怖いかも?
王弟殿下はどうやら第3王女を気に入ったらしい。
国王はどうするべきか色々考え、ナムーリ国に『この件は第3王女ひとりがやった事として処分する。事が事ゆえ、禁忌魔法を使った事は伏せる。第3王女は失踪した、もしくは事故により行方不明ということにでもするように。使節団は国に戻すが口を開くような事があればどうなるかわかっているであろう。この先もし我が国に弓引くようなことがあれば、国は消滅すると思うがよい』との手紙を送ったそうだ。
まぁ、第3王女がとかげの尻尾切りにあったというわけだ。
しかし、別にそれなら王弟殿下は独身なのだし、結婚すればいいのではないのだろうか?
「結婚はしないのですか?」
私の言葉にアイク様は困ったような顔をしている。
「結婚となると、叔父上と第3王女を表に出さないといけないだろう?」
「そうですね。多分第3王女はもう表に出せない状態なんでしょう」
アイク様とフィル兄様は二人揃ってため息をつく。
表に出せない状態ってどういうのよ。怖いんですが。
「怖がらなくても大丈夫だよ。ヴィーには何もさせないので」
「王弟殿下は情が深い方だから見染められたのならきっと大丈夫だろう」
いやいやいやいや、何が大丈夫なんだ?
「叔父上は魅了の魔法や支配の魔法を使えるんだ」
アイク様の突然の発言に私は驚いた。
「こんな事を言ってはなんですが、そんな魔法が使えるなんて謀反とかは大丈夫なのですか?」
「大丈夫さ。もちろん王族には効かないし、城のものは皆無効化する魔道具をつけているから魔法をかけられることはないし、叔父上自身、国王になろうなんてことを思う人ではないので、その辺は問題ないんだ」
それならいい。お家騒動はごめんだ。
「叔父上は魔法や魔道具の研究をしているので、時々処刑されるはずの罪人をもらいうけ、処刑されたことにして、研究の手伝いをしてもらっているのだが……」
「手伝い? まさか人体実験でしょうか?」
「う〜ん。そうとも言えるかな」
いやいや、それダメでしょう。15禁じゃないのよ。
「ただ、そんなに酷い事はしないんだけどね」
人体実験ですでに酷いと思うけど。
私はこの国に闇を見たようで少しビビった。
王弟殿下はほとんど屋敷から出る事はないらしいので、姿を見た人もほとんどいない。幻の王弟殿下か。レアものなんだな。
第3王女はどうなったんだろう?気になるがそこに触れない方が良いのだろう。
とりあえず私も魅了の魔法や支配の魔法を無効化する方法を身につけなくてはいけないな。
「あの〜。私も魅了や支配の魔法を無効化する魔道具がほしいのですが……」
怯えた様子の私に対して、凄い笑顔のアイク様。何でだ?
「大丈夫だよ。私の婚約者に決まった時に無効化の魔法をかけているからね」
「そ、そうなんですね」
勝手に魔法をかけられていたのか。まぁ、変な魔法じゃないのでよかった。
アイク様に魅了や支配の魔法をかけられて婚約者になったわけではないので、そこはよかったなぁと思った。
この国はたいした魔法はないと思いながら15年生きてきたが、どうやら間違えていたようだ。
この国は意外と怖い国なのかもしれない。




