4 出会いの勇者(前編)
森に入っていった私は周囲を見渡しながら前に進んで行った
木々に囲まれ生い茂る葉と葉の間から陽の光がキラキラと注ぎ込まれている
通り過ぎていく風は森の香りを運んで穏やかな気持ちにしてくれる
…でも、どうしよう、この後どうすればいいか分からない…
とりあえずわけも分からないので前に進むことにした。
しばらく進んだ先で…不幸にもワイバーンと出会ってしまったのである。
…きゃあああああああああ!
一目散に逃げた、必死に逃げた。
たまに木に頭をぶつけたり小石につまづいて倒れそうになったりしても必死に逃げた。
そしてしばらくしたあとそーっと後ろを向いて…そこにはワイバーンが…いなかった
…ふぅ、巻いたかな…じゃあ次に行こうかな
呑気にまた歩き出す。そして光が連続している道のようなものがあった。
それが嬉しくなり光の方に駆け出す。
◆
…その光景はまさに天使のようであった。
光に照らされ天から遣わされた天使のようで純白の真っ白な羽がそれを際立たせていた
…しかし一つだけ言うとするなら
「服を着ろ!」
俺は赤面し思いっきりそう叫んだ。
その少女は服というものを着ていなかった。不味い、本気で、色々と。
…?あの人は誰だろうか?なにを叫んでいるのだろうか?
少しだけ困った表情を浮かべ少年の前に行く
「…とりあえず身を隠すぞ。二重の意味で。」
少女の手を引き近くの木に身を隠す。
…さて、これからどうするか…このままだと勇者なんて大概無理だ…
…この人不安そう…少し震えてる…私がこの人の為にできることは無いかな?
そして知らず知らずに木の幹に触れてしまった。その木の葉が上から降り注ぐ
「な!?こんなことってあるのか…?」
そして二人はその木の葉に埋もれ暫くして山から顔を出したのであった
「わっぷ!はぁ…びっくりした…おーい、大丈夫かー?」
少年はのっそのっそと木の葉の山から抜け出す。
…さっきの人の声が聞こえる。なんて言ってるかは分からないけど…
その返事に答えるように頭を出す。
「おう、大丈夫ならよし。そこから出すからなー」
手を引いて木の葉の山から引き出す
するとそこには薄緑の無地のノンスリーブのワンピースを着た少女がいた
「…どういうことだ?まぁいいか!俺が捕まる危険はなくなったしな!…あぁ、自己紹介をしてなかったな
俺はロザリオ・ブレンダーだ。Bランクハンターをやっている」
ハンター制度について説明しよう
ハンターにはEからSSランクのランクが設けられている
SSは今現在で10人程度しか存在しない。
ランク昇格にはランク昇格認定試験をクリアし昇格を果たす。
ランク昇格認定試験を受けるためにはギルドに貼られている任務を消化していくことにより受けられる仕組みとなっている
まぁこんな感じだな。
今のところはそんな認識でいいだろう。
「お前の名前は何だ?いや、これからもお前って呼ぶのはちょっとな」
?と小首を傾げる。言葉の意味が分からないのだ。それに私は…
顔色が暗くなり落ち込む
「…もしかして喋れないのか?ふむ…さっきの力を使って伝えたらどうだ?」
…分からない…誰か助けて…
と落ち込んでいると
「…ここで何をしているのですか?」
緑のローブを着たロザリオより少し小さいメガネをかけた紺髪の少女がどこからともなく表れた