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Realizeー果てなき世界の物語ー  作者: 神木ひかり
第1章 腐敗した世界の魔女狩りは
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【13】驚愕に傾いた一言に

「あっさりと終わるものなのですね」

「まぁ、いつもこんなんよ。それも彼がいれば彼の好き勝手になる。例えば誰もアレンに太刀打ち出来なければそこで終了だし、いい動きをするやつがいなければそれでも終わる。だから、気分と強さの問題で年に一度のこの試験はほとんどが落ちると言われているわけなの」


ケイティが、補足を加えてルークに説明をすると彼は頷いて黙りふけった。


「はぁ、面倒くさい方法を取って自己の強さの悦に浸るとは馬鹿馬鹿しい。ヴィアにとっての進路妨害に匹敵するんですよ、まったく」


聞こえないようにでも、独り言のように爪を噛んだトオリをドウドウと抑えるエイジ。エイジも確かに自分たちの時と異なる試験状況に困惑したのは同様だった。


「まぁ、受かったんだし。少しは落ち着いたら?」


冷静に放ったその一言に、フンと鼻を鳴らしてこちらを睨みつけてくるトオリ。


「もういいですけど」


その言葉に内心ほっとしたエイジが話題転換をするために落ちた受験者たちに目を向けた。会場から退場した彼らはそれぞれの想いを胸にとぼとぼと帰路を辿って門を出ていく。その光景は落胆したそれらがモヤで覆うようなどんよりとして見えた。


「さすがに、あの試験の仕方はなかったかなと思うんだけど」


苦笑しながらそちらを見るのでケイティもそこに話を加えてきた。


「いつもこんなもんよ。さすがな私もアレンを出禁にすべきだと思うんだけど、どうしてかクリス様は口出ししてこないのよねぇ。圧倒的な力の前ではどんなに才能がある人間だってその強い光によって包み込まれて隠されてしまうのに」


それはさておきと、ジリジリと詰め寄ってくるケイティはエイジに今にも抱きつかんばかりと手を伸ばしている。その光景に慣れてしまっていたトオリははぁあと階段下から受験者たちを眺めながら手すりに腕を置いた。


「ケイティさん、なんでアナタはそんなにもエイジやライトのことになると鼻息荒くなるんですか?」


無垢な子供は純粋だ。そして、ここにいる子供というのは1人のことを指している。苦笑いを浮かべたエイジに対してケイティは一回りしてふふんと笑って答えた。


「そんなの、この年頃の男子はいろいろあって、面白いからよ。少しの反抗心もありつつ優しさを忘れない。裏切ることを知らなくて純粋ではないけど、まだ闇の中を知らない。ライトは少し闇と隣同士にたっているような気がするけどそこがいい!っていうただの好奇心よ。アレンが新人に対してであるのなら、私は15、16歳の男子に対してというだけ」


彼女の思考を理解するにはまだ、彼らの中では早かった。キラリと光る瞳とは裏腹にトオリがボツリと呟いた。


「ヴィアたちも全然帰ってこないし、退屈です。いや、退屈じゃないのですがヴィアがいないから私にとって憂鬱なのに変わりないですね」


そんなトオリを見かねたケイティは本部に先に向かっていくことを提案した。エイジもトオリも彼女らの依頼を知っているからこそ正直に離れることに対して躊躇を感じた。だが、それでも大丈夫だと少しの余裕を持ってケイティに答えた。


「はぁ、行きましょうか。ここで待ってるのもなんですし」


よっと体勢を立てて真っ直ぐに姿勢を戻したトオリはエイジに視線を送って頷いた。それは、了解の意を込めたものだ。


「オレも先に行くでいいスよ?このままここにいてもアンタとトオリが暴走しかねないんで」


2つ目の言葉は余計だと言うように笑って怒りマークをつけるトオリにギクリとしてそっぽを向いた。こういう時は、真正面から相手にしないことが1番楽なのだった。



◇◇◇



「さて、お前ら2人は魔女狩りとして資格を認められ魔女を狩る力を得ることとなるんだが」


少し散らかりを有するその部屋に連れてこられた2人は複雑な緊張から抜け出して少しの安堵をしていた。アレンが机から1枚の丸められていた紙を広げて告げた後に描かれている魔法陣について話を始めた。


「まずひとつに、魔女狩りには本来誰でもなる資格はありどんな人間でも天使の力を得ることが出来るとされている。魔女たちが悪魔と取引をするのであればそれを狩る俺たちには、天使と契約をする権利が生まれ持って与えられているというわけだ」


魔法陣がなぞられて浮き出した白の結晶。それに見覚えがあったライトは記憶の中にあったもうひとつのものと無意識的に合致させていた。


「だがそういう能力を持てば悪用する人間も出ないとは言いきれないし、逆に力があればあるほどそれを振り回す奴らも多く出てくると捉えることが道理だ。そしてこの試験を用意して見極めを行うんだよ。まぁ、俺の試験の時だけは少し変わってくるがな?」


笑って濁したアレンのそのセリフに、2人ともが「ほんとにな」というツッコミを何気なくしていたことに自身の中で笑いを堪えた。


「それで、これはなんのためのものなのですか?」


なぜ自分たちがここに、連れてこられたのかは何となく理解はしていたものの確実な事情を教えて欲しかった。それに対してアレンは、はいはいと少々投げやりになったように返す。


「天使との契約はそう簡単に起こすことが出来ない。悪魔との契約がそれが作り出した虚実の空間に強制転移するのであれば、天使との契約はその逆だからだ。天使をこの地に堕とし唱え受け入れられることで完了する。言わば選ばれた人間しか出来ないと言うやつだ。そして、見定めを行う理由はここにもあって。結局は生気が薄い弱い人間はこの魔法力に影響を受けて死ぬんだよ」


飄々といいのけるアレンの言葉は、もう少し真面目に話す必要があるのではないかと問いたくなるが彼の性格上そこは肩の力を抜くためのものなのかもしれない。


「そういうことで、全てに意味があって行われていることなんだわ。面倒くさいと思うかもしれんが理解してくれると嬉しいよ。俺だってこれ初めて聞いた時はは?ってなったけどいざこちら側にくると仕方のないことだって理解しているから」


そう言ったアレンはゴソゴソと部屋内にある棚を漁って何かを探すように動き始めた。


「座っていて構わんぞ?」


その了解を得てから2人は近くにあった椅子に腰掛け辺りを見回した。少しずつだが散らかる書類は、やはり魔女狩り協会であることを思い知らされる。魔女の出現内容やそれらのプロフィールが止めて置かれている。


シルヴィアのもあるのかどうか……ということの前にこのまま行くと自分の中の悪魔と天使が衝突することが予想される。二重契約は契約違反としてその身滅ぼし砕け散るらしい。それを思い出したライトは、シルヴィアを横目に脳内で問いかける。


「もし、俺が天使と契約を交わす場合どうなる?このまま隠していくとなるといつかはどこかでボロが出る」


それに反応するように答えもすぐに帰ってきた。即答ものの楽観的なもので不安に晒されるのはライトの方だった。


「死ぬわよ、もちろん?ボロは出るだろうね。だけどそれをフォローしてくれるのがトオリとエイジの2人だと思っている」


そこで一旦区切ったシルヴィアはカラリと笑って悩むようにして目じりを下げた。


「今の状況で何かをやらされたらそりゃもうアウトかもしれないわね。さっさと出れることがベストだと思うけれど」


彼女にとっても対策はまだ立てられていないようで衝突の前に身が滅ぶことを考えた方がいいらしい。


「それで、俺はお前らに聞きたいことがあってな?いいか?」


唐突に問われた2人は、小さく頷き視線を戻す。すると、アレンが何を思ったのか顔を歪めて爆弾発言を落とすのだった。


「お前らどちらか魔女とかじゃないか?」

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