誘拐?
いよいよ来週、結婚式が行われる。
ナムーリ国の問題もあり、延期になったらいいなと思っていたが、予定通り行われることになった。
他国の王族や大臣クラスの来賓も参列するそうだ。
やっぱり王太子の妃なんてめんどくさい。ここのところ毎日毎日ゴッドハンドの侍女たちに髪、顔、身体を磨き上げられている。
前世で見たことのある、王太子妃たちもこんなことしていたのだろか?
「お嬢さま、お綺麗ですわ。きっと殿下はメロメロですね」
侍女のクロエがヘラヘラしている。メロメロになどなってもらわなくてもいい。
「疲れたから少し休むわ」
本当に疲れたのでひとりで眠りたい。クロエにそう告げると私は横になった。
「お嬢さま、よろしいですか」
扉の向こうから声が聞こえる。誰だったかな? あぁ、最近入ったメイドか。
「どうしたの?」
「旦那様がお呼びです。お庭のガゼボで待っているとのことでございます」
「わかったわ」
めんどくさいな。お父様が何の用だろう。庭か。私は簡単なドレスに着替え、メイドとともに階段を降り庭に向かった。
庭に出ようとしたその時、後ろから布のようなもので口を抑えられた。何のにおいだろう? 何の……
目の前が真っ暗になり、意識を手放した。
ここはどこだろう? 庭ではないな。
知らない場所だ。あの時何かの薬品を嗅がされ意識を失ったようだ。
庭に出る扉の横にある勝手口から運ばれたのか。とすると用意周到だな。
あのメイドは確か最近入ったとこだ。きっと私を誘拐する為に潜入していたのだろう。
さて、誰が私を誘拐したのか。
もう、ほんとにめんどくさいなぁ。王太子の婚約者なんて嫌だったのよ。殺されるの? 陵辱されるの? 嫌だなぁ。
だから引きこもって地味に生きていたのに。とにかくどうにかして逃げよう。
私は冷静になることにした。




