準決勝A1
……ついに、準決勝。Aブロック。
古瀬川学園 vs 沖城学院。
古瀬川学園
先鋒:【2年】曽江川 由真
次鋒:【1年】石垣 優
中堅:【1年】刺神 奈那
副将:【1年】結原 千紗
大将:【1年】柑崎 香宇
沖城学院
先鋒:【2年】城崎 友崋莉
次鋒:【3年】吉亜 冥依
中堅:【2年】尾上 沙希
副将:【3年】龍堂 真稀
大将:【2年】麻井 霞澄
こうして見ると、古瀬川学園は異常だ。
1年で選抜されている。
………先鋒戦に向けて会場が準備中。
「さぁ、いよいよ準決勝です! 無名校ながら、この準決勝まで勝ち上がってきた古瀬川学園! それに対抗するは、昨年度、丹波丘と接戦を繰り広げるも、大将の“瀬宮 舞”には圧勝されてしまい、惜しくも優勝を逃した沖城学院!! いったい、どんな戦いを繰り広げるのかぁーっ!!」
というナレーションが響き渡る。
それを聞いた霞澄は、
「瀬宮には、どうしても勝てねえんだよなぁ…。まぁ、破壊だけ極めて個人戦第4位ってのも普通じゃねぇとか言われたが、今年は、その雪辱を晴らしたい…! 個人戦は、あの2人もいるが、団体戦なら、脅威はアイツだけ…!」
と、舞に闘志を燃やす。
観客席にいる舞は、それを感じ、
「弱点を克服してないなら、去年と同じ結果だよ。でも、それより…もう1人、脅威になる人がいるでしょ?」
と思いながら、闘技場を眺める。
すると、輝夜が舞に念話を送る。
「VIPに来ないのか?」
すると、舞は、
「VIP…あぁ。エントリーカード忘れちゃったんですよね…」
と、少し笑いながら話した。
「おいおい…。忘れ物するクセは直せよ…」
呆れ気味に、輝夜は言った。
「すみません。気をつけてるんですけどね…」
反省している舞。潔く謝った。
---…闘技場。
先鋒の2人が、お互いに立ち向かう。
「よろしく。曽江川 由真 だ」
「こちらこそな。城崎 友崋莉 よ!」
挨拶を交わす両者。そして…
《ゴォォーン》
開始のゴングが鳴る。
※補足※
体力…8,000 pt
術力…5,000 pt
すると、城崎は仕掛けてこない。
由真は攻撃を仕掛けた。
「うらぁぁー!!」
適当に出した“轟雷拳”…雷をまとった単調なパンチを仕掛ける。
すると、防御態勢に。
「はっ!!」
と気合いを入れる城崎。
轟雷拳は、いとも簡単に防がれる。
「な、んだと!?」
あっけなく防がれた上に、微動だにせず受け止めたため、とても驚いていた。
その後も攻撃をことごとく防がれて、ようやく特性に気づく。
「…さてはアンタ、“防御特化” だな?」
「よく気付いたね? そうだよ!」
城崎の能力は、“難攻不落”
その名の通り、防御特化のチカラである。
ランクは「S」
「ふふ。防御に徹してる間、オレは“術力”を温存できる…」
と、自分で暴露していることに気付かずに発言する城崎。
すると、
「そらどーも!」
と、由真は打開策を閃いた。
「…アタシの能力は、知ってるか?」
と、半ば挑発じみた発言を、城崎に向ける。
「え? どう見ても“多属性特化”よね?」
と、把握していなかった様子。
「…だとしたら、アタシの勝ちだぜ? 防御特化がアダになったな…!」
この発言の直後に、由真は、“防御特化”を、
逆算して、
“猛攻特化”にしたのだ。
「知ってるか? “逆算”ってのは、特化してる人ほど簡単に攻略するんだ。つまり、
術力を使わずに、猛攻できるようになる
…この意味が分かるか?」
「…!?」
その時、初めて由真の“本当の能力”に気づく。
「まさか…! 曽江川 由真 って…去年、第8位にまで上った、“能力逆算”の…!? …アンタだったのか!!」
ようやく本人であることを把握したが、時すでに遅し…!
防御に徹するも、強力な“特化した”攻撃には耐えられず、防御幕を砕かれ、被ダメージ。
「ぐ…っ!? く、っそ…!!」
あまりに防御一筋だったため、砕かれた後は、ボロボロな盾。攻撃に割く術力も奪われた挙句、由真にボッコボコに敗北してしまう。
「まさか、いとも簡単に破られるなんて、ね…」
潔く負けを認める城崎。
「…でも、アタシくらいの実力者じゃなきゃぁ簡単には破れねぇ。誇っていいぞ、その防御強さは…!」
打ち勝った後も、賛辞を惜しまない由真。
城崎に手を差しのべ、立たせるために引く。
それに応え、城崎は立ち上がった。
「…今度は、アンタの逆算に負けないくらい、もっと硬く防御してやる…!」
「ふっ、なら、それをまた逆算するまでだ…!」
熱い握手を交わし、城崎は下がった。
次は、沖城学院の次鋒。
“吉亜 冥依”
どんな戦いを繰り広げるのか………-----




