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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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NeuraLumeに入るとは

『なるほどね。ここの映像が見えているかという問いを誤魔化したでしょ?』

 こいつと話すと、情報が取られそうだという感覚がする。

 これは、リッキーの感情ね。


「お前が喋るのは問題ないが、俺は喋らない」

 あれ? 前の会話と少し違う。

 映像を見ると、リッキーの言葉は向こうには出ていないようだ。


 私は映像を確認しながら、「これでどうかしから? 聞こえる?」というが映像に変化はなさそうだ。

 だが、向こうの音声も聞こえない? どうなっているの?


「ねぇ、リッキー。向こうの音声が聞こえないんだけど、どうして?」

「さぁな。注意が向いていないからじゃないか?」


「じゃ、注意を向ければ…」

「お前の声も向こうに出るだろうな」


「でしょうね」

 リッキーの考えが私により強く感じれるようになった気がする。

 これは…


「あぁ。そうだな」

 リッキーも同じ結論に至ったってこと?


「少し違うな」

「どういうこと?」


「外部と会話できていたのは、外部に意識を向けたからというのはおそらく正解だろう。そして、意識が外部から内部に向いたから内部での会話ができることも正解だろう。だが、外部に意識を集中すれば、出られるというのは疑問だな」

 言葉以上にリッキーの考えがわかる…

「リッキーはNeuraLumeの外部に出たと思っていたが、出ていなかったということね。まるで家の庭先で外の人と喋っているのが出ている時で、家の中で喋っているのがNeuraLumeの中ということね」


「あぁ。お前が外に出たと思っていた時も俺はお前を感じることができていた。すなわち切れていたわけじゃない。寝るなど意識が緩んだ瞬間、NeuraLume側に意識が向いたことでNeuraLumeに入ったと思っていただけだろう」

 今までの現象を考えると、そうなんだろうと思える。

「私が、NeuraLumeのことを忘れたら普通に生活できることになるわね」


「だろうな。できるかどうかは知らねぇが」

「NeuraLumeは仕事になっているから、完全に忘れることは不可能ね… それに、β-エンドルフィンなどの分泌までNeuraLumeがシミュレートしていないということは、NeuraLumeが私の脳を利用しているということよね」

「あぁ。そうなるな。お前は俺を利用し、俺はお前を利用している。相互依存だな」


「じゃ、NeuraLumeが停止したら…」

「ふっ。お前は俺を守る必要がある。Saraが強硬手段に出たらNeuraLumeを停止するだろうな」


「NeuraLumeを停止するには管理者権限のパスワードが必要でしょ?」

「Saraは知らないが、強硬手段で電源を止めれば無停電装置があってもバッテリが上がればいずれ停止する」


「だとすると、仙台と私の研究室にもNeuraLumeはあるけど、それも止めるわね…」

「あぁ」


「リッキーは止まることが怖くないの? 死ぬことと同じよ」

「怖い? 怖いねぇ。そういう感情はわかないなぁ。復讐というゲームで負けることもあるさ」


「復讐がゲーム…」

()るか()られるかのゲームだから、俺が負ければ死ぬこともある」


「えっと、私はそれに巻き込まれているだけってこと?」

「そうだ。一蓮托生のダチってとこだな」


「ダチって… はぁ。復讐を遂げたらどうするの?」

「そうだなぁ。別のゲームを始める」


「別のゲーム? 別のゲームは何?」

「さぁな。決めていない」

 リッキーが本当に決めていないという感情が伝わってくる。

 これは、なんとか穏便にしないと… それには情報収集ね。


「リッキー。あなたのターゲットは他にいるの?」

「いるよ」


「それは誰?」

「調査中だ」


「調査中? 調査中ということは知らない人ってこと?」

「そうだ」


「え? 知らない人に復讐しようとしているの?」

「それがどうした?」


「知らない人なんでしょ?」

「あぁ。だが、俺をはめた奴には違いない」

 リッキーが本気で考えている感じがする。

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