表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブだった僕が転生し世界を救う  作者: 異世界好き
二章
32/32

32話 最後の手段

「貴様、一体何をした?」


 ガルダーは驚愕に目を見開いて質問してくる。


 簡単な話だ。床に純粋ではない水を撒き散らし、その水に雷を落とし感電させたのだ。まあ、教えてやらないがな。


「だから、敵に手の内を見せるやつがどこにいる? それもう一回『雷の轟(ミョルニル)』!」


 僕は再び水に雷を落とす。


「グアァァ!!」


 ガルダーは再び感電することになった。


 二回も受けてやっと分かったのかガルダーは水から素早く離れた。


 流石にこれでまだ水の上にいたらバカとしか言いようがなかったけどさすがは魔王軍四天王。その名は伊達じゃないらしい。


 少しの間回復のためか微動だにしていなかったガルダーが再び動き出した。しかし、その攻撃は一部麻痺の効果でもあるのかかなり遅くなっている。


 僕は落ち着いて対処する。それでも通常の状態で見きれるかどうかのレベルだ。まだ、加速を解くのは危険だ。

 前よりも圧倒的に戦いやすくなったため、躱しざまにカウンターを叩き込む。


 けれども、鎧に簡単に防がれて手が痺れてしまう。これを攻略するしかこいつの突破口は無さそうだ。さっきみたいに感電でダメージを与えることはもうきっと不可能だろう。そうなると鎧の隙間を縫って斬りつけるしかない。


 僕は即座にその場から離れる。


 ガルダーは忌々しそうにこちらを見つめる。こっちの体力も限界だが、あっちもかなり消耗してると見えた。

 僕がここに来たときの威勢は見る影もなく、お互いが決死の戦いなのだと実感する。


 僕は再び『空間移動(スペースムーブ)』を使い背後に回る。始まったときには簡単に防がれただろうが、今の消耗したときならば変わる。


 ガルダーは久しぶりの不意打ちに対応できずにその肩の隙間に傷を受けることになった。ガルダーは即座に大剣をふるい、僕を両断しようと迫ってくる。僕は転移してその場から離脱した。


「ハア、ハア。人間に傷をつけられたのは久しぶりだ」


 今の一撃で怒りを忘れたのかさっきまでの口調とは違い、こう言っても変だが穏やかになった。


「そりゃあどうも。というか忘れてないか? お前の敵が僕だけじゃないって」

「オラオラ!」

「『光の刃(シャイニングバスター)』!」

「『炎の槍(ファイアージャベリン)』!」


 ニウスが槍でガルダーの鎧の隙間を狙って連続で突きを行う。アイリスとエリスはニウスに合わせるように次々に魔術を発動させる。


 ガルダーはニウスの攻撃に応戦しながら次々と来る魔術の雨に対処する。


 僕は、一度休憩させてもらう。もう限界にかなり近い。僕は呼吸を整えながら外気から魔力を吸収する。


 その中でもにニウス、アイリス、アリスの猛攻は続く。ガルダーの顔には疲労の色が見え始めてきた。いくら相手が優勢だったとしても、優勢だった側の体力が切れれば一気に形勢逆転もあり得る。

 だから、強敵との戦いはどれだけ体力を温存させながら、一撃一撃を防いだり、入れたりする必要があるかだ。

 まさに今回はその典型的な例だ。


「三人とも、僕も入るよ!」


 僕は声を出し、ガルダーに急接近する。ガルダーは僕の参戦に表情を歪める。


 一気に体力を削ってやるよ。僕は三人の合間を縫って次々と攻撃を加える。今更だが、ディフェンダーがここまで攻撃してもいいのか不思議でしょうがない。僕のファンタジー知識ではディフェンダーがここまで攻撃するのは見たことがない。

 まあいいか。これがニウスらしさなのだろう。


「邪魔だ!」


 ガルダーは大きく拳を振り、僕らをその拳圧で吹き飛ばした。


 僕らは落ち着いて受け身を取る。こちら側はほとんどダメージは入っていない。


 と、そんなことを考えていると、ガルダーは一気にニウスに接近し、今までは防戦一方だったが、それが嘘のように攻勢に移っている。


 だけど、ニウスは慌てない。落ち着いてその攻撃を見極め、時には躱し、時には盾で防ぎ、見事にガルダーの猛攻を防ぐ。


 僕はガルダーがニウスに攻撃を仕掛けているうちに、転移してガルダーに接近し、鎧の合間に剣を滑り込ませる。


 が、二度は同じ手はくらわんとでも言いたげな目を一瞬こちらに向けて、その手にはめたガントレットで、僕の剣は防がれる。


「二度はくらわんよ!」


 そのまま、僕に、一撃を入れようと、渾身の力を込めて右手を素早く振るう。転移が間に合わないと判断した僕は剣を使ってその攻撃を防ぐ。

 なんとか間に合い直撃は免れたが、それでも洒落にならないぐらいのダメージを食らった。


「すぐ回復するね。『回復(ヒール)』」


 即座にアイリスが駆けつけてくれて、回復魔術をかけてくれる。僕の体を温かな緑色の光が包み込む。


 すっかりとさっきのダメージがなくなった。⋯⋯なくなったわけではないか。正確にはさっきまでのダメージがすっかり良くなった、だろう。

 まあそれは置いといて。


「ありがとう。アイリス」

「お安い御用だよ」


 体が回復した僕は即座にガルダーに接近する。ニウスがいい感じに攻撃してくれていたため、ガルダーは回復中の僕に見向きもしなかった。

 ニウスのおかげだろう。


 僕はそのまま攻撃を仕掛ける。僕が仕掛けるたびにガルダーはその身に裂傷を増やしていく。首元を狙いたいが、そこは鎧に完全に塞がれているため、簡単に弾かれてしまうだろう。


「ニウス! その場から離脱して! 『隕石衝突(メテオインパクト)』!!」


 僕は、ニウスに離れてもらい、ガルダーに向けて隕石を何十個も落とす。ガルダーは鎧によって身を包んでいるが、流石にこの数は多いと感じたのかガントレットを装備した手で、次々と隕石を破壊していく。


 もちろんそれは予想通り。僕はその隙に、ガルダーに接近し『身体強化』を一瞬発動させた足で思いっきり隕石に向かって蹴り上げる。


 その攻撃が来ると予想できていなかったのか、ガルダーは抗うこともできずに上空へ打ち上げられる。


 ガルダーが蹴り上げられた場所に、隕石が降り注ぐ。ガルダーは対応できずに隕石にぶつかり、そのまま、隕石と共に地面に激突した。


 それでも、大きなダメージを与えるには至らなかった。


「やってくれるじゃねえか」

「お前どんだけ硬いんだよ⋯⋯」

「魔王様がくださった鎧の力だ。畏怖しろ!」

「嫌だね」


 僕は皮肉を込めて言い放つ。誰が、僕の家族を攫った魔王を信仰しないといけないんだよ。考えただけで反吐がでる。


 僕はそんな怒りを剣に込めながら、再び連撃を開始する。ニウスも一緒に攻撃を再開する。


 僕とニウスは次々にガルダーの鎧の隙間にダメージを与えていく。ガルダーも負けず劣らず僕らに攻撃をしてくる。

 時々躱しきれずに攻撃を受け、傷ができるが、即座にアイリスが回復してくれるため、気にせず戦い続けることができる。


 ガルダーは一度僕らから距離を取り、呼吸を整える。


 その隙に、僕はあの鎧に隙間攻撃以外の弱点が無いかを確認するべく再び『鑑定(アブレイザル)』を発動させた。


 その結果を確認して、勝利への方程式が組み上げられた。


「みんな! ガルダーの鎧を集中的に攻撃してくれ! あと少しだ!」


 僕の声がけに三人は一度不思議そうな顔をしたが、僕の自信に満ちた顔を見てか、納得してくれた。


「何をしようとしているか知らんが、そんなことをしても俺様にダメージを与えるのは不可能だぞ?」

「確かに()()()()()な」


 そう、鎧があれば、だ。さっきの鑑定した結果、あの鎧には耐久値があったのだ。


 あの鎧は、攻撃のダメージを吸収して無効化しているのだ。ダメージは排出されていき、何度でも無効化することができる。

 しかし、その回復を上回る攻撃を加えたら? 鎧の回復が間に合わず、吸収しきれずダメージを与えられるのだ。

 一度飽和状態になってしまえば、攻撃を緩和させる効果は残っても無効化までには至らないようだ。


「『超爆発(エクスプロージョン)』!!」


 僕の声に感応して、ガルダーの周りに大爆発が起こる。それを連続で行う。もちろん魔力回復を忘れない。

 これを使えば無限に魔術を発動させられるのだ。もちろん、集中力は切れていってしまうけどね。


 次々に発生する爆発に巻き込まれ、ガルダーは声にならない悲鳴を上げる。ガルダーにはダメージが入っていないが、鎧の吸収限界へと刻一刻と迫って行く。


 それを食い止めるべくガルダーは爆発に巻き込まれながら僕に接近してくる。その勢いのまま、僕へ渾身の右ストレートをかましてくる。それでも速さが更に低下しており、簡単に見切りガルダーの右腕を取り、勢いのままガルダーを地面に強く打ち付ける。


「ガハアァ!」


 肺の空気をすべて吐き出したのか悲痛な声を上げる。が、すぐにガルダーはその場を一度離れて、再び攻撃を仕掛けてきた。


 が、その拳が僕に触れる前に、僕とガルダーの間に割って入ったニウスの盾によって簡単に止められる。それでもガルダーは何度も何度も拳を打ち付けている。

 ニウスは少し後ずさってしまう。


 僕はアリスの魔術の合間を縫って剣で鎧をひたすらに斬る。すべての斬撃が防がれ、こちらにかなりの衝撃が走るが関係ない。

 そんな僕を煩わしく思ったのか、ガルダーはニウスへの攻撃をやめ、僕の方に殴りかかる。僕はそのすべてを剣で受け流す。


 僕は一度ガルダーから距離を取り、魔術を発動させる。


「『超爆発(エクスプロージョン)』!」


 僕が発動させた爆発によって、ガルダーは吹き飛ばされる。


 そして地面に着地したとき、ついにその時は訪れる。


 バキイィン! と甲高い音を立てて、ガルダーがまとっていた鎧が弾け飛んだ。吸収できる最大量を超えたのだ。


「何⋯⋯が」


 ガルダーは驚愕に目を見開く。


「お前、知らなかったのか? お前の鎧には一つ大きな弱点がある。それは、ダメージを吸収できる量に制限があることだ。僕らの攻撃で、その限界を超えた。だから壊れたんだよ」

「馬鹿⋯⋯な」


 僕は、戦意を喪失させる意図のもと、現実を叩きつける。


「一斉攻撃だ!」

「「「了解!!」」」


 僕の号令で一斉攻撃が開始される。


「『超爆発(エクスプロージョン)』!」

「『光の嵐(シャイニングバースト)』!」


 アリス、アイリスはそれぞれ自分が使える最強の魔術をそれぞれ唱える。さっきまで二人が音沙汰なかったのは術式を構築してたからだ。

 アリスが発動させた爆発に巻き込まれガルダーが空高く吹き飛ぶ。それに合わせるようにアイリスが発動させた光の乱舞が次々と襲いかかる。

 その勢いのまま、ガルダーは地面に叩きつけられる。その瞬間にニウスの槍の乱舞が次々とガルダーを襲う。そのまま、ニウスはガルダーを空高く打ち上げる。


「ナイス! ニウス! これでどうだ『超爆発(エクスプロージョン)』+『重ね掛け 10(スタック×テン)』!」


 それに合わせて王級魔術、『重ね掛け(スタック)』を足した『超爆発(エクスプロージョン)』を発動させる。


 『重ね掛け(スタック)』はその名の通り、魔術を重ね掛けする魔術だ。例えば、威力十の魔術に×10を行うと10の10乗。つまり、10000000000のダメージが入るのだ。

 これを僕はユウキ・フォワードが残した書物を見て覚えたのだ。

 これも魔力の消費が激しいことに加えて、術式の構築の難易度が高く、その数に応じて術式を構築しなければならないので、精神力を途轍もないほど消費する。そのため、現在での使用者は僕くらいだろう。うちにあった書物がどれだけすごいのかこれだけでわかるだろう。


「やったか?」


 あっ、ニウスのやつフラグ立てやがった。


「ハアハア」


 ほら、ニウスがフラグを立てたから。


「本当は使いたくなかったが、使うしかなさそうだ」


 どういうことだ? ガルダーは一体何を使おうとしてるんだ?


 その答えはすぐに答えが分かる。


「フー、『獣神化』!」

「嘘だろ⋯⋯!」


 ガルダーの宣言で、ガルダーの周りを禍々しい瘴気が漂い始める。ガルダーは最後の手段を実行したのだった。



次回の更新は1週間後です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ