1話 熱中症対策 その一
本作はモブだった「僕が転生し世界を救う」を本編とする番外編です。本編未読の方は、ぜひ、本編を読んでから、こちらを読んでください。
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ヒバリさんから過去の出来事を聞いてから早くてもう数日が経つ。
「お兄ちゃん、暑いよー」
「そうだね」
季節は夏。最近は猛暑日が続いている。
アイリスもこの暑さにまいってしまっているようだ。ちなみに僕は、もともと関東に住んでいたから、暑さには慣れている。エリスとニウスは買い物に行くそうだ。
暑いのにすごいな。キュノは外で日向ぼっこしている。絶対日向ぼっこする気温じゃないだろ!?
一応行っておくけど生活必需品はちゃんと家にあるよ。
それでも暑いものは暑い。聞いた話によると、王都でもかなりの数の人が熱中症に近い症状を訴えている。僕らだって他人事ではないのだ。
僕は今、エアコンを作れないか模索している。科学魔法を使えば不可能ではないと思う。ただ、今の所全くうまくいっていない。
もっと原始的な方法がいいかな。とはいえ、思いつくのは、水で濡らしたらキンキンに冷えるタオル、冷えて個体になるリング、打ち水、緑のカーテン、冷たい飲食物ぐらいだ。今のところ可能そうなものは打ち水と冷たい飲食物くらいだろう。
とりあえず打ち水でもしようかな。
「ちょっと外に水をまいてくる」
「分かったー」
アイリスが気の抜けた返事をする。そんな声に見送られて玄関を出る。
セミの声に似た謎の声が聞こえる。家の中でも聞こえたけど外に出るとよりうるさい。
しかも、家の中でも暑かったのに、外に出ると、より暑く感じる。直射日光がきつい。
ボーっとしてても進まないので、水魔法で水を出す。体感温度が少し下がった気がする。とりあえずその水をあたり一面に撒く。
⋯⋯あまり変わらん。水を生成して近くに浮かせといたほうが涼しいわ!
だめだ、暑さで怒りっぽい。気をつけないと。こうなったら冷房器具を作るしかない! そうと決まれば、家に戻って作成開始だ。扇風機くらい作れればいいな。
■■■■
えっとモーターのシステムを考えよう。⋯⋯。⋯⋯だめだわからん。なんかコイルが使われてた気がする。うん、諦めよう。
ここは異世界なんだ。地球の常識なんて捨てしまおう。そうだ、魔法を使えばいい! 魔道具作りの容量で、媒介となるものに風魔法を付与すればいいんだ。
なんで今まで気づかなかったかなあ。もっと早くできたよ。そんなことを考えながら、媒介に適していそうなものを探す。
数分後。
「いや、なんでこんなにないんだよー!」
僕はついつい叫んでしまった。だってしょうがないじゃん。媒介に適している魔石をひたすらに探したけど全く見つからなかったんだからさ。火の魔石とか水の魔石はあったけど、風の魔石はどこを探してもないんだよ。
ちなみに言ってなかったけど、魔法や魔術の力を付与するなら、その属性と同じ属性の魔石に付与するのが一番だ。
はあー。買いに行くか。
「アイリスー。魔石を買いに行くけど一緒に行くか?」
「うん、行くー」
一応アイリスを誘ってみて正解だったな。
とりあえず、アイリスの準備が終わるまで、しばらく待ち、家を出た。
「じゃあ、キュノ、リリー。留守番よろしくね」
『わかったよー』
『行ってらっしゃい』
キュノの間の抜けた声とリリーに見送られ、魔石屋へ足を運んだ。
魔石屋に入ると、外の気温が嘘のように涼しかった。どうなってるのかわからん。氷属性の魔術でも使っているのかな?
そんなことを考えながら目当ての風属性の魔石を探す。
おっ、あったあった。僕が手に取ったのはエメラルドグリーンの石だ。さながら、エメラルドのようだ。
よし、これにしよう。
「すいません。これを買いたいです」
「はいよ、銅貨二枚だよ」
僕は店主のおばさんに、銅貨二枚を渡し、風の魔石を購入した。
ちなみに、他の魔石は、火の魔石がルビーのような赤色。水の魔石は、サファイヤのような青色。雷属性は、トパーズのような黄色。と、宝石のようになっている。属性によっては希少なので、とんでもない高価なものもある。風の魔石は、よく見つかるため銀貨二枚で買えるのだ。
僕は購入した魔石をストレージリングに収納した。
「アイリス、帰りに、果物屋に行っていい?」
「いいよ」
アイリスに許可を取ったので、果物屋に行く。
そこには見るだけでも新鮮だとわかる様々な果物がある。その中でも苺によく似た果物を十個ほど買う。うん、美味しそうだ。
「アイリスはなにか欲しい果物ある?」
「うーん、そうだなあ。あっ、りんごが欲しい」
なるほどりんごか。こっちの世界にも案外地球と同じような果物がある。このりんごはアイリスが小さい時から好きだったものだ。
「すいません、りんごの実を五個ください」
「はいよ。一個おまけしておくね」
「すいません。ありがとうございます」
「いいのよ」
こうして何個か果物を買い、家に帰った。
家に帰ると早速とある機械(?)を作る。構造は簡単だったから、すぐできた。
「これ何?」
アイリスとリリーが物珍しそうに見る。
「フッフッフ。聞いて驚くな。これは──」
「これは?」
『気になるなー』
「かき氷機だ!!」
『「かきごおり?」』
「見たほうが早いよ」
そう、僕が作ったのは、かき氷機だ。暑い夏といえばかき氷。それを作るためにはこれが必要となる。
早速僕はかき氷機の氷入れに氷を入れるために魔法を発動させる。
「『氷』」
みるみるうちに氷入れは氷で満たされる。その後、蓋を付けて、受け皿をおき、回す。
皿の上に、細かく削られた氷が積もっていく。
「はいどうぞ。砂糖牛乳をかけて召し上がれ」
『「ありがとう」』
アイリスとリリーにスプーンと氷が入った皿、そして練乳もどきを渡す。
練乳もどきといったのは、これは牛乳に砂糖を混ぜたものだからだ。
僕も、削り、練乳もどきをかける。うん、美味しそうだ。おっとアイリスたちは待っていてくれたようだ。
『「「いただきます」」』
スプーンですくって食べる。うまい。冷たい氷が口の中に入って溶ける。はあー最高だ。アイリスもリリーもお気に召したのか、バクバクと食べている。ああ、そんなに早く食べると⋯⋯。
「痛! あっ頭があー」
「大丈夫? すぐ収まるよ」
「あっ、ホントだ」
『ん? 痛くなる?』
ほらやっぱり。見事にアイスクリーム頭痛になったそうだ。リリーは頭痛を感じなかったようだ。幽霊だからかな⋯⋯?
『なにそれー?』
庭で日向ぼっこをしていたキュノが部屋に入ってくる。どうやらかき氷に興味津々のようだ。
「キュノも食べる?」
『うん、もらうね』
キュノの分も氷を削る。
キュノに渡すと、すぐに食べ始めた。
『おいしいー』
キュノは大喜びだ。コイツのこういうところが可愛いよなー。
「本当にキュノちゃんは食いしんぼさんだね」
『しょうがないよ。おいしいんだから』
アイリスとキュノが楽しそうにおしゃべりをする。リリーはその間も黙々と食べ続けている。
気がつくと、みんなかき氷がなくなっていた。
「まだ、食べたいなー」
『ぼくもー』
『わたしもー』
「そう言うと思ったよ」
僕は苺もどきを持ってきて魔術で凍らせる。そしてその苺を氷を入れる場所においた。皿を下に置き削る。
苺をまるまる削ったかき氷⋯⋯贅沢だ。
もちろん、二人と一匹が気に入らないはずもなく。気がつくと、なくなっていた。
かき氷はこっちの世界に来てから初めて作ったけど案外受けが良かった。
ふー、美味しかった。
「何だそれ、俺にもくれ」
「私のも頂戴」
どうやらニウスとエリスが帰って来たようだ。別に秘密でもないし、二人にも作ってあげた。
やっぱかき氷は美味しいなあ。あれ? なんか忘れてるような⋯⋯? まあ、いいか。
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