちらか片方がなる。
しかし例外があり、稀に二人とも呪い子として生まれてくることがある。
また、呪い子の呪いレベルが高い場合、片方の子にも多少の力が付与されることもある。
その場合、呪いをデメリット無く発動できるという優れた力を有する。
それは呪いではないため、解呪できない。
呪い子は呪いがかかっているので解呪できる可能性があるがレベルが高いほど解呪しにくい。
この本が後世に伝えられることを願い、私の名を遺す。
≪呪縛王メリアンデ・コールの妹リリアンデ・コール≫
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本を読んだアンシアは咄嗟に動き、急いでノンシアの元へ向かう。
隣の部屋の扉の前にメイドが立っていたが、緊急性の用事があると嘘をつき、その場から離れさせた。
人生で初めて嘘をつき、心が痛みながらも引き戸を開き中に入る。
「ノンシア!」
目隠しを取られ、得体のしれない男がノンシアの眼球を触っていた。
ノンシアは抵抗することもなく、身体をブラブラとさせていた。
「どうしてここにアンシアが!?」
「アンシア王女!何をなさっているのですか!?」
父上と宰相から驚きと怒りの声が聞こえてくる。
「私、ノンシアと双子という事を知っております!
ノンシアは私の唯一の理解者です!
たとえ父上でも宰相でも私の妹に手を出すなら許しません!!」
初めて見る娘の姿に王は驚愕した。
使い物にならなくなった王を横目に宰相は、アンシアがノンシアの全てを知っていることに着眼した。
「定期的に者が動いていると思ったら、アンシア王女が出入りしていたということですか。
アンシア王女、ノンシア様の目には呪いがかかっているのです。
それを今呪いの専門医であるマーシャル先生に診てもらっているのです。」
宰相の説明により早とちりをしたアンシアは怒りを鎮め、マーシャルとやらをじっと見つめた。
「ん~、これは魔吸眼ですな。
私の片目は義眼なので影響を受けませぬ、そこはご安心を。
それよりも問題なのが、空気中の魔力も吸い取っているこの魔眼ですな。
このままではいずれ暴走し制御が効かなくなるでしょうな。
そうなる前に私の診療所でより詳しく見せてもらっても良いですかな?」
義眼を布で拭きながら提案してきたマーシャルにより一層の怪しさをアンシアは感じた。
マーシャルは再びノンシアの目に布を被せ、目隠しをさせた。
「ゴホンッ。
アンシアよ、これは今ここにいる者だけの秘密だ。
破らないと誓ってくれ。」
「勿論です、父上。」
「我が娘ノンシアよ、この狭い部屋に閉じ込めてきた父を許せとは言わない。
生きることを諦めないのが我が国の、我が血筋のルールだ。
呪いを制御し、呪い子という括りに囚われない立派な娘になれ。
そのための一歩だ。
一歩を踏み出せノンシア。」
王は涙を流しながら、マーシャルにノンシアを預けた。
アンシアもそれがどういうことか理解し、涙を流す。
「ノンシア...、少しの間離れ離れになっちゃうけどまたすぐに会えるかならね。」
「お姉ちゃん...、ノンシア頑張るからアンシアお姉ちゃんも頑張ってね。」
アンシアお姉ちゃんという響きに感銘を受けた。
寂しさ半分嬉しさ半分の涙を流す。
「では、少しの間預からせていただきますね。
他の者に見られてはいけないので、ノンシア様には箱に入ってもらいます。
物置の在庫処分というていで話を付けてください。」
部屋を出て図書室に帰る。
涙を永遠と流す父上を横目に、宰相に準書庫にあった本の事を話す。
「宰相、少し良いですか?」
「なんでしょうか。」
「この本なのですが、私達双子について何か分かるかと。」
「ふむ?準書庫にこのような本が...。」
宰相も図書管理人も初めて見る本らしく、いつこの図書館に入荷されたのか調べるため席を外した。
ノンシアが頑張るのにお姉ちゃんである私が頑張らなくてどうするのだと、己を奮い立たせ落ち込んでる父上とこれからの事を一緒に考えた。




